チャーリー・ナッシュ プロフィール
ナッシュ(Nash)は、カプコンの対戦格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場する架空の人物。
フルネームはチャーリー・ナッシュ(Charlie Nash)。元々チャーリー(Charlie)は日本国外版でのナッシュの名前だったが、後に正式設定として両方の名前が組み込まれた。
アメリカ空軍の中尉であり、同じアメリカ空軍に所属するガイルの親友。顔の前に垂らした長い前髪が特徴の、インテリな雰囲気を漂わせた青年。眼鏡をかけているが視力は良く、おしゃれでかけている伊達眼鏡である。そのため、戦いの際には眼鏡をはずす。
プレイヤーキャラクターとして登場したのは『ストリートファイターZERO』(以下『ZERO』と表記)シリーズからだが、『ストリートファイターII』(以下『ストII』と表記)ではベガによって殺害されたという設定で、名前のみ登場していた。ここでは、瀕死となったナッシュのもとにガイルが駆けつけた際、「ベガ」と「サイコパワー」のことを伝え、息を引き取ったとされ[3]、ガイルがベガを追う理由が殺されたナッシュの仇討ちとなっている。一方、初代と『ストII』の間をイメージしたタイトルである『ZERO』シリーズでは、後述のようにエンディングでナッシュがベガから返り討ちにあう展開が存在するが、開発スタッフによるとその後のナッシュは行方不明ということになっている。ただし生きていると断言しているわけではなく、そのへんはボカした感じにしているとのこと[4]。また『ストII』ではガイルと同じ部隊所属だが、『ZERO』シリーズ初期の関連書籍には「彼の所属する部隊にはガイルという人物はいない」とする記述もあり[5]、両者が同一人物かどうかはっきりとは語られていなかった。『ZERO』の開発段階でもナッシュというキャラクターは人によって色々なイメージを持たれており、企画のキャラクター担当者の中でも黒人や気のいいおっちゃんタイプなどがイメージされていたが、最終的にデザイナーによって眼鏡をかけた知的なタイプに決定した[4]。
格闘技術も優れておりマーシャルアーツの全米大会で優勝した経歴を持つ。戦いに関しても頭脳派で、相手の動きを先読みしながら闘う。言動もクールでキザな態度をとることもあるが、軍の腐敗が許せず、上層部と癒着するシャドルーを単身追い詰めるなど、熱くなりやすい一面がある。
ガイルとは技が酷似しているが、彼らの格闘術は所属する部隊が独自にアレンジしたマーシャルアーツであり、すべての隊員がそれを修得している[6]。
代表的な勝ち台詞に「イージーオペレーション」があり、後にガイルも使うようになった。
『ZERO2』や『ZERO3』でのアーケードモードでは「マッドギア」配下だった軍人ロレントがCPU戦で乱入キャラクターや固定キャラクターとして登場して戦いを挑まれることもある。
麻薬の売買に軍人が絡んでいることを知り、真偽を確かめるために単独で情報を集めていた。調査を進めた末、軍の上層部で麻薬組織と密接に絡んだ者がいることがわかったが、軍にとって厄介な導因となるため上官に報告を無視され、たとえ1人でも戦いを挑むことを決意する[7]。
軍内部の腐敗の根源としてベガに目を付け追跡する。両作品とも最終ボスがベガになっており、エンディングではベガを追いつめるも返り討ちにあうという悲劇的な結末となっている。この際に死んだかどうかについては明確な記述はない。
軍内部の腐敗を追及するという設定は変わらないが、上層部に察知され左遷されてしまう。しかしナッシュ自身はこれを好機と位置づけ、インターポールの春麗と共にベガを追うようになる。
本作のエンディングは先述の『ZERO』および『ZERO2』と正反対に、彼がベガを倒すことに成功している。
しかし、家庭用で追加されたガイルのシナリオでは、ナッシュを追って基地へ乗り込んだガイルがベガを倒すものの、不死身の力を持つベガにとどめを刺すため、ナッシュは囮となってガイルを逃がした。その後ベガと共に基地の爆発に巻き込まれて生死不明となっている。
『ストリートファイターIV』(以下『ストIV』と表記)から設定上のフルネームが、欧米版と日本版の名を繋げた「チャーリー・ナッシュ (Charlie Nash)」に設定されており、ガイルのプロローグでガイルが長官から貰ったナッシュのドッグタグに書かれている。このフルネームは元々はコミック版などでの設定だったが、ゲーム本編に逆輸入されたことにより、本作以降「ナッシュ」の名はラストネーム(苗字)として扱われている。
本作においてアベルがガイルの「ソニックブーム」を見たことがあると発言。本技をガイル以外で使うのはナッシュとセスであるが、ガイルにその技を使う男の居場所を問い詰められた際に、男の情報をアベルが守ろうとした点や、その当時まだアベルはセスを知らなかったことから、ナッシュの可能性が高いとされていた。
ガイルのプロローグでは背景は描かれていないが『ZERO2』エンディング同様、崖に転落している描写が描かれている。
公式HPのブログにおける全登場人物関連図にて、本作の5年前にアベルを救出し知人の傭兵隊長に彼を託して行方を眩ませた人物がナッシュ本人であると判明した。
なお『ストIV』シリーズでは『ストII』シリーズと同様にストーリー中で名前のみの登場である。
『ストリートファイターV』(以下『ストV』と表記)ではプレイアブルキャラクターとして復活。この作品では日本国外でもキャラクター名がナッシュ(Nash)となっている[8]。また、『ストIV』から「チャーリー・ナッシュ」のフルネーム設定を引き継いでおり、クリムゾン・ヴァイパーとヘレン(正体はギルの秘書・コーリン)がその名称で呼んでいる。また日本国外版のストーリーモードではガイルに「チャーリー」と呼ばれている。ラシードからは「旦那」と呼ばれている。
本作では共に行動していたガイルの諌めを無視し単身敵地に乗り込み、『ZERO2』同様の経緯となる。ベガの息のかかった米軍機に撃たれて滝つぼに落ち「行方不明」扱いとなり、世間から死者として忘却される展開となる。実際には全身の骨が砕けて死亡したが、ユリアンの組織の技術で長い時間が過ぎてから蘇生する。その後、ヘレンの勧めで療養も兼ねて巡った先のインドにてシャドルーと縁のある少年エドに絡まれて「死体は、そんなに動いたり喋ったりしない」と言われたことで、己の肉体がすでに屍で「長くは保たない」と悟って冷徹な復讐鬼へと変貌し、以後はベガの命を付け狙う。ヘレンによって集められたラシード、ハン・ジュリと協力しピースを回収することになる。その後もガイルとの戦いでソニックブームを吸収(バレットクリア)したことで自身が、エネルギーを吸収する能力を身に着けたことを知る。
一度はベガと闘うも「自分は死者で時が止まっているが、ベガは強くなり続けている」ことを悟り、ベガを殺すことを諦め自分にできることをすると決意している。またヘレンの本性も見抜いており、彼女の進言で蘇生させられたにもかかわらず、彼女に対する恩義はなく異論を唱えるようになり、最終的には彼女と決別する。
シャドルー基地に潜入した際に突如現れたネカリの乱入で追跡されるも、一時的に退却すべく春麗らと共に神月財閥のヘリに乗って脱出する。そこで、ガイルと再会を果たし友情を修復する。
サイコパワーに飲み込まれたアベルをガイルと二人掛かりで止めた際、サイコパワーを全て吸収することでアベルを救う。再びベガと戦い「黒い月」の機能が停止しサイコパワーの供給が止まった隙を衝いて刺し違え、ベガのサイコパワーを全て吸収しようとしたが身体が負荷に耐え切れず爆発し最期を遂げる。
蘇生の際にイレヴン(トゥエルヴ以前の試作品)の素体が肉体の修復に使用されており、半身が継ぎ接ぎで肌の色が異なり、額には緑色の発光体が埋め込まれている。技も従来とは異なり瞬間移動技などが追加されている[9]。
『ZERO』シリーズでは戦いの際には眼鏡を外すが、本作ではかけたままで戦う。また『ZERO』シリーズにおいてはボイスは英語のみであったが、本作では日本語も発する。
近未来・西暦20XX年を舞台としたアクションシューティングゲーム『ガンスパイク』にもナッシュがプレイヤーキャラクターとしてゲスト出演している。ここでのナッシュは『ストリートファイター』シリーズ本編とは異なり、対ロボット特殊部隊「ARSF(Anti-Robot Special Forces)」に所属するメンバーの一人となっている。本作でのナッシュは28歳という設定で登場しており、同作品において21歳のキャミィよりも7歳年上となっている[10]。本作でも、ナッシュを使用してクリアするとエンディングで基地の爆発に巻き込まれて生死不明となる。ただし、使用キャラクターの組み合わせによっては生還する場合もある。
シャドウ プロフィール
ナッシュはベガを追う者として『X-MEN VS. STREET FIGHTER』(以下、『X-MEN VS. SF』と表記)にも登場するが、アポカリプスを倒した後でシャドルーに拉致されてしまう。続編『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』(以下、『MSH VS. SF』と表記)では、この設定を引き継いでベガに改造された改造人間シャドウとして登場するが、シャドルーから逃れて正義の味方として戦う。シャドウの姿はナッシュをそのままベースにしているが、全身が黒ずんだ影のような姿になっている。エンディングでは、再びシャドルーに捕まって頭脳と身体を大幅に改造されてしまう(ただし、この時の姿は後続作品には受け継がれていない)。
『MARVEL VS. CAPCOM CLASH OF SUPER HEROES』(以下、『MARVEL VS. CAPCOM』と表記)では、『MSH VS. SF』の姿で隠しスペシャルパートナーとして登場。また、春麗のエンディングにシャドウが登場し、シャドルーに改造されそうになった春麗を救出してベガを追う。さらに、隠しキャラクターとして登場するシャドウレディ(改造された春麗)は、シャドウの仲間で同じく正義の改造人間という設定になっており、エンディングではベガに襲われて瀕死のジン・サオトメを助けるため、2人はジンを新たな改造人間にする。
なお、『MARVEL VS. CAPCOM 2 NEW AGE OF HEROES』ではシャドウではなく本来のナッシュとして登場している。アメリカンコミック版『ストリートファイター』ではナッシュ、シャドウともにゲームに近い設定で登場している。
また、『ストV』の公式ホームページ「シャドルー格闘家研究所」の「キャラ図鑑」にて個人プロフィールが明かされている[11]。
所属が同じということもあり、大半はガイルと同じような技となっているが、若干性能が異なるところがある。『ストV』では性能が大きく変化し、タメコマンドでなくなった。
作品によって若干差異はあるが、ここでは『ZERO』シリーズでの技名称を掲載。なお『ZERO3』以前での立ち状態の遠近の区別はない。
操作 | 立ち(近距離) | 立ち(遠距離) | しゃがみ | 垂直ジャンプ | 斜めジャンプ |
---|---|---|---|---|---|
弱パンチ | ジャブ | ストレート | |||
中パンチ | アッパー(※1) / サイドブロウ(※2) | アッパー(※1) / ストレート(※2) | ストレート | ジャンプチョップ(※1) / ジャンプアッパー(※2) | |
強パンチ | ストレート(※1) / アッパー(※2) | ストレート(※1) / スピニングバックナックル(※2) | リフトアッパー | ジャンプチョップ | |
弱キック | ローキック | キック | ハイキック | ニーキック | |
中キック | ハイキック | ハイキック(※1) / ジャンピングソバット(※2) | ミドルレンジキック(※3) | サイドキック | |
強キック | アンチエアキック | アンチエアキック(※1) / ミドルキック(※2) | アンチグランドキック |
『MSH VS. SF』でシャドウが使う技は、「シャドウブーム」「シャドウブレイク」「シャドウジャスティス」「クロスシャドウブリッツ」のように、技の内容は基本的にナッシュと同じだが、元の技名の一部を「シャドウ」に置き換えている。さらに、必殺技を当てると青い炎が燃え上がり、ハイパーコンボ発動時には目が光る演出が追加された。
また、シャドウオリジナルのハイパーコンボとして、以下の新技が追加されている。
なお、『MARVEL VS. CAPCOM』でシャドウがスペシャルパートナーとして登場する際は「シャドウジャスティス」で攻撃を行う。
『ストV』の期間限定のエクストラバトルで登場する、全身が黒くなっているナッシュ(ゲーム中の名前表記はシャドウ)。使用する攻撃自体は通常のナッシュと同じだが、性能が大きく異なっている。
日本国外ではチャーリー (Charlie) と呼ばれていることから、一部のコミックや映画などでは2つの名を接続して「チャーリー・ナッシュ」 (Charlie Nash) がフルネームとされることがあり、後にゲーム本編でも『ストIV』以降このフルネームの設定が使用されている(上記を参照)。この設定の場合、「ナッシュ」は名字とされている。
1994年のハリウッド実写映画『ストリートファイター』では、ガイルの同僚としてカルロス・ブランカ中尉(愛称は「チャーリー」)が登場し、バイソン軍のダルシム博士による肉体改造を受けてブランカとなるが、このカルロス・ブランカがゲームでいうナッシュであるかについては明言されていない。当時、まだナッシュ(チャーリー)は、ガイルの設定において名前が登場するのみであった。このカルロス・ブランカはゲーム版では『ストリートファイター リアルバトル オン フィルム』でプレイヤーキャラクターとして登場している。
2009年に公開された春麗が主役の実写映画『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』では、クリス・クラインが演じている[17]。日本語吹替版の担当声優は腹筋善之介。フルネームは「チャーリー・ナッシュ」とされている。この映画でのナッシュは軍人ではなく、インターポールの捜査官(刑事)。謎に包まれた犯罪組織シャドルーと、その頂点に立つ男・ベガを追い続けているという設定は踏襲されている。捜査中に同じくベガを追う春麗と出会い、後に彼女やその師匠であるゲン(元)と共同戦線を張ってベガと対峙する。格闘家という描写はなく、アクションシーンでは銃器を使う。
1995年のテレビアニメ『ストリートファイターII V』に登場したナッシュは、役柄は『ストII』での設定通りだが、外見は黒髪のヒゲ面になっており、本作の後に同年稼働した『ZERO』登場時のものとは全く異なっている。
なお、同作を基にした坂井孝行による漫画『正伝 ストリートファイターII V』(『月刊コロコロコミック』連載)では、顔はアニメ版と同様の髭面ではあるものの、髪型や服装などはゲーム版に準じたもので折衷したデザインになっている。
ウドン (UDON) によるアメリカンコミック『Street Fighter』では、チャーリー・ナッシュとして登場。冒頭でシャドルーに捕まり、前述の通りに肉体改造と洗脳を施され、エージェント「シャドウ」としても登場する。
第二章『ストリートファイターII 復讐の戦士』に、シャドルーに捕えられた捕虜として登場。ガイルいわく「軍にいるのが不思議な位優しい」「ナッシュがいたから殺人機械にならずに済んだ」といった、優しい一面が語られる。ベガが開発した新型麻薬「サイロックDタイプ」の試作品を投与されて身も心も悪魔と化したナッシュは、救出に駆けつけたガイルと凄惨な死闘を繰り広げる。最後には正気に戻るが、ガイルの手で絶命する。なお、マイク・バイソンは死闘の際にナッシュが正気になるよう、必死で祈っていた。