ナタリー・ハインズ

ナタリー・ハインズ
選手情報
フルネーム ナタリー・アニシャ・ハインズ
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
泳法 自由形バタフライ
大学 アメリカ合衆国の旗 フロリダ大学
生年月日 (1993-12-07) 1993年12月7日(30歳)
生誕地 アメリカ合衆国の旗 テキサス州ミッドランド
身長 188cm
体重 76kg
獲得メダル
国際大会 1 2 3
オリンピック 0 0 1
世界選手権 1 0 1
世界短水路選手権 1 2 0
合計数 2 2 2
競泳 女子
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
オリンピック
2020 東京 4x100mフリーリレー
世界選手権
2022 ブダペスト 4x100mメドレーリレー
2022 ブダペスト 4x100mフリーリレー
世界短水路選手権
2022 メルボルン 4x50mフリーリレー
2022 メルボルン 4x100mフリーリレー
2022 メルボルン 4x50mメドレーリレー
テンプレートを表示

ナタリー・アニシャ・ハインズ(Natalie Anisha Hinds, 1993年12月7日 - )は、アメリカ合衆国テキサス州ミッドランド出身の女子競泳選手。専門は自由形バタフライオリンピック競泳アメリカ代表に選出されメダルを獲得した史上4人目のアフリカ系アメリカ人女性である。

経歴

[編集]

生い立ち

[編集]

父メルヴィンと母クラウディアの間に生まれる[1]。クラウディアはナタリーを妊娠中にラップスイミングをしていたという[2]

姉ローレンの後を追って4歳で水泳、6歳で競泳を始めると、9歳の時にはテキサス年齢別選手権に初出場を果たした。12歳の時には自分が水泳が得意なのだと気づいたという[1][3]

大学時代

[編集]

フロリダ大学に進学してゲイターズ英語版の一員となったハインズはNCAAタイトルこそ獲得できなかったものの、SEC選手権の100y自由形で2回優勝(2015年・2016年)、100yバタフライで1回優勝(2013年)、オール・アメリカ英語版に20回選出、2015年のオールSECファーストチームに選出、2013年のSEC女子最優秀新人賞を受賞するなど活躍した[4]。また、2015年NCAA選手権の100y自由形では1位にシモーネ・マニュエル、2位にリア・ニール、3位にハインズが入り、NCAA選手権の競泳競技で史上初めてアフリカ系アメリカ人が表彰台を独占するという歴史的快挙の当事者の1人となった[5]

引退と復帰

[編集]

2016年全米オリンピック選考会に出場するも50m自由形で55位(26秒08)、100m自由形で40位(56秒31)、100mバタフライで70位(1分01秒08)に終わった[6]。この散々な結果に、とても恥ずかしく、本当にがっかりしたというハインズは泳ぐことが嫌になり引退することにしたが、恥ずかしさもあって引退を公表することはしなかった。その後はターナー・ブロードキャスティングブリーチャー・レポート・ライブ英語版で働き、副業で水泳のコーチもしていた。仕事は好きだったものの朝9時から午後5時までのデスクワークが自分には向いていないと思っていたハインズは、2018年に全米選手権を観戦した際に選手たちが楽しそうに泳いでいるのを見て競泳に復帰することを決めた。2018年の秋からトレーニングを開始し、12月には復帰後初の大会に出場した[3][7]

復帰後最初の大きな大会となった2019年の全米選手権では、50mと100mの自由形で5位(25秒02と54秒34)、100mバタフライで8位(58秒78)と好成績を収めた[8]

2021年全米オリンピック選考会

[編集]

50mと100mの自由形、100mバタフライの3種目に出場した。50m自由形と100mバタフライは準決勝11位(25秒14と58秒40)に終わったものの[9][10]、前回の全米オリンピック選考会から大幅に順位を上げた(前回は50m自由形が55位、100mバタフライが70位)[11]。100m自由形では53秒84で4位に入り、個人種目での出場権は逃したものリレー要員としてアメリカ代表に選出された。これによりハインズは、マリッツァ・コレイアリア・ニール、シモーネ・マニュエルに次ぐ、オリンピック競泳アメリカ代表に選出された史上4人目のアフリカ系アメリカ人女性となった[7]

2020年東京オリンピック

[編集]

1年延期された東京オリンピックの4×100mフリーリレーに出場し、27歳にして国際大会デビューを果たした。第4泳を務めた予選ではチーム最速スプリットタイムの53秒28をマークし、アメリカの順位を4位から2位に引き上げる活躍を見せ、この結果決勝を泳ぐメンバーにも選ばれた。決勝前日は1時間しか眠れずパニックに陥ったが、ルームメイトに落ち着かせてもらい、カフェインを摂取して決勝に臨んだ。決勝では第3泳を務めると、第1泳のエリカ・ブラウン英語版と第2泳のアビー・ワイツェル英語版から引き継いだ時点では4位だったが、ハインズは53秒15のスプリットタイムをマークしてアメリカの順位を3位に引き上げた。ハインズから引き継いだ第4泳のシモーネ・マニュエルは50mを泳いだ時点でカナダを抜き2位だったが、最後にカナダに抜かれ0秒03差の3位に終わった[3][12][13]。ハインズは初出場のオリンピックで決勝を泳ぎ銅メダルを獲得した。

2022年全米国際大会選考会

[編集]

100m自由形で4位(53秒65)、50m自由形と100mバタフライで7位(24秒97と58秒45)に入り、この結果ブダペスト世界選手権のリレー代表に選出された[14][15]

2022年ブダペスト世界選手権

[編集]

世界選手権初出場を果たすと、第4泳を務めた4×100mリレー予選で53秒89のスプリットタイムをマークし、全体2位での決勝進出に貢献した[16]。予選のみの出場に終わったが、アメリカは決勝で3位に入ったためハインズも銅メダルを獲得した。4×100mメドレーリレーにも出場したハインズは予選でバタフライ区間の第3泳を務め、58秒88のスプリットタイムをマークして全体7位での決勝進出に貢献した[17]。予選のみの出場に終わったが、アメリカが優勝したためハインズも金メダルを獲得した。

2022年全米選手権

[編集]

100m自由形を自己ベストの53秒53で制し、28歳にして全米タイトルを獲得した[18]

2022年メルボルン世界短水路選手権

[編集]

メルボルン世界短水路選手権に出場すると、世界大会の個人種目初出場となった100m自由形は決勝に進出したものの8位に終わった。リレーには4種目に予選だけ出場し、4種目全てで決勝進出に貢献した。決勝の結果、4×50mフリーリレーで金メダル、4×100mフリーリレーと4×50mメドレーリレーで銀メダルを獲得した[19]

人物

[編集]

主要国際大会の成績

[編集]

世界水泳連盟ウェブサイト参照[21]

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2021 オリンピック 東京 4x100mフリーリレー 銅メダル 3分32秒81 第3泳
2022 世界選手権 ブダペスト 4x100mフリーリレー 予選2位 3分35秒23 第4泳
4x100mメドレーリレー 予選7位 4分00秒06 第3泳
世界短水路選手権 メルボルン 100m自由形 8位 52秒24
4x50mフリーリレー 予選3位 1分36秒17 第3泳
4x100mフリーリレー 予選4位 3分31秒11 第3泳
4x50mメドレーリレー 予選7位 1分46秒58 第4泳
混合4x50mフリーリレー 予選4位 1分29秒97 第3泳、[注釈 1]

自己ベスト

[編集]

SwimRankings.net参照[22]

種目 記録 日付 大会 場所 備考
長水路
50m自由形 24秒97 2022年4月30日 全米国際大会選考会 グリーンズボロ
100m自由形 53秒53 2022年7月26日 全米選手権 アーバイン
200m自由形 1分59秒82 2022年7月27日 全米選手権 アーバイン
50mバタフライ 26秒07 2022年4月27日 全米国際大会選考会 グリーンズボロ
100mバタフライ 58秒40 2021年6月13日 全米オリンピック選考会 オマハ
短水路
50m自由形 24秒11 2022年11月3日 ワールドカップ インディアナポリス
100m自由形 52秒01 2019年12月21日 ISL・グランドファイナル ラスベガス
200m自由形 1分56秒51 2022年11月4日 ワールドカップ インディアナポリス
50mバタフライ 25秒62 2022年11月4日 ワールドカップ インディアナポリス
100mバタフライ 57秒01 2019年12月20日 ISL・グランドファイナル ラスベガス

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 決勝のアメリカは4位

出典

[編集]
  1. ^ a b Christopher Hadorn (2021年7月21日). “Hinds’ Olympic journey brings joy to family, ex-coaches” (英語). mrt.com. Midland Reporter-Telegram. 2021年12月8日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年8月28日閲覧。
  2. ^ Len Hayward (2012年6月24日). “Hinds hopes to make dream come true at Olympic trials” (英語). mrt.com. Midland Reporter-Telegram. 2024年8月28日閲覧。
  3. ^ a b c Mary Omatiga (2022年12月1日). “Growth in Deep Waters: How U.S swimmer Natalie Hinds got her confidence back” (英語). nbcsports.com. NBCスポーツ. 2024年8月28日閲覧。
  4. ^ Natalie Hinds” (英語). floridagators.com. Florida Gators. 2024年8月28日閲覧。
  5. ^ Mike Watkins (2015年3月25日). “More Than a Race” (英語). usaswimming.org. USA Swimming. 2024年9月2日閲覧。
  6. ^ U.S. Olympic Team Trials - Swimming Complete results book” (PDF) (英語). omegatiming.com. オメガ. 2024年9月3日閲覧。
  7. ^ a b Michelle R. Martinelli (2021年7月23日). “First-time Olympic swimmer Natalie Hinds has one of the best comeback stories you've probably never heard” (英語). ftw.usatoday.com. USAトゥデイ. 2024年9月1日閲覧。
  8. ^ Ben Dornan (2022年1月9日). “Olympic Medalist And Former Georgia Pro Natalie Hinds Returns To Florida” (英語). swimswam.com. SwimSwam. 2024年9月1日閲覧。
  9. ^ OLYMPIC TRIALS: Hinds finishes 11th overall in 50 free semis” (英語). mrt.com. Midland Reporter-Telegram (2021年6月19日). 2021年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年9月2日閲覧。
  10. ^ OLYMPIC TRIALS: MHS grad Hinds finishes 11th in 100 butterfly” (英語). mrt.com. Midland Reporter-Telegram (2021年6月13日). 2021年7月29日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年9月2日閲覧。
  11. ^ Dennis J. Freeman (2021年7月8日). “Swimmer Natalie Hinds rewrites her Hollywood script” (英語). news4usonline.com. News4usonline. 2024年9月1日閲覧。
  12. ^ Christopher Hadorn (2021年7月30日). “Mother overjoyed by Natalie Hinds' Olympic medal moment” (英語). mrt.com. Midland Reporter-Telegram. 2021年9月21日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年9月2日閲覧。
  13. ^ Nicholas Mendola (2021年10月8日). “Australia breaks its world record, USA women win bronze in freestyle relay” (英語). nbcolympics.com. NBC Olympics. 2024年9月2日閲覧。
  14. ^ Phillips 66 International Team Trials RESULTS BOOK” (PDF) (英語). omegatiming.com. オメガ. 2024年9月2日閲覧。
  15. ^ Andy Ross (2022年5月5日). “USA athletes swim for #FINABudapest2022 spots” (英語). worldaquatics.com. 世界水泳連盟. 2024年9月2日閲覧。
  16. ^ Yanyan Li (2022年6月18日). “Women’s 4×100 FR Prelims: Will Douglass, Hinds, or Comerford Be Kept For Finals?” (英語). swimswam.com. SwimSwam. 2024年9月2日閲覧。
  17. ^ John Lohn (2022年6月25日). “World Championships: Australia Claims Top Seed in Women’s 400 Medley Relay; U.S. Advances in Seventh” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World. 2024年9月2日閲覧。
  18. ^ Matthew De George (2022年7月26日). “U.S. Nationals: Natalie Hinds Delivers Composed Swim for 100 Free Crown (VIDEO)” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World. 2024年9月2日閲覧。
  19. ^ 16th FINA World Swimming Championships (25m) RESULTS BOOK” (PDF) (英語). omegatiming.com. オメガ. 2024年9月2日閲覧。
  20. ^ a b c d NATALIE HINDS” (英語). about.arenasport.com. arena. 2024年9月2日閲覧。
  21. ^ Natalie HINDS” (英語). worldaquatics.com. 世界水泳連盟. 2024年8月25日閲覧。
  22. ^ HINDS, Natalie” (英語). swimrankings.net. 2024年8月29日閲覧。

外部リンク

[編集]