トヨタ・T型エンジン(トヨタ・ティーがたエンジン)は、トヨタ自動車の水冷直列4気筒ガソリンエンジンの系列である。先代のR型(1,500 - 2,400cc)の1,800cc以下のクラスの性能強化を目的に登場。
2T系や4T系はラリーや耐久レースで活躍。
1970年(昭和45年)9月、2代目カローラ/スプリンター(TE20型)に搭載され登場(1,400ccの「T」型、「T-D」型)。OHVシリンダヘッド仕様に関しては、クライスラー・ヘミエンジンのコンセプトを用いている(ハイマウントカムシャフト・V字型クロスフロー・センタースパークプラグ・半球型燃焼室)。なお同コンセプトはトヨタでは1967年(昭和42年)11月発売の初代センチュリーに搭載された3Vエンジンから採用しており、クロスフロー方式は1965年からクラウン用に製造のM型エンジンでも採用しているが、大衆車用クラスのOHVではトヨタで最初となった。当初は「パッションエンジン」と呼ばれた。
本来は、後に登場する初代カリーナ(A10系)/セリカ(A20系)用に開発されていたエンジンである。カローラにも搭載されることになった理由の1つとして、同車の競合車である日産・サニーに対する優位性の維持が挙げられる。これに対し日産は、1971年(昭和46年)4月、サニーにSOHCのL14型エンジンを搭載した「エクセレントシリーズ」を追加している。
1970年(昭和45年)12月には、初代セリカが登場。最上級グレードの1600GT(TA22型)には、OHVの2T型エンジンをベースに、ヤマハ製DOHCシリンダーヘッド[1]を組み合わせた「2T-G」型エンジンが搭載される。それまでトヨタのDOHCエンジンには、「3M」「9R」「10R」型があったが、この2T-G型以降、型式にDOHCであることを示す「G」の記号が付与されるようになった(8R型がベースの10R型は、翌1971年(昭和46年)2月に「8R-G」型に型式変更された)。
1,600㏄OHVヘッド・ツインキャブの2T-B/BR型と比較して、DOHCヘッドにソレックスキャブを搭載した2T-G/GR型は10馬力しかアップしていない。T型系列は元々高度なクロスフロー仕様であったため、DOHC化しても2バルブのままでは大幅な性能向上に至らなかった。
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター
- 排気量:1.407L
- 内径×行程:80.0×70.0(mm)
- 圧縮比:8.5
- 出力:86ps/6,000rpm
- トルク:12.0kg・m/3,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
「T」の高圧縮比仕様
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター 高圧縮比
- 排気量:1.407L
- 内径×行程:80.0×70.0(mm)
- 圧縮比:9.6
- 出力:90ps/6,000rpm
- トルク:12.0kg・m/3,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)2代目カローラ/スプリンター1400 ハイ・デラックス(TE20)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ ツインキャブレター ハイオクガソリン仕様
- 排気量:1.407L
- 内径×行程:80.0×70.0(mm)
- 圧縮比:9.6
- 出力:95ps/6,000rpm
- トルク:12.3kg・m/4,000rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)2代目カローラ/スプリンター1400SL(TE20)
- (初)2代目カローラ/スプリンター1400SR(TE20)
「T-B」のレギュラーガソリン仕様
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ ツインキャブレター レギュラーガソリン仕様
- 排気量:1.407L
- 内径×行程:80.0×70.0(mm)
- 圧縮比:8.5
- 出力:91ps/6,000rpm
- トルク:12.0kg・m/4,000rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)2代目カローラ/スプリンター1400SL(TE20)
- (初)2代目カローラ/スプリンター1400SR(TE20)
- 3代目カローラ1400SL(TE30)/スプリンター1400SL(TE40)
昭和50年度排出ガス規制適合 (A)
- 生産期間
- 1975年10月 - 1976年11月(国内向け)
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター 酸化触媒 TTC-C(トヨタ触媒方式)
- 排気量:1.407L
- 内径×行程:80.0×70.0(mm)
- 圧縮比:8.5
- 出力:78ps/6,000rpm
- トルク:11.2kg・m/3,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)3代目カローラ(TE30)/スプリンター(TE40)
昭和51年度排出ガス規制適合 (B)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター 酸化触媒 TTC-C
- 排気量:1.407L
- 内径×行程:80.0×70.0(mm)
- 圧縮比:9.0
- 出力:82ps/5,800rpm
- トルク:11.6kg・m/3,400rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)3代目カローラ(TE50)/スプリンター(TE60)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター
- 排気量:1.407L
- 内径×行程:80.0×70.0(mm)
- 搭載車種(車両型式)
2T型エンジン
- 生産期間
- 1970年11月 - 1974年12月(国内向け)
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:8.5
- 出力:100ps/6,000rpm
- トルク:13.7kg・m/3,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)初代カリーナ(TA12)/セリカ(TA22)
- 5代目コロナ(TT100)
- 3代目カローラ(TE31)/スプリンター(TE41)
- タウンエース(およびOEMのダイハツデルタワイド)(TR10V)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ ツインキャブレター ハイオクガソリン仕様
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:9.4
- 出力:105ps/6,000rpm
- トルク:14.0kg・m/4,200rpm
- 搭載車種(車両型式)
日本国外専用
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:8.5
- 出力:88ps/6,000rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)2代目カローラ国外仕様(TE27L/27R)
- 初代カリーナ国外仕様(TA12L/12R)/初代セリカ国外仕様(TA22L/22R)
「2T-B」のレギュラーガソリン仕様
- 生産期間
- 1970年11月 - 1974年11月(国内向け)
- 種類:OHV 8バルブ ツインキャブレター レギュラーガソリン仕様
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:8.5
- 出力:100ps/6,000rpm
- トルク:13.9kg・m/4,200rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)初代セリカ(TA22)
- 初代カリーナ(TA12)
- 初代カローラレビンJ/スプリンタートレノJ(TE27)
- 3代目カローラ1600GSL(TE31)/スプリンター1600GSL(TE41)
昭和50年度排出ガス規制適合 (A)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター 酸化触媒 TTC-C
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:9.0
- 出力:90ps/6,000rpm
- トルク:13.0kg・m/3,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
- 3代目カローラ(TE30)/スプリンター(TE40)
- 5代目コロナ(TT100)
昭和51年度排出ガス規制適合 (B)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター 酸化触媒 TTC-C
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:9.0
- 出力:90ps/6,000rpm
- トルク:13.0kg・m/3,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
- 3代目カローラ(TE51)/スプリンター(TE61)
- 5代目コロナ(TT120)
- 生産期間
- 種類:DOHC 8バルブ ソレックスツインキャブレター(ツインチョークx2) 有鉛ハイオクガソリン仕様
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:9.8
- 出力:115ps/6,400rpm
- トルク:14.5kg・m/5,200rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)初代セリカ(TA22)
- 初代カリーナ(TA12)
- 初代カローラレビン/スプリンタートレノ(TE27)
- 2代目カローラレビン(TE37)/スプリンタートレノ(TE47)
- 備考
- 輸出仕様車は、「4A-G」と交代するまで上記のスペックで搭載され続けた。
- レース専用のシリンダーヘッドとしてまず始めに吸排気ポートが拡大された8バルブの「100E」、8バルブ・ツインプラグ化された「126E」、1気筒当たり4バルブ化された「151E」と呼ばれるシリンダーヘッドも存在したが一般には市販されず、主にトヨタのワークス・チーム(トムスやトヨタ・チーム・ヨーロッパ等含む)で使用された。
- 日本のフォーミュラ・パシフィックや、当時同一レギュレーションだったマカオグランプリでも本エンジンが使用された。
- 伊ノバ社が2T-Gをベースに製作したF3用2Lエンジンは長らく世界のF3車の大半で使用された。
初代カローラレビンに搭載された(TE37)用2T-GEU型エンジン
「2T-G」のレギュラーガソリン仕様
- 生産期間
- 種類:DOHC 8バルブ ソレックスツインキャブレター レギュラーガソリン仕様
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:8.8
- 出力:110ps/6,000rpm
- トルク:14.0kg・m/4,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)初代セリカ(TA22)
- 初代カリーナ(TA12)
- 初代カローラレビン/スプリンタートレノ(TE27)
- 2代目カローラレビン(TE37)/スプリンタートレノ(TE47)
昭和51年度排出ガス規制適合 (B)
- 生産期間
- 種類:DOHC 8バルブ EFI(電子制御式燃料噴射装置) 酸化触媒
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:8.4
- 出力:110ps/6,000rpm
- トルク:14.5kg・m/4,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)2代目カローラレビン(TE51)/スプリンタートレノ(TE61)
- (初)3代目カローラリフトバックGT(TE51)/スプリンターリフトバックGT(TE61)
- 2代目カリーナ(TA40)
4代目前期型スプリンター2ドアHT「1600GT」に搭載された(TE71)用2T-GEU型エンジン
昭和53年度排出ガス規制適合 (E)
- 生産期間
- 種類:DOHC 8バルブ EFI 三元触媒
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:8.4
- 出力:115ps/6,000rpm
- トルク:15.0kg・m/4,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)2代目カローラレビン(TE55)/スプリンタートレノ(TE65)
- (初)3代目カローラリフトバックGT(TE55)/スプリンターリフトバックGT(TE65)
- 2代目カリーナ(TA40系)
- 4代目カローラ/スプリンターGT(TE71前期)
- 3代目カローラレビン/スプリンタートレノ(TE71前期)
- 備考
- 1979年9月から、タペットカバーの「TOYOTA」ロゴの書体が新タイプの書体に変更されている(「
TOYOTA
」→「TOYOTA」)。
半球型燃焼室から多球型燃焼室に変更。事実上「2T-G」の最終型。後継は「4A-GEU」。
- 生産期間
- 種類:DOHC 8バルブ EFI 三元触媒
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:9.0
- 出力:115ps/6,000rpm
- トルク:15.0kg・m/4,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)3代目セリカ(TA61)
- 4代目カローラ/スプリンターGT(TE71後期)
- 3代目カローラレビン/スプリンタートレノ(TE71後期)
- 3代目カリーナ(TA61)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:8.5
- 出力:93ps/6,000rpm
- トルク:13.1kg・m/3,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
昭和51年度排出ガス規制適合 (B)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター 酸化触媒 TTC-C
- 排気量:1.770L
- 内径×行程:85.0×78.0(mm)
- 搭載車種(車両型式)
日本国外専用
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター
- 排気量:1.770L
- 内径×行程:85.0×78.0(mm)
- 搭載車種(車両型式)
昭和53年度排出ガス規制適合 (E)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ EFI 三元触媒
- 排気量:1.770L
- 内径×行程:85.0×78.0(mm)
- 圧縮比:9.0
- 出力:105ps/5,400rpm
- トルク:16.5kg・m/3,600rpm
- 搭載車種(車両型式)
- 6代目コロナ1800SLツーリング(TT132)
- 初代セリカカムリ1800SX(TA57)
- 7代目コロナ(TT142)
- 3代目セリカ/カリーナ1800ST EFI(TA62)
日本初のDOHCターボエンジン。1気筒あたり2本のプラグ(ツインプラグ)を用いる。
- 生産期間
- 種類:DOHC 8バルブ ターボ EFI 三元触媒
- 排気量:1.770L
- 内径×行程:85.0×78.0(mm)
- 圧縮比:7.8
- 出力:160ps/6,000rpm
- トルク:21.0kg・m/4,800rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)3代目セリカ/カリーナ1800GT-T、GT-TR(TA63)
- (初)7代目コロナ1800GT-T、GT-TR(TT142)
「3T-GTEU」の内径を0.5mm拡大したもの。3T-GTEU同様ツインプラグを用いており、既存のT型エンジンとしては最も後に開発されたエンジンである。
- 生産期間
- 1982年9月 - 1983年(時期不明)(国内向け)
- 種類:DOHC 8バルブ ターボ EFI 三元触媒
- 排気量:1.791L
- 内径×行程:85.5×78.0(mm)
- 搭載車種(車両型式)
- 3代目セリカ1800GT-TS(TA64)※200台限定
昭和51年度排出ガス規制適合 (B)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター TTC-L(トヨタ希薄燃焼方式)
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:8.5
- 出力:85ps/5,400rpm
- トルク:12.5kg・m/3,400rpm
- 搭載車種(車両型式)
- (初)3代目カローラ(TE52)/スプリンター(TE62)
昭和53年度排出ガス規制適合 (E)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター 酸化触媒 TGP(乱流生成ポット)燃焼方式
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 圧縮比:9.0
- 出力:88ps/5,600rpm
- トルク:13.3kg・m/3,400rpm
- 搭載車種(車両型式)
- 3代目カローラ(TE56)/スプリンター(TE66)
- 5代目コロナ(TT125)
- 6代目コロナ(TT130)
- 初代セリカカムリ(TA41)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター
- 排気量:1.588L
- 内径×行程:85.0×70.0(mm)
- 搭載車種(車両型式)
- 4代目カローラバン(TE72V)
- 3代目カリーナバン(TA49V)
昭和53年度排出ガス規制適合 (E)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター 酸化触媒 TGP燃焼方式
- 排気量:1.770L
- 内径×行程:85.0×78.0(mm)
- 圧縮比:8.5
- 出力:95ps/5,400rpm
- トルク:15.0kg・m/3,400rpm
- 搭載車種(車両型式)
- 5代目コロナ(TT126)
- 6代目コロナ(TT131)
- 4代目カローラ/スプリンター(TE73)
- 初代セリカカムリ(TA46)
- 初代クレスタ(TX50)
- 4代目マークII(TX60)
- 2代目チェイサー(TX60)
- 生産期間
- 種類:OHV 8バルブ シングルキャブレター
- 排気量:1.770L
- 内径×行程:85.0×78.0(mm)
- 搭載車種(車両型式)