デリック(Derrick)は、イングランド王国(現イギリス)のロンドンで任官されていた死刑執行人である。
出身地、生年月日など出自については不明な点が多く、フルネームにはトーマス・デリック(Thomas Derrick)やゴドフリー・デリック(Godfrey Derrick)[1]などの諸説がある。
1500年代後期から1610年まで死刑執行人を務め、3000人以上を処刑した。
強姦罪により死刑を宣告されるが、エセックス伯ロバート・デヴルーにより、死刑執行人となることを条件として免責された。皮肉にもロバート・デヴルーは自分が任命した死刑執行人のデリックによって処刑(斬首刑)されることとなった。
デリックは(現在の日本における執行のように)高いところから落として吊るのではなく、引っ張りあげて吊ることを考案した人物でもあり、一種のクレーンの名前の由来にもなった(後述)。
1610年に引退すると助手のグレゴリー・ブランドンが死刑執行人の職を受け継いだ。
広義のクレーンのうち巻上げ機械が本体とは別構造のものを指すデリックは、彼に由来する[1]。「クレーン等安全規則」などでは、狭義のクレーンと区別する。