パネンカ(Panenka)は、サッカーのペナルティーキックにおけるテクニックの一つである。
通常、PKも他のシュートと同じように、なるべく強いキックでゴールの隅を狙って蹴るのが一般的であるが、それに対しパネンカは、ゴールの中心に向かってチップキックと同じ要領で柔らかく蹴り、通常のシュートを予想したGKが左右のいずれか飛んだことで空いた中央にゴールするキーパーを欺くシュート方法である。
UEFA欧州選手権1976決勝で、チェコスロバキア代表のアントニーン・パネンカがドイツ代表のゼップ・マイヤーにチップキックでPKを決めチェコスロバキア代表を優勝に導いた。この時のテレビ実況は彼が蹴った瞬間にパネンカと叫び、この驚くべきPKが決まったあとパネンカの名を連呼した。このことからチップキックによるPKのことを「パネンカ」と呼び表すようになった[1][2]。なお、イタリア語圏ではこのシュート方法のことをIl cucchiaio (イル・クッキアイオ, スプーンの意)と呼んでいる[3]。
前述のように、これはGKが横に飛ぶことを成功の前提とするため、GKはこれを読んでしまえば防ぐことは非常に容易となる。
パネンカ以降、パネンカを試みた選手は数が限られている[4][5]。フランチェスコ・トッティ(UEFA EURO 2000)、ジネディーヌ・ジダン(2006 FIFAワールドカップ・決勝)、セバスティアン・アブレウ(2010 FIFAワールドカップ準々決勝)、アンドレア・ピルロ(UEFA EURO 2012)[6][7]、アレクシス・サンチェス(コパ・アメリカ2015決勝)[8]、オマル・アブドゥッラフマーン(AFCアジアカップ2015準々決勝)、アクラフ・ハキミ(2022 FIFAワールドカップ決勝トーナメント1回戦)[9]、ダニ・カルバハル(UEFAネーションズリーグ2022-23決勝)などといった面々が大舞台でパネンカを成功させている。