パラカヌーは、身体障害者によるカヌー競技。カヤック種目は国際カヌー連盟(International Canoe Federation、ICF) [1]、アウトリガーカヌーを使用するヴァー種目は国際アウトリガー連盟(International Va'a Federation、IVF)[2]がそれぞれ管轄している。2016年リオデジャネイロ・パラリンピックから、パラリンピック競技に正式採用された[3] [4] [5]。
パラカヌーで用いるカヌーには、カヤックとヴァー(アウトリガーカヌー)の二種類がある。カヤックでは、水をとらえるブレードが両端についているパドルを使用し、選手は艇の左右を交互にこいで進む。ヴァーはアウトリガーと呼ばれる浮力体が片側についた艇である。ヴァ―種目で使用するパドルには、片側にプレード、もう片側にはT型のハンドルがついている[6] [7]。
障害の程度が重い順に、カヤック種目はKL1からKL3、ヴァ―種目はVl1からVL3のクラスに分けられる[8]。
オリンピックのカヌー競技では、直線コースのタイムを競う「スプリント種目」と流れの速いコースに設置されたゲートを通過してタイムを競う「スラローム種目」が実施されているが、国際カヌー連盟によるパラカヌーの国際大会及びパラリンピックでは、この2種目のうち、スプリント種目のみが実施されている[9]。スプリント種目では、カヤック艇またはヴァー艇による200mの直線コースのタイムが競われる[1]。
カヌー競技の世界選手権大会が1930年から開催されているのに比べ、パラカヌーの歴史は浅く、2010年にパラカヌー世界選手権大会が初めて開催された[3]。2010年に広州(中国)で開催された国際パラリンピック委員会において、パラリンピック種目にパラカヌーを追加することを決定[1] [10]、この決定を受けて、2016年リオデジャネイロ・パラリンピックでシングルカヤック競技が初めて実施された[3] [4] [10]。
1991年に日本で初めての障害者カヌー体験会(パラマウントチャレンジカヌー)が奈良県五條市の吉野川で実施された[11]。1995年に障害者カヌー協会が設立され、同年、大分県犬飼町の大野川で、本格的な競技大会として、日本パラカヌー競技大会が初めて開催された(スラローム種目)[9]。2012年には、大阪府泉南郡岬町の大阪府立青少年海洋センターでスプリント種目の大会が初めて行われた[9]。
2010年には、ポーランドで開催されたパラカヌー世界選手権大会に小川真を選手として派遣し、国際大会への初参加を果たした[11]。全国で選手発掘を進め、2016年リオデジャネイロ・パラリンピックでは、日本代表の瀬立モニカが8位に入賞した[12]。
ダートマス(カナダ)で開催された2009年カヌースプリント世界選手権において、公開競技としてパラカヌー4レースが実施された[13]。2010年に第1回を開催したパラカヌー世界選手権は、その後、継続して毎年開催されている[13]。
このほかに、ICFパラカヌーワールドカップ、アジアパラカヌー大会などがある[14]。
日本障害者カヌー協会の主催により、日本パラカヌー選手権大会が毎年実施されている[15]。