パダン料理(パダンりょうり)はインドネシア西スマトラ州各地の料理の総称。ナシパダンとも言う。マレーシアとシンガポールではナシパダンとして知られている。西スマトラ州のカパウ地方のパダン料理はナシカパウ(インドネシア語:nasi Kapau)と呼ぶ。なお、パダンは西スマトラ州最大の都市の名、ナシは飯を意味する。
インドや中近東の料理の影響を受け、肉や野菜のカレーが多い。トウガラシを使った辛い料理が多い。インド料理と異なり、ココナッツミルクで煮込む料理が殆ど。使用される肉は牛肉、水牛、牛の腸、牛の脳、チキン、ダック。淡水魚はフナ、グラミー、タウナギ。野菜の種類は限られていて、キャッサバの葉、若いジャックフルーツ、ジュウロクササゲ、シダ、インゲンマメ、ネジレフサマメノキの豆とナス。一般的なスパイスはトウガラシ、シャロット、ニンニク、レモングラス、ショウガ、ウコン、ウコンの葉、ナンキョウ、コショウ、コリアンダー、キャンドルナッツ、乾燥したキャニモモ。デザートとお菓子以外、砂糖は使わない。サテパダンだけは例外的にクミンとカレー粉を使う[1]。
パダン料理は手で食べる人が多い。食べる前に水の入った椀で手を洗う、又は近くにあるシンクで石けんで手を洗う。
パダン料理は種類ごとに皿に盛りつけて、飾り棚にピラミッドのように重ねる。客は注文の必要が無くテーブルにつくとウエーターがご飯と12種類以上のおかずを出す。両手両腕を使って給仕人が上手にバランスを取って料理を客のテーブルに運ぶ。カレー類と汁があるおかずはスプーンで皿から取る。食べたくない料理には触れない。食べたいおかずだけで食べて、その分の代金を払う。客が触れなかった料理は別の客に出す。
店内にはメニューや料金の表示がないので、知りたい場合はウエーターに説明してもらう。観光客には料金や調理の面で不安要素はあるが、殆どのパダン料理はチェーン店で、誠実かつ衛生面の問題も少く、仮に代金を水増しされたとしても西欧の基準からすれば非常に安価である[2]。
そんなに数多くのおかずが要らない場合、レストランに入ったらすぐに飾り棚に行って、好きなおかずだけを注文する。これをナシラマス(nasi ramas、混ぜご飯の意)と言う。紙とバナナの葉で包んだ持ち帰り用のナシラマスをナシブンクス(nasi bungkus、包むご飯の意)と言う。