『パワーレンジャー・ターボ・映画版・誕生!ターボパワー』[3](Turbo: A Power Rangers Movie)は、1997年のアメリカ合衆国の映画で、日本の特撮作品「スーパー戦隊シリーズ」の英語版ローカライズとして制作された[4]テレビドラマシリーズ・『パワーレンジャー』シリーズの劇場版第2作である[5]。米国では1997年3月28日に公開された[6]。日本においては1999年8月2日にスーパーチャンネルにて『パワーレンジャー・ターボ 2時間スペシャル』[7][注釈 1]のタイトルで放送された。
宇宙の彼方のライエリア星には、異次元に続く扉を開く鍵を持つ魔法使いラルゴが住んでいた。宇宙の女海賊ディバトックスは異次元の怪物マリゴルを復活させ、マリゴルと結婚することでその力を自分のものにすべく、ラルゴを狙っていた。ディバトックスから逃れるため、ラルゴが地球に来たことを察知したゾードンは、パワーレンジャーにラルゴを探すように命じる。
経営難に陥っている児童福祉施設「天使の家」の運営資金を集めるための格闘大会に向けてのトレーニング中、背中を強打して入院したロッキー以外のメンバーたちは苦労の末にラルゴを発見するが、彼を追ってディバトックス軍も地球へ来ていた。まもなく、マリゴルに捧げる生贄として、バルクとスカル、キンバリーとジェイソンとラルゴの家族がディバトックス軍に捕らえられてしまう。捕らわれた者たちを解放するための取引にラルゴは応じ、ディバトックス軍のもとへ向かうが、捕らわれた者たちは解放されないままであった。この事態に際し、ゾードンはトミーたちに最強のゾード「ターボゾード」と、ジオに代わる新たな力「ターボパワー」をトミーたちに与える。
捕らわれた者たちを救出してマリゴルの復活を阻止するため、新たなブルーレンジャーとなった少年ジャスティンを加えたトミーたちは、幻の島へ向かう。島に到着したトミーたちの前でキンバリーとジェイソンはマリゴルに捧げられ、悪の戦士となってしまうが、トミーたちの活躍によって悪の力から解放される。それと同時に復活して巨大化したマリゴルを、トミーたちは呼び出したターボメガゾードで粉砕し、ディバトックス軍は退却する。島から脱出したトミーたちは、その後の格闘大会にも勝利し、天使の家の危機を救ったのであった。
『パワーレンジャー・ジオ』と『パワーレンジャー・ターボ』の間を繋ぐ作品である[9][10]。日本語版では一部のシーンがカットされている[10]。
ターボゾードの劇用車はカー・カスタマイザーのジョージ・ハリスが制作を担当したほか[11]、ターボメガゾードの合体シーンは新たに特撮研究所によって制作されている[6][9]。
ゲストとして、初代レッドレンジャーのジェイソンと初代ピンクレンジャーのキンバリーが再登場する[9][12]。監督兼脚本のシュキ・レヴィによれば、当初はジェイソン、ザック、ビリー、トリニー、キンバリーの5名が再び初代パワーレンジャーに変身し、ターボパワーレンジャーとともに戦うという内容が検討されていたもののザック役のウォルター・ジョーンズが映画俳優組合に加盟済みだったため、ノン・ユニオン作品である[13]『パワーレンジャー』には出演できないなどという事情から、全員の出演は実現しなかったという[14]。
シカゴ・トリビューンの批評では『パワーレンジャー 映画版』より特殊効果が安く、悪役も魅力的でない、変身後のパワーレンジャーの出番が少なく、子供の受けも悪かったと評している[15]。
- トーマス"トミー"オリバー/レッドレンジャー
- ジオ時代から続けて、レッドを担当。天使の家の運営資金を稼ぐために格闘大会に出場する。
- ジャスティン・スティワート/ブルーレンジャー
- 天使の家で生活している少年。父子家庭であり、父が仕事で多忙なことから、天使の家で暮らしている、トミーたちとも顔見知り。ロッキーの病室に忍び込んだ際に、パワーレンジャーの正体を知り、ゾードンからロッキーの代わりにブルーに選ばれた。変身後も体型は子供のままだが、戦闘時には大人の体型になる。
- アダム・パーク/グリーンレンジャー
- ジオ時代から続けて、グリーンを担当。トミーと共に天使の家の運営資金を稼ぐために格闘大会に出場する。
- ターニャ・スローン/イエローレンジャー
- ジオ時代から続けて、イエローを担当。
- キャサリン・ヒラード/ピンクレンジャー
- ジオ時代から続けて、ピンクを担当。劇中ではジオレンジャー1・ピンクにも変身していたが、すぐ解けてしまった[8]。
- ロッキー・デサントス
- 本来ならばブルーターボレンジャーになるはずだったがトミーとアダム同様に天使の家の運営資金を稼ぐための格闘大会に向けてのトレーニング中に背中を強打したことで入院することになり、ジャスティンを後継者とした。
- 格闘大会当日には完治はしていないもののダニエルと共にセコンドとして参加。
- 演じるスティーブ・カーデナスが負傷した為、設定上でも負傷したと言う噂が長年信じられていたが、彼は2013年のインタビューでそれを否定し、自身の降板理由はギャラ関係の不満によるものとしている[16]。
- ダニエル
- トミーたちの格闘コーチを務める男性。
- ジェイソン・リー・スコット
- パワーレンジャーのOB。
- 戦友であるキンバリーと共にダイビング中にディバトックスにより拉致され、マリゴルを復活させるための生贄とされ、魔力で操られてしまうがラルゴの力で正気に戻る。エピローグではロッキーの代わりに格闘大会に出場した。
- キンバリー・アン・ハート
- パワーレンジャーのOG。
- ジェイソン同様にマリゴルの生贄にされ、操られてしまうがラルゴの力で正気に戻る。
- ゾードン
- ディバトックスに対抗するため、トミーたちにターボゾードとターボパワーを与えた。
- アルファ5
- デザインが変更された。スーツの造形はデヴィッド・バートンが担当[17]。
- ラルゴ[注釈 2]
- かつて、マリゴルを封印した者たちの子孫。
- 妻のヤアラと子供のビタルがおり、アルファ5の親友でもある。太陽の光に弱い。
- マリゴルを復活させるためにディバトックスに狙われ、家族を人質に取られる[8]。
- 後にテレビシリーズにも登場し、ゾードンとアルファをエルター星に送るためのワームホールを開いた。
- バルク&スカル
- ストーンの尽力により警察に復帰する。エルガーにより拉致され、マリゴルを復活させるための生贄にされそうになる。ジェイソンの努力により、脱出に成功。ユーランシアス島で隠れていた。マリゴルが倒された後、トミーたちによってターボゾードに乗せられ、帰っていった。
- ストーン
- バルクたちとともに警察に復帰するが彼らのドジに振り回されている。
- アーニー
- 格闘大会の観客として登場し、トミーたちの応援をしていた。
- ディバトックス
- 宇宙の女海賊。マリゴルと結婚してその力を自らの物にしようと企む。
- エルガー
- ディバトックスの甥。ジェイソンたちが悪の力から解放された後、ディバトックスにより溶岩に落とされ、マリゴルを復活させるための生贄にされてしまった。
- スーツは『カーレンジャー』のゼルモダの流用ではなく、新規に制作されており[18]、アニマトロニクスの制作はキオドブラザーズが担当[9][19]。
- ライゴグ
- ディバトックスの手下。スーツは『カーレンジャー』のガイナモの流用ではなく、新規に制作された[18]。アニマトロニクスの制作はデヴィッド・バートンが担当[17]。
- マリゴル[注釈 3]
- 幻のユーランシアス島に封印されている怪物。ディバトックスの婚約者で絶大な魔力を持つ。生贄を捧げることで復活する。
- プトラポッド[注釈 5]
- ユーランシアス島に向かうレンジャーたちを妨害するために送り込まれたモンスター。卵の状態で送り込まれて3体が孵化。変身前のレンジャーたちと戦いすべて海に沈められた。
- ピラナトロン
- ディバトックス配下の戦闘員。テレビシリーズとはデザインが異なる[5]。
- リタ・レパルサ&ロード・ゼッド
- 日本語版ではリタとゼッドの登場シーンはカットされている[8]。
- 1998年ヤングアーティストアワードベストパフォーマンス賞長編映画部門:ブレイク・フォスター(ジャスティン役)[27]
本作品のサウンドトラックは1997年3月18日にポリグラム / ポリドール・レコードからCDとカセットテープで発売[28]。『パワーレンジャー・ジオ』の音楽も一部収録されている[29]。
- 「Let's Rock'N Roll」
- 作詞・作曲 - ジェレミー・スウィート/歌 - スーパー・パワー
- 「Invincible」
- 作詞・作曲 - ジェレミー・スウィート/歌 - スーパー・パワー
- ターボメガゾードの戦闘シーンのBGMとして使用されている。テレビシリーズではレスキューメガゾードが合体するシーンのBGMとして使用されている[8]。
- 「Shift Into Turbo」
- 作詞・作曲 - Fulflej マシュー・ネルソン/ 歌 - Fulflej
- 「Power Rangers Turbo Go」
- 作詞・作曲 - シュキ・レヴィ、クッサ・マーチ、シェリル・サバン/歌 - スーパー・パワー
- テレビシリーズ主題歌のフルバージョン。ターボメガゾードの合体シーンのBGMとしても使用された。
- 「Hope For The World」
- 作詞・作曲 - ロン・ワッサーマン / 歌 - マイティ・ロー
リリースはすべて20世紀フォックス ホーム エンターテイメント。
- Turbo - A Power Rangers Movie(VHS)
- 1997年9月2日発売[30]。
- Mighty Morphin Power Rangers The Movie / Turbo - A Power Rangers Movie(DVD)
- 2001年3月13日発売。『パワーレンジャー 映画版』とのカップリング収録[31]。
- Turbo - A Power Rangers Movie(DVD)
- 2003年9月2日発売[32]。
リリースはすべて東映ビデオ[33][5]。
- パワーレンジャー・ターボ・映画版・誕生!ターボパワー(VHS、レンタルのみ[33]。2ヵ国語収録[34]。)
- 2000年2月11日レンタル開始[33][35]。
- 映画 パワーレンジャーターボ 誕生!ターボパワー <吹替版>(DVD)
- 2017年6月14日発売[36]。
- ^ 『『スーパー戦隊画報』第2巻』では『パワーレンジャー・ターボスペシャル版』と記載されている[8]。
- ^ 資料によってはレリゴットと表記されている[9]。
- ^ 資料によってはマリゴアと表記されている[18][9]。
- ^ 『宇宙船』Vol.81では頭部の造形のみの担当と記載されている[9]。
- ^ 『スーパー戦隊画報 第2巻』ではモンスターと表記されている[8]。
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