ハイラエオチャンプサ (学名 :Hylaeochampsa )は、イギリス の前期白亜紀 の地層 から化石 が発見された初期の正鰐類 の属 [ 1] 。現生のワニ に近い動物であり、頭骨長約10センチメートル、全長約1メートル[ 1] 。内鼻孔 が後退して翼状骨 内に位置するほか、顎の奥部に位置する歯 が丸みを帯びる点を特徴とする[ 1] 。
ハイラエオチャンプサは、ワイト島 に分布する下部白亜系 のウィールデン層群 (英語版 ) ヴェクティス層 (英語版 ) のバレミアン 階の岩石から回収された、部分的な頭蓋骨のみから知られる。当該の頭蓋骨 BMNH R 177 は短く幅広で、正鰐類 と同様の口蓋 を有し、食物を噛み潰すことに適したと思われる膨張した大型の歯が口の後側に位置する[ 2] 。ハイラエオチャンプサは1874年にリチャード・オーウェン が記載しており、H. vectiana がタイプ種とされた[ 2] 。
僅かに古いヘテロスクス (英語版 ) は同様の真価段階に位置付けられており同属の可能性があるが、ヘテロスクスは椎骨 のみが知られているため、重複する部位は存在しない。もし2属がシノニムの関係にあることが示されるならば、ハイラエオチャンプサの方が古い学名を持つため先取権を有する。ハイラエオチャンプサはハイラエオチャンプサ科 のタイプ属であり、同科にはハンガリー の上部白亜系 から産出したイハルクトスクス が内包される。ジャック・クラークとマーク・ノレルは、同科をワニ目 の姉妹群 に位置付けた[ 3] 。2013年時点において、ハイラエオチャンプサは間違いなく正鰐類に分類できる中で既知のうち最古のものとされている[ 4] 。
以下のクラドグラム は2011年の Buscalioni et al. の系統解析の結果に基づく[ 5] 。
^ a b c 小林快次 『ワニと恐竜の共存 巨大ワニと恐竜の世界』北海道大学出版会 、2013年7月25日、32、36頁。ISBN 978-4-8329-1398-1 。
^ a b Owen, Professor (1874). “Monograph on the Fossil Reptilia of the Wealden and Purbeck Formations. Supplement No. V. Pages 1–18; Plates I & II. Dinosauria (Iguanodon). [Wealden and Purbeck.] ''Issued in the Volume for the Year'' 1873” . Monographs of the Palaeontographical Society (Taylor & Francis) 27 (124): 1-18. doi :10.1080/02693445.1874.12113258 . https://doi.org/10.1080/02693445.1874.12113258 .
^ Clark, James M.; Norell, Mark A. (1992). “The Early Cretaceous crocodylomorph Hylaeochampsa vectiana from the wealden of the Isle of Wight” . American Museum Novitates (3032). hdl :2246/5002 . https://hdl.handle.net/2246/5002 .
^ Brochu, Christopher A. (2003). “Phylogenetic approaches toward crocodylian history” . Annual Review of Earth and Planetary Sciences 31 (31): 357–397. Bibcode : 2003AREPS..31..357B . doi :10.1146/annurev.earth.31.100901.141308 . https://doi.org/10.1146/annurev.earth.31.100901.141308 .
^ Buscalioni, A.D.; Piras, P.; Vullo, R.; Signore, M.; Barbera, C. (2011). “Early eusuchia crocodylomorpha from the vertebrate-rich Plattenkalk of Pietraroia (Lower Albian, southern Apennines, Italy)”. Zoological Journal of the Linnean Society 163 : S199–S227. doi :10.1111/j.1096-3642.2011.00718.x .