ヒューマン・ファクター The Human Factor | ||
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著者 | グレアム・グリーン | |
訳者 |
宇野利泰 加賀山卓朗(新訳版) | |
発行日 |
1978年3月16日 1979年7月(旧訳版) 2006年10月12日(新訳版) | |
発行元 |
The Bodley Head 早川書房 | |
ジャンル | スパイ小説 | |
国 | イギリス | |
言語 | 英語 | |
ページ数 | 344 | |
コード |
ISBN 0-370-30043-2 ISBN 9784152073853 ISBN 9784151200380(新訳版) | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『ヒューマン・ファクター』(原題:The Human Factor)は、グレアム・グリーンが1978年に発表したイギリスのスパイ小説である。
ソ連に潜入している情報部員から、イギリス秘密情報部六課Aからアフリカ関係の内部情報が漏洩している事実が判明する。六課課長のワトソン、六課Aのモーリス・カースル(Maurice Castle)とアーサー・デイヴィス、三人の中の誰かが二重スパイと考えられる。バーシヴァル博士は、デイヴィスが二重スパイと判断し、細菌毒による毒殺を提案する。実は、カースルが二重スパイとして、ソ連の工作員ボリスと連絡をとっていた。カースルは、7年前に南アフリカ共和国に赴任していた時に、黒人のサラと恋仲になった。黒人と白人の恋愛は、人種差別法規に抵触する。共産党員のカーソン弁護士の働きで、サラは隣国に脱出することができた。
カースルは、その代償としてソ連の二重スパイになった。彼は六課Aの管理責任者として、アンクル・リーマス作戦に関与することになった。アンクル・リーマス作戦は、イギリス、アメリカ、南アフリカ共和国が人種差別政策において共同戦線を張る作戦である。南アフリカ共和国の秘密警察の代表として、コーネリアス・ミュラーがロンドンにやってきた。ミュラーは、7年前にサラを国内に拘束しようとした過去がある。表面的にはビジネスライクに応対しているが、カースルはミュラーをひどく憎んでいる。そんな時に、バーシヴァル博士は、証拠が出そろわないうちに、勇み足でデイヴィスを毒殺してしまう。
デイヴィスの死後、内部情報が漏洩すると、自分に疑いがかかるため、カースルはソ連との連絡を絶つ決断をする。その後カースルは、新しいアンクル・リーマス作戦の情報をミュラーから手に入れる。ミュラーが憎いカースルは、この情報をソ連に送らずにはいられなくなる。以前の連絡員と再びうまく連絡が取れず、不安になったカースルは、妻のサラに自分がソ連の二重スパイである事を告白する。ソ連との連絡員のハリデイ・ジュニアが別件で逮捕されたことにより、カースルは自分の身に危険が及ぶのを察知した。頼みの綱は、ソ連からのイギリス脱出の手引きだけだった。
妻と子をカースルの母の家に追いやり、自宅でソ連からの工作員を待っているうちに、現れたのは逮捕されたハリデイ・ジュニアの父・ハリデイ老人だった。彼は昔からの共産党員で、カースルを自家用車で指定のホテルまで運んだ。その後、工作員の手引きで、カースルはヒースロー空港から国外に脱出し、モスクワに到着する。カースルはモスクワで歓迎され、仕事や住居をあてがわれる。しかし、ソ連の工作員ボリスから知らされた真実は、カースルが報告した経済情報は、何の価値もなかったことであった。アンクル・リーマス作戦を全世界に発表して、三国の評判を落とすために、情報提供者カースルの亡命が必須であったのだ。また、息子のパスポートが取得できないことで、サラと息子のモスクワ行きが暗礁に乗り上げことを知らされる。カースルは職業の選択を誤ったのを知ったが、すでに時おそかった。
夜の7時、カースルの母の家の電話が鳴った。サラが受話器をとりあげると、カースルの声だった。
1979年7月に宇野利泰訳が、早川書房[1]で単行本出版し、2006年10月に加賀山卓朗の新訳[2]が文庫出版された。