トファシチニブ
IUPAC命名法 による物質名
3-[(3R ,4R )-4-methyl-3-[methyl(7H -pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-4-yl)amino]piperidin-1-yl]-3-oxopropanenitrile
臨床データ 販売名
ゼルヤンツ, Xeljanz, Jakvinus 胎児危険度分類
法的規制
薬物動態 データ生物学的利用能 74% 血漿タンパク結合 40% 代謝 肝代謝 (CYP3A4 および CYP2C19 による) 半減期 3時間 排泄 尿中排泄 識別 CAS番号
477600-75-2 ATCコード
L04AA29 (WHO ) PubChem
CID: 9926791 DrugBank
DB08183 ChemSpider
8102425 UNII
87LA6FU830 KEGG
D09970 ChEBI
CHEBI:71200 ChEMBL
CHEMBL221959 別名
CP-690550 化学的データ 化学式 C 16 H 20 N 6 O 分子量 312.369 g/mol
CC2CCN(C(=O)CC#N)CC2N(C)c3ncnc1nccc13
InChI=1S/C16H20N6O/c1-11-5-8-22(14(23)3-6-17)9-13(11)21(2)16-12-4-7-18-15(12)19-10-20-16/h4,7,10-11,13H,3,5,8-9H2,1-2H3,(H,18,19,20)/t11-,13+/m1/s1 Key:UJLAWZDWDVHWOW-YPMHNXCESA-N
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トファシチニブ (Tofacitinib)は、ヤヌスキナーゼ 阻害剤であり、免疫抑制剤 ・分子標的薬 のひとつ。製品名はゼルヤンツ 、XeljanzやJakvinus。ファイザー により開発され、日本では武田薬品工業 が販売している。
トファシチニブは、ヤヌスキナーゼ の強力な阻害薬 である。in vitro では、トファシチニブはJAK1、JAK2、JAK3をともに阻害する。細胞 内では 2 分子のJAKが介在してシグナル伝達が行われるが、トファシチニブは主としてJAK3またはJAK1に会合するヘテロ二量体受容体によるシグナル伝達を強力に阻害する。JAK1およびJAK3の阻害により[ 1] 、IL-2 、IL-4 、IL-7 、IL-9、IL-15およびIL-21 を含む数種類のサイトカイン受容体を介した細胞内シグナル伝達が遮断される。これらのサイトカインは、細胞核でのDNA転写[ 2] 、リンパ球 の活性化・増加・機能発現に不可欠であることから、これらのシグナル伝達の阻害により免疫 を抑制できると考えられている。
以下の患者には禁忌である[ 4] 。
重篤な感染症 (敗血症 など)の患者
活動性結核 の患者
重度の肝機能障害を有する患者
好中球 数が500/mm3 未満の患者
リンパ球 数が500/mm3 未満の患者
ヘモグロビン 値が8g/dL未満の患者
製剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者
妊婦または妊娠 している可能性のある婦人
添付文書に記載されている重大な副作用は、帯状疱疹 、肺炎 (ニューモシスティス肺炎 などを含む)、敗血症、結核などの重篤な感染症、消化管穿孔、好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、肝機能障害、黄疸 、間質性肺炎 である。
全例市販後調査のためのトファシチニブ使用ガイドライン (PDF)が策定され運用されている。同ガイドラインを逸脱した投与例では死亡例が報告されている[ 5] 。
ORAL-start試験において、トファシチニブはSharp-core, ACR70ともに、メソトレキセート よりも優れていた[ 6] 。
標準治療 に抵抗性の中等症・重症アトピー性皮膚炎 6例に対してトファシチニブを投与したところ、全例で炎症を有する皮膚の面積が減少し、同時に紅斑・浮腫 ・苔癬化・擦過傷の軽減が見られた[ 7] 。またSCORAD(Scoring Atopic Dermatitis)スコアは8~29週の治療後に66.6%減少した(36.5から12.2へ)。
潰瘍性大腸炎 に対する開発第3相試験のひとつ、OCTAVE Sustain 試験においてえ、52週の時点における寛解率は、トファシチニブ5mg群 34.3%, 10mg群 40.6%に対し,プラセボ群 11.1%であり、トファシチニブは有意に有効であった(プラセボ群との比較でいずれも P<0.001)[ 8] 。
^ Ghoreschi, K. (2011). “Modulation of Innate and Adaptive Immune Responses by Tofacitinib (CP-690,550)” . J Immunol. 186 (7): 4234–4243. doi :10.4049/jimmunol.1003668 . PMC 3108067 . PMID 21383241 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3108067/ .
^ “Tasocitinib” . Drugs in R&D 10 (4): 271–284. (2010). doi :10.2165/11588080-000000000-00000 . PMC 3585773 . PMID 21171673 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3585773/ .
^ https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2018/2018_05_25.html
^ “ゼルヤンツ錠5mg 添付文書 ” (2015年1月). 2015年6月30日 閲覧。
^ “JAK阻害薬,ガイドライン非適合患者で死亡 ”. MTPro (2015年5月19日). 2015年6月30日 閲覧。
^ Lee EB, et al. (June 19, 2014.). “Tofacitinib versus Methotrexate in Rheumatoid Arthritis.”. N Engl J Med 370 : 2377-2386. doi :10.1056/NEJMoa1310476 .
^ Levy LL, Urban J, King BA (2015-07-17). “Treatment of recalcitrant atopic dermatitis with the oral Janus kinase inhibitor tofacitinib citrate.” . J Am Acad Dermatol. . doi :10.1016/j.jaad.2015.06.045 . PMID 26194706 . http://www.jaad.org/article/S0190-9622%2815%2901851-4/abstract 2015年8月15日 閲覧。 .
^ Sandborn WJ, et al. Tofacitinib as Induction and Maintenance Therapy for Ulcerative Colitis. N Engl J Med 2017; 376:1723-1736. DOI: 10.1056/NEJMoa1606910