ドーパミン受容体(ドーパミンじゅようたい、英: dopamine receptor)は、主に中枢神経系にあるGタンパク質共役受容体(GPCR)の一種であり、神経伝達物質であるドーパミンと結合する。
現在知られているドーパミンの受容体は5つある。下記の2群に分け、それぞれ興奮性、抑制性に作用すると論じられることが多いが、実際にはドーパミンの薬理学的、電気生理学的作用は単純ではない[1]。興奮性、抑制性作用の議論は主として、即時型遺伝子 (immediate early gene, IEG) の発現の増加、減少の観察にもとづいている[2]。
D1様受容体ファミリーの活性化はGタンパク質のGαsと共役し、それによってアデニル酸シクラーゼが活性化され細胞内のcAMP濃度が上昇する。プロテインキナーゼA (PKA) の活性によってDARPP32がリン酸化される。その後の機序はまだ不明の点が多いが、即時型遺伝子の発現が上昇することから、神経細胞(ニューロン)は活動電位を生じ易くなると考えられている。ただし実際の作用は単純ではない[1]。また、腎臓など内臓血管の平滑筋にも分布しており、cAMP濃度の上昇によって筋を弛緩させる。
D2様受容体ファミリーの活性化はGタンパク質のGαiと共役し、Gαiがホスホジエステラーゼの活性を高め、ホスホジエステラーゼによってcAMPが分解される。その後の機序にはまだ不明の点が多いが、即時型遺伝子の発現が低下することから、最終的にニューロンの発火を抑制すると考えられている。ただし実際の作用は単純ではない[1]。