トヨタ・イノーバ

キジャン イノーバ(KIJANG INNOVA)はトヨタ自動車キジャンの後継モデルとしてインドネシア中近東等で販売している多目的車(MPV)、またはミニバンであり、主に3列シートのものが販売されている。 2代目までは新興国市場を狙うトヨタの世界戦略車IMVシリーズのミニバン車種であり、ラダー構造後輪駆動車だったが、2022年に登場した3代目はTNGA-Cプラットフォームを用いたモノコック構造前輪駆動車へと変更になった。この変更はハイブリッドパワートレインへの適用のために行われた。

概要

[編集]

2004年に発表され、イノーバ(INNOVA)として発売が開始され、東南アジア諸国およびインドサウジアラビア南アフリカでも発売された。生産はインドネシア・ジャカルタのカラワン工場、インド・バンガロールのビダディ工場等で行われている。

初代 AN40型(2004年 - 2016年)

[編集]
トヨタ・キジャンイノーバ(初代)
AN40型
前期型 2.0 Eグレード(フロント)
前期型 2.0 Eグレード(リア)
概要
別名 トヨタ・イノーバ(初代)
製造国 インドネシアの旗 インドネシアカラワン
インドの旗 インドバンガロール
中華民国の旗 台湾国瑞汽車観音
マレーシアの旗 マレーシア
フィリピンの旗 フィリピン
 ベトナム
販売期間 2004年8月 - 2015年10月(インドネシア)
2005年2月 - 2016年3月(インド)
2005年5月 - 2016年10月(マレーシア)
ボディ
ボディタイプ 5ドアミニバン
エンジン位置 フロント
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン 1TR-FE 直4DOHC 1,998cc 136PS
2TR-FE 直4DOHC 2,694cc 158PS
2KD-FTV 直4DOHC 2,494cc 102PS
変速機 5速MT
4速AT
車両寸法
ホイールベース 2,750mm
全長 4,555mm
全幅 1,770mm
全高 1,745mm
系譜
先代 トヨタ・キジャン
テンプレートを表示

シャシーはトヨタIMVプロジェクトラダーフレームを用いた単一プラットフォームで7代目ハイラックスフォーチュナーと共通化されている。ラダーフレーム以外にも、FR(フロントエンジン・リヤドライブ方式)や、リーフサスペンションも従来のキジャンと同様であるが、これは、頑丈さとパワーを低価格で求める世界中の新興国ユーザーの要求に基づくもので、IMVプロジェクト世界戦略車仕様である。トラックやオフロード車を乗用車用途としても用いているユーザーに対し、トラック(フレーム)ベースであってもある程度の高級感が得られるように外観や内装はトヨタらしさを感じられる乗用車風に仕上げられている。エンジンはガソリンエンジンディーゼルエンジンに関わらず全てDOHC機構が用いられており、1TR-FE型直列4気筒2.0Lガソリン、または2KD-FTV型直列4気筒2.5Lコモンレール・ターボディーゼルが搭載される。

2007年には台湾でもイノーバに切り替わり、2.7Lの2TR-FEが設定された。

2011年7月22日インドネシア国際モーターショーにて大幅なフェイスリフトを受けた新型イノーバが発表された[1]

2013年8月19日、インドネシアで再度フェイスリフトが行われたキジャン・イノーバが発表された[2]。デザインはインドネシアのスタッフが担当し[3]、大型化されたフロントグリルが採り入れるなど、内外装に手が加えられた。また、デュアルエアバッグが全車に標準装備となった。

中期型
後期型

2代目 AN140型(2015年 - )

[編集]
トヨタ・キジャンイノーバ(2代目)
AN140型
前期型 2.0 Gグレード(フロント)
前期型 2.4 Vグレード(リア)
前期型 2.0 Gグレード(インテリア)
概要
別名 トヨタ・イノーバ(2代目)
製造国 インドネシアの旗 インドネシアカラワン
インドの旗 インドバンガロール
マレーシアの旗 マレーシア
フィリピンの旗 フィリピン
 ベトナム
販売期間 2015年11月 -
ボディ
ボディタイプ 5ドアミニバン
エンジン位置 フロント
パワートレイン
エンジン 2GD-FTV 直4DOHC 2,394cc 149PS
変速機 6速AT
車両寸法
ホイールベース 2,750 mm
全長 4,735 mm
全幅 1,830 mm
全高 1,795 mm
車両重量 1,700 - 1,930 kg
テンプレートを表示

2015年11月23日、キジャン・イノーバの二代目がインドネシアで発売された。

2017年1月16日、「ベンチャー」と呼ばれるキジャン・イノーバの主力モデルがインドネシアで発売された。

2020年10月15日、キジャン・イノーバはインドネシアでフェイスリフトされた。

2022年3月31日インドネシア国際モーターショー2022で、新型「イノーバEV」(コンセプト)を世界初公開。


前期型
後期型

後期型

3代目 AG10型(2022年 - )

[編集]
トヨタ・キジャンイノーバゼニックス(3代目)
AG10型
フロント
リア
概要
別名 トヨタ・イノーバハイクロス
スズキ・インヴィクト
販売期間 2022年 -
ボディ
乗車定員 7-8名
ボディタイプ 5ドアミニバン
エンジン位置 フロント
駆動方式 前輪駆動
プラットフォーム GA-Cプラットフォーム
パワートレイン
エンジン ガソリン車:
M20A-FKS型 1,986 cc 174PS 直列4気筒 DOHC
ハイブリッド車:
M20A-FXS型 1,986 cc 186PS 直列4気筒 DOHC
変速機 CVT
車両寸法
ホイールベース 2,850 mm
全長 4,755 mm
全幅 1,850 mm
全高 1,795 mm
テンプレートを表示

2022年11月21日発表[4]。TNGA-Cを採用[5]。インドネシアでの正式名称はキジャン イノーバ ゼニックスKIJANG INNOVA ZENIX)となった[5]。ゼニックス」の名称は、トヨタが「最高性能」を表すとした英語の「zenith」と、「クロスオーバー」を表す「x」に由来している。「キジャン」の名称は同国での人気の高さから残されており、インドネシアのトヨタでは7代目「キジャン」とされている。同国でトヨタが生産する初のハイブリッド車であり、初のTNGAベース車である[6]。同月25日、インドでイノーバ ハイクロスINNOVA HyCross)として発表された[7][8]。2023年1月27日にはインドでイノーバクリスタを発表した[9]

パワーユニットは2.0Lガソリンおよび2.0Lガソリン+モーターのハイブリッドでありディーゼルエンジンのオプションはない[5]。トランスミッションは10速CVTでありMTは提供されない[5]

車名の由来

[編集]
  • イノーバの車名はイノベーション(Innovation )に由来する。
ホンダがかつて生産していたアコード(4代目欧州仕様)をベースにした4ドアハードトップの「アスコットイノーバ」と同じ車名であるが、トヨタ・イノーバは海外専売のため、商標権侵害などの問題はない。

脚注

[編集]
  1. ^ Paul Tan (2011年7月22日). “2011 Toyota Innova facelift – exterior and interior updates”. paultan.org. 2011年7月25日閲覧。
  2. ^ Hafriz Shah (2013年8月19日). “Latest Toyota Innova facelift unveiled in Indonesia”. paultan.org. 2013年8月20日閲覧。
  3. ^ トヨタがMPV新モデル、初の現地デザイン車[車両]”. NNA (2013年8月20日). 2013年8月20日閲覧。
  4. ^ トヨタ、新型ミニバン「イノーバ ゼニックス」世界初公開! 大型グリル採用で迫力顔!? HV採用し尼で発表”. くるまのニュース. 2022年11月21日閲覧。
  5. ^ a b c d トヨタの新型ミニバン、第5世代ハイブリッド搭載…『イノーバ・ゼニックス』をインドネシアで発表”. レスポンス(Response.jp). 2022年11月29日閲覧。
  6. ^ Dananjaya, Dio (2022年11月22日). “kompas.com/read/2022/11/22/141100215/alasan-toyota-masih-pakai-nama-kijang-pada-innova-zenix Alasan Toyota Masih Pakai Nama Kijang pada Innova Zenix” [The reason Toyota still uses a name Kijang on the Innova Zenix] (インドネシア語). Kompas.com. 2022年11月23日閲覧。
  7. ^ トヨタ、新型ミニバン「イノーバ ハイクロス」初公開! SUVルック&ライト付き天窓採用!? 印市場に投入”. くるまのニュース. 2022年11月29日閲覧。
  8. ^ トヨタ、インドで2車種目のハイブリッド車投入 販売強化」『Reuters』2022年11月25日。2022年11月29日閲覧。
  9. ^ MTあり! トヨタ「新型ミニバン」発表! タフ顔&ヒンジドア採用の新型「イノーバクリスタ」印市場で予約受付開始”. くるまのニュース (2023年1月31日). 2023年2月1日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]