テルル酸
識別情報
CAS登録番号
7803-68-1
PubChem
61609
ChemSpider
55517
ChEBI
InChI=1S/H2O4Te/c1-5(2,3)4/h(H2,1,2,3,4)
Key: XHGGEBRKUWZHEK-UHFFFAOYSA-N
InChI=1/H2O4Te/c1-5(2,3)4/h(H2,1,2,3,4)
Key: XHGGEBRKUWZHEK-UHFFFAOYAT
特性
化学式
H6 O6 Te
モル質量
229.64 g/mol
外観
白色単斜晶結晶
密度
3.07 g/cm3
融点
136°C (409.15 K)
水 への溶解度
50.1 g/100 ml at 30°C[ 1]
酸解離定数 pK a
7.68, 11.0 at 18°C[ 1]
構造
分子の形
正八面体
双極子モーメント
0 D
危険性
主な危険性
腐食性
関連する物質
その他の陰イオン
テルル化水素酸 亜テルル酸 テルル化水素
関連物質
硫酸 セレン酸
特記なき場合、データは常温 (25 °C )・常圧 (100 kPa) におけるものである。
テルル酸 (Telluric acid)は、Te(OH)6 の化学式で表わされる化合物である。水溶液中で安定な白色固体である[ 2] 。結晶系は、菱面体晶 と単斜晶 の2つの形があるが、どちらも正八面体のTe(OH)6 分子から構成される[ 3] 。テルル酸は、二価の弱酸 で、強塩基 との反応でテルル酸塩、弱塩基 との反応やテルル酸塩の水による加水分解 でテルル酸水素塩を形成する[ 3] [ 4] 。
テルル酸は、過酸化水素 、三酸化クロム 、過酸化ナトリウム 等の強力な酸化剤 によるテルルまたは二酸化テルル の酸化によって生成する[ 3] 。
TeO
2
+
H
2
O
2
+
2
H
2
O
⟶
Te
(
OH
)
6
{\displaystyle {\ce {TeO2\ + H2O2\ + 2H2O -> Te(OH)6}}}
10℃以下の温度でのテルル酸水溶液の結晶化により、四水和物Te(OH)6 ・4H2 Oが生成する[ 2] 。これは、酸化速度は遅いものの、以下の反応の電極電位式で表わされるように、酸化剤として働く[ 3] 。
H
6
TeO
6
+
2
H
+
+
2
e
−
⇄
TeO
2
+
4
H
2
O
{\displaystyle {\ce {{H6TeO6}+{2H^{+}}+2{\mathit {e}}^{-}\rightleftarrows \ {TeO2}+4H2O\ }}}
E
∘
=
+
1.02
V
{\displaystyle E^{\circ }=+1.02{\rm {V}}}
無水酸は、100℃の空気中で安定であるが、この温度を超えると脱水し、白色吸湿性粉末のポリメタテルル酸(おおよその組成(H2 TeO4 )10 )とシロップ状のアロテルル酸 (おおよその組成
(
H
2
TeO
4
)
3
(
H
2
O
)
4
{\displaystyle {\ce {(H2TeO4)3(H2O)4}}}
)を形成する[ 2] 。
この酸の塩は、アニオン
[
Te
(
O
)
(
OH
)
5
]
−
{\displaystyle {\ce {[Te(O)(OH)5]^-}}}
と
[
Te
(
O
)
2
(
OH
)
4
]
2
−
{\displaystyle {\ce {[Te(O)2(OH)4]^{2-}}}}
を含む。テルル酸イオン
TeO
4
2
−
{\displaystyle {\ce {TeO4^{2-}}}}
の存在は
Rb
6
[
TeO
5
]
[
TeO
4
]
{\displaystyle {\ce {Rb6[TeO^5][TeO4]}}}
の固体構造で確認されている[ 5] 。300℃以上に強加熱すると、α結晶構造の三酸化テルル α-TeO3 が得られる[ 4] 。ジアゾメタン との反応では、ヘキサメチルエステルTe(OMe)6 が得られる[ 2] 。
テルル酸とその塩のほとんどは、6配位のテルルを含むv。これは、モリブデン酸マグネシウム と同形で正八面体のTeO6 を含むテルル酸マグネシウム MgTeO4 の時も同様である[ 3] 。
硫酸H2 SO4 のテルルのアナログであるメタテルル酸H2 TeO4 は知られていない。おおよそH2 TeO4 )3 (H2 O)4 の組成を持つアロテルル酸は、良く性質が分かっておらず、Te(OH)6 と(H2 TeO4 )の混合物である可能性がある[ 2] 。
酸化数+4のテルルを含む亜テルル酸 (H2 TeO3 )は知られているが、性質は良く分かっていない。テルル化水素 は不安定な気体で、水を加えるとテルル化水素酸 となる。
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