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タイプ | 電子図書館 |
運営者 | 複数大学のコンソーシアム |
開始 | 2008年10月 |
現在の状態 | 運用中 |
ライセンス | パブリックドメインの他、著作権保護対象の場合はクリエイティブ・コモンズ[1] |
プログラミング言語 | Perl、Java[2] |
ハーティトラスト・デジタルライブラリ (英語: HathiTrust Digital Library、略称: ハーティトラスト) とは、アメリカ合衆国を中心とした世界各国の大学等の図書館が所管する書籍や報道資料をデジタル・アーカイブする電子図書館である。2008年発足当初の収蔵書籍数は200万冊 (パブリックドメインに帰す書籍全体の約16%に相当) だったが、10年後の2018年10月時点では1億6700万冊まで拡大し、参加図書館数も世界140を超えている[3]。
ハーティトラストは2008年1月から立ち上げ準備に着手し、幹事のミシガン大学図書館長 Paul Courant、インディアナ大学図書館を中心に[4]同年10月に米国の中西部を中心としたビッグ10大学連盟 (旧The Committee on Institutional Cooperation) に加盟する12の大学[註 1]、シカゴ大学、およびカリフォルニア大学傘下の11の図書館によって正式に共同設立された[5]。「Hathi」はヒンディー語/ウルドゥー語でゾウを意味し、優れた記憶力で有名な動物である。
デジタル化された著作物は、Google ブックスやインターネットアーカイブ、マイクロソフトといったデジタル・コンテンツの流通を促進する私企業サービスの他、ハーティトラストに参画する各図書館が独自に保有するシステムに提供されている[6][7]。デジタル化は、著作権法上の保護下とパブリックドメイン (保護対象外または保護期間が消滅したもの) の両方を対象としている。著作権保護下の著作物の場合、デジタル化にあたっては著作権者からの利用許諾が必要とされるため、ハーティトラストではクリエイティブ・コモンズの方式を採用している[1]。また、デジタル化された著作物やその利用者は世界各国に渡り、各国の著作権法によって保護期間が異なることから、保護ステータスを判別するために利用者のIPアドレスなどを捕捉している[1]。
運営コストは、参加図書館や図書館コンソーシアムが提供するデジタル著作物の量に比例して按分され[8]、デジタル著作物を収録したリポジトリはインディアナ大学とミシガン大学によって運営されている[要出典]。ハーティトラストの理事会メンバーは12名で構成され、その半数を設立原加盟の各大学が占める会則となっている[註 2]。2019年時点の理事長はアイオワ大学のen:John Culshawが務める[9]。
2011年9月、全米作家協会は大規模な著作権侵害を犯しているとしてハーティトラストを提訴した。ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所は2012年10月、ハーティトラストによるGoogleがスキャンした書籍の仕様は米国著作権法の定めたフェアユース (公正利用) にあたると判断し、全米作家協会の訴えを退けた[10]。
なお同協会は2005年9月、Googleブックスを運営するGoogleに対して、同じく著作権侵害の集団訴訟を起こしている。フェアユース定理の判断基準の一つに非営利性が挙げられていることや、Googleブックスが世界各国でサービス展開していることから複雑性が増し、対ハーティトラストの判決が約1年で決着したのに対し、対Googleの最終判決には約11年を要したが、こちらもフェアユースと判断された。
発行年順