デビッド・ジョン・ナット(David John Nutt, 1951年4月16日 - )は、イギリスの精神科医および神経精神薬理学者で、脳に対して依存症や不安、睡眠のような状態として影響する薬物の研究を専門とする[2]。2009年まで、ブリストル大学で精神薬理学に関する学部の教授[3]。それ以降はインペリアル・カレッジ・ロンドンの神経精神薬理学の教授の座に就いている[4]。そのインペリアルのサイケデリック研究センターの副センター長でもある。ナットはイギリス医薬品安全性委員会(英語版)(Committee on Safety of Medicines, CSM)のメンバーおよび、英国精神薬理学会(British Association of Psychopharmacology)元会長[5]や欧州神経精神薬理学会(英語版)(European College of Neuropsychopharmacology, ECNP)会長も務める[6]。
『英国国民医薬品集』(British National Formulary, BNF)への助言者である[5]。#出版物では、臨床ガイドラインとしては不安障害と依存症を中心に、うつ病、パニック障害、気分障害、心的外傷後ストレス障害、睡眠障害にて編者として関わっており、精神医学の薬物療法の編者でもあり抗不安薬、睡眠薬に関する書籍の編者でもある。薬物政策の議論でたびたびメディアで取り上げられ、薬物に関する独立科学評議会では数値解析を用いた薬物の有害性の評価を行っている。
彼は、1978年から1982年にかけてラドクリフ診療所(英語版)で臨床科学者として働き、ベンゾジアゼピン受容体/GABAイオノフォア複合体、BZのアゴニストの処理とBZのパーシャル逆アゴニストと発火の長期的影響の機能に重要な基礎研究を行った。この仕事は、はじめて逆アゴニズム(彼の推奨する表現では"contragonism")の概念を説明し、1982年の『ネイチャー』での画期的な論文で頂点に達した。1983年から1985年まで、オックスフォード大学で精神医学について講義した。1986年、彼はワシントンD.C.の外側にあるメリーランド州ベセスダのアメリカ国立アルコール乱用・依存症研究所のフォガティ客員研究員であった。1988年に、彼はイギリスに戻りブリストル大学の精神薬理学部の主任として参加する。2009年には、彼はエドモンド・サフラ慈善基金による新しい寄付基金教授となり、インペリアル・カレッジ・ロンドンで神経精神薬理学と分子イメージング部門を設立する。[7]
彼はjournal of psychopharmacologyの編集者である[8]。
ACMDの会長としてのナットは、薬物の有害性とクラス分類の問題で政府大臣とたびたび衝突した。2009年1月に、彼はJournal of Psychopharmacologyの中で乗馬にともなうリスク(350回ごとに発覚する1つの重大な有害事象)を、エクスタシーを摂取した場合のもの(10000回ごとに発覚する1つの重大な有害事象)と比較し論説し('Equasy–現在の薬物の有害性に関する議論で見落とされる熱中の影響')公開した[1]。2009年2月に、彼は薬物のエクスタシーが統計的に乗馬への熱中よりも危険が少ないことを論文で述べたために、内務大臣のジャッキー・スミスから批判された。デイリー・テレグラフにナットは、「薬物の有害性は人生のほかの部分での害と等しくなりえることを人々に理解させる」ことがポイントだったと語った。ジャッキー・スミスは「驚きと深い失望」を主張し次のように付け加えた「私はほとんどの人々が、彼が論文の中で構成した乗馬と違法薬物の摂取との間の関連を単純には受け取らないだろうと確信します」さらに彼女は、彼が彼の意見について謝罪するよう要求し、また「エクスタシーの犠牲者の家族」に謝罪するよう依頼した。[18] 議員のとりわけ大麻のレクリエーション・ドラッグのクラス分類、およびそれらの有害性の科学的な評価との間のミスマッチの問題は、ナットが2009年7月にキングス・カレッジ・ロンドンで犯罪司法研究センターに対して行った講義を含んでいるパンフレット[19]が刊行された後、2009年10月に再び浮上した。このなかで、ナットは、それらが引き起こす有害性の実際の証拠に基づいて違法薬物がクラス分類されるべきであるという彼のよく知られている見解を繰り返し、9つの”有害性の要因”(”身体的有害性”、”依存”、”社会的有害性”としてグループ化された)は、明らかにアルコールやタバコはLSDやエクスタシーよりも有害であるという分析を提示している。このクラス分類では、アルコールとタバコがクラスBドラッグとして登場し、また大麻はクラスCの一番上に置かれた。
ドレイソン卿[11]による後の政策案の検討では、政府に対する科学的な顧問を似たような状況のもとで免職できることを再確認した「政府およびその科学的な顧問は相互の信頼を弱体化するために行動するべきではありません[35]」この条項は、Sense About Science、Campaign for Science and Engineering、自由民主党外院議員エバン・ハリスからの異議にもかかわらず保持された。ドレイソン卿によれば、条項は、英国政府主席科学顧問のジョン・ベディントンによって要求された[36] 。2010年1月、ナット教授の後任としてレス・アイバーセンがACMDの会長だと報じられた[37]。
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^ abNutt, David J; King, Leslie A; Phillips, Lawrence D (2010). “Drug harms in the UK: a multicriteria decision analysis”. The Lancet376 (9752): 1558–1565. doi:10.1016/S0140-6736(10)61462-6. ISSN01406736.