デーヴァ・ソベル | |
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![]() 2015年 | |
生誕 |
1947年6月15日(77歳)[1] ニューヨーク市ブロンクス区 |
教育 | ブロンクス科学高等学校 |
出身校 | ビンガムトン大学 |
受賞 | Guggenheim Fellowship for Natural Sciences, US & Canada, クルンプケ・ロバーツ賞[2] |
公式サイト |
www |
署名 | |
デーヴァ・ソベル(Dava Sobel、1947年6月15日 - )はアメリカ合衆国のサイエンスライターである。イギリスの時計職人ジョン・ハリソンについて書かれた『経度への挑戦』、ガリレオ・ガリレイの娘マリア・セレステについて書かれた『ガリレオの娘』、ハーバード大学の計算手(コンピューター)をテーマにした『The Glass Universe: How the Ladies of the Harvard Observatory Took the Measure of the Stars』などの著者として知られる。
1947年、ニューヨーク市ブロンクス区に生まれた。父親は医者、母親は化学者である[3]。母は天文学にも興味をもっており、自宅にはおもちゃのプラネタリウムがあった。デーヴァも学校の授業で惑星に興味をもつようになった[4]。1964年、ブロンクス科学高等学校を卒業した[2]。当時の同校は、男子と女子の割合が4対1となるよう、男子を優遇して入学させていたので、男子生徒に囲まれながらの高校生活を送った[4]。ソベル自身は後に、あれは最高の学業経験だったと語っている[4]。高校卒業後、ビンガムトン大学に入学して卒業した。大学では演劇史を専攻した[3]。
大学卒業後、ニューヨーク・タイムズの科学記者として2年間勤務した[2]ほか、フリーの科学ジャーナリストとしても活動した。ニューヨーク・タイムズ記者としては、1980年に時間生理学の研究として、モンテフィオーレ病院で25日間、外界と遮断された状態で過ごす経験をした[5]。このことは最も忘れられない任務だと後に述べている[2]。科学ジャーナリストとしては、共著で関節炎の本などを執筆した[3]。
1993年、『ハーバード・マガジン』編集者からの誘いで経度シンポジウムに出席し、1994年にシンポジウムに関する記事を書いた[6]。その記事を読んだウォーカー・アンド・カンパニー社からの依頼を受けて、1995年に『経度への挑戦』(原題『Longitude: The True Story of a Lone Genius Who Solved the Greatest Scientific Problem of His Time』)を執筆した[7]。同書はヨーロッパでベストセラーとなり、中国、韓国、ブラジルなどの国でも翻訳された[8]。2000年には、グラナダTV(ITVスタジオズ)でチャールズ・スターリッジにより映像化された。また、その後アメリカのA+Eネットワークスでも放映された[9]。
2000年に出版された著書『ガリレオの娘』(原題『Galileo's Daughter: A Historical Memoir of Science, Faith, and Love』)は、ピューリッツァー賞 伝記部門の最終候補となった[10]。
2002年、バース大学とミドルベリー大学から、人文学の名誉学位が与えられた[11]。
2005年、国際天文学連合の惑星定義委員会に、唯一の非科学者として選ばれた[2]。
2006年、シカゴ大学のライター・イン・レジデンス(アーティスト・イン・レジデンスの作家版)で初めて講師活動をした。ここでは冬期1学期のセミナーで科学本の執筆について教えた[12]。
2012年、ペン・アメリカが主催するエドワード・オズボーン・ウィルソン文学科学執筆賞(en:PEN/E. O. Wilson Literary Science Writing Award )選考委員となった[13]。
2013年から2016年まで、スミス大学のライター・イン・レジデンスで講師を務めた[2]。
アメリカ国立科学委員会(National Science Board、NSB)によって2001年の個人公共サービス賞がソベルに与えられた際、会長のイーモン・ケリーは、「デーヴァ・ソベルの、科学的発見とその発見した人についての鮮やかで魅力的な筆致は、科学史上の大きな出来事を大勢の人に生き生きと伝えている」「彼女の著作によって、我々は、自分たちの生活が科学によって変わったということが深く理解できる」と評している[14][15]。
『経度への挑戦』『ガリレオの娘』の2冊は。世界20か国以上で数十万部のベストセラーになった。専門家による科学史の書籍が一般にはほとんど読まれていないなかで、ソベルの本は専門家以外の読者を多く獲得し、科学史に興味をもたせることに成功した[16]。ソベル以降、ビル・ブライソンの『人類が知っていることすべての短い歴史』といった、科学史の専門家以外の人が書いた科学史の本が多く出版され、話題になるようになった[17]。また出版社は、科学史の専門家にも、同業者向けではなく一般の人に向けた本を書くことを求めるようになった[18]。科学史家のデイビット・フィリップ・ミラーはこのことを「ソベル効果」と呼んでいる[19]。ミラーは、幅広い読者に向けた本が増えること自体は歓迎している。一方で、これらの本によって「1人の天才によってなされた科学的発見により、技術が進歩し、世界が変わった」といった分かりやすく単純化されたメッセージが広がること、専門家にもそのような本を書かせる動きが広がってきていることを危惧している[20]。
パオラ・ゴヴォニ(Paola Govoni)は、ソベルの本が優れているのは、科学史家の研究を最大限に活用したことにあるとして、さらに、ソベルの成功は、自身のプロ意識と、書評によって学術誌では得られなかった読者を獲得できたことにあると述べている[16]。
日食を追い続けており、皆既日食は、天がすべて一体となり壮麗な動きを見せてくれるように感じ、それはまるで奇跡のようだと述べている[4]。2012年8月のインタビューでは、これまで8回の日食を見ており、2012年11月13日の日食を見るためにオーストラリアに行く予定だと話している[4]。
2022年、「物理学と天文学の数世紀にわたる主要な出来事とその中心人物を扱った卓越した著作」により、アメリカ物理学会のフェローに任命された[22]。
キャロライン・シューメーカーとディヴィッド・レヴィによって1994年に発見された小惑星30935 Davasobelは、ソベルにちなんで名づけられた[23]。
映像外部リンク | |
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