『パパの教育』(That's My Pup、1953年4月25日、劇場公開時『ブルの父ちゃん』)はトムとジェリーの作品の一つ。
ブルドッグのスパイクは、息子のタイクに「イヌにとって忘れてはならない3つのこと」を教える。1つ目は「イヌは人間の友達である」ということ、2つ目は「骨を埋める(スパイク曰く『理由は知らないがイヌは皆やってるから』)」ということ、そして3つ目は「ネコ共を追いかける」ということ。
特に一番重要だという3つ目について教えていた所へ、トムがジェリーを追い回しながら近づいてくる。タイクに手本を見せてやろうとしていたスパイクは、これ幸いと穴の側で待ち構えているトムに対して吠え付き、追いかけっこを始める。それを見たタイクは真似をしたがる。
息子の向上心を誇らしく思ったスパイクはトムに「今からうちのせがれにネコの追っかけ方を教えなくちゃならねえ。だから練習に付き合え。せがれが吠えたらお前は必死に逃げて木に登るんだ。いいな?」と無理やり同意させる。あわれトムはタイクの練習台にされてしまう。
迷惑千万のトムはそんなこと知るかとばかりに、再びジェリーを狙おうとしたり、スパイクが見ていない前でタイクを蹴り飛ばそうとする。一方、スパイクの話を聴いていたジェリーもまた、イヌの吠え真似をしてトムを脅かそうとする。トムはジェリーを追い回していても、たかが子犬のタイクが吠える度に逃げなくてはいけない。
そのうちにタイクは逃げ隠れたトムを見つけると、尻尾を噛んでトムを引きずり回すようになってしまった。うんざりしたトムはタイクをバケツで塞ぐと、自分によく似た剥製から尻尾を拝借し、タイクを騙してポールに宙吊りにしてしまった。
タイクの怯える声を聞きつけたスパイクが駆けつけ、吠えた拍子に自身の頭に息子を落下させて救う。トムの仕業だと知ったスパイクは怒り狂い、ポールに油を塗った上でトムをしばき上げて追い詰める。スパイクに吠えられトムは柱の上へ避難するが、油が塗られているため滑り落ちてしまい、また吠え付かれて柱に上がっては滑り落ちる。
その後スパイクは息子に後を任せることにする。やがて日が暮れて夜になったが、いまだにタイクはトムに吠え付き、柱に駆け上がるトムは油で滑り落ち、また吠え付かれては上る。そんな「練習」をしているタイクの姿をスパイクとジェリーは微笑ましく思いつつ眠りにつくのであった。