パイ・ゴウ・ポーカー (Pai Gow Poker)とは、中国の「牌九」というドミノに似た牌を使用して行うゲームを、トランプで行うように翻案したギャンブルゲームの一種である。ポーカーをモチーフとしてはいるが、通常のポーカーのように客同士が対抗するのではなく客と胴元が対抗する。
広東語の「九」の発音も、英語の「gow」も、「ゴウ」より「ガウ」に近い。したがって、「パイ・ガウ・ポーカー」あるいは「パイ・ガオ・ポーカー」と呼ばれることもある。
最適な戦略は時に複雑である。比較的頻繁に出現する悩ましいケースは、ツーペアがある場合に、これをローハンドとハイハンドにワンペアとして振り分けるか否かであるが、十分に高位の札を含むツーペアの場合は、ハイハンドとローハンドそれぞれにワンペアとして分けるのが一般的な戦略とされている。
バンクプレイとは、一人のプレイヤーが定率の手数料をカジノ側に支払うことにより、他のすべてのプレイヤーと対抗する胴元の立場としてゲームを行うルールである。この場合のカジノは、ゲームに負けるというリスクを負わずに、手数料収入のみを得る。一方、バンクプレイをするプレイヤーは、他のすべてのプレイヤーに対する支払いを担保するだけの資金量を必要とするリスクを負う反面、コピーハンド時の優位性が得られる利点がある。
最高6人のプレイヤーが着席できるテーブルにおいて、空席がある場合、誰か一人のプレイヤーに限り、二つの席を掛け持ってプレイすることを許容するルールを採用しているカジノもある。この二つ目の手をドラゴンハンドと言い、ドラゴンハンドへの賭けを引き受けたプレイヤーは、まず自分の席に配られたカードを二つの手に分けた終わった後に、ドラゴンハンドを二つの手に分けて、結果の判定を待つ。
ドラゴンハンドへの賭けを引き受ける権利は、1ゲームが終了するごとに右隣のプレイヤーに移動するが、権利が回って来ても行使せずに、次のプレイヤーに譲っても良い。このルールの意図はテーブルの稼働率を上げる点にあり、勝率やペイアウト率に影響を及ぼすものではない。
カジノによっては、本来の賭けとは独立した別の賭けであるサイドベットを受け付けている場合がある。サイドベットを賭けておくと、手に一定以上の役ができた場合に、本来の賭けの結果とは関係なく配当を受けることができる。得られる配当の額は役のランクにより異なる。サイドベットのシステムには、プログレッシブ・ジャックポットを取り入れているものや、一定額以上を張っておくと、他のプレイヤーの手に高い手ができた場合にも配当を受けられるものなど、数種類のバリエーションがある。