ピタバスタチン
IUPAC命名法 による物質名
(3R ,5S ,6E )-7-[2-cyclopropyl-4-(4-fluorophenyl)quinolin-3-yl]-3,5-dihydroxyhept-6-enoic acid
臨床データ 販売名
リバロ, Livalo Drugs.com
monograph MedlinePlus
a610018 ライセンス
US FDA :リンク 胎児危険度分類
法的規制
薬物動態 データ生物学的利用能 60% 血漿タンパク結合 96% 代謝 minimally CYP2C9 (英語版 ) 半減期 11 時間 排泄 糞中 データベースID CAS番号
147511-69-1 ATCコード
C10AA08 (WHO ) PubChem
CID: 5282452 IUPHAR/BPS (英語版 )
3035 ChemSpider
4445604 UNII
M5681Q5F9P ChEBI
CHEBI:32020 en:Template:ebicite ChEMBL
CHEMBL1201753 en:Template:ebicite 化学的データ 化学式 C 25 H 24 F N O 4 分子量 421.461
O=C(O)C[C@H](O)C[C@H](O)/C=C/c1c(c3ccccc3nc1C2CC2)c4ccc(F)cc4
InChI=1S/C25H24FNO4/c26-17-9-7-15(8-10-17)24-20-3-1-2-4-22(20)27-25(16-5-6-16)21(24)12-11-18(28)13-19(29)14-23(30)31/h1-4,7-12,16,18-19,28-29H,5-6,13-14H2,(H,30,31)/b12-11+/t18-,19-/m1/s1 Key:VGYFMXBACGZSIL-MCBHFWOFSA-N
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ピタバスタチン (Pitavastatin) はスタチン に分類される脂質異常症 治療薬 の一つである[ 1] 。他のスタチンと同様、コレステロール 生合成の最初の段階の酵素 であるHMG-CoAレダクターゼ を阻害する。日本 で日産化学工業 が創薬し、興和 が開発した[ 2] 。商品名リバロ 。旧名イタバスタチン、イタババスチン、ニスバスタチン。開発コードNK-104、NKS-104。
日本で承認されている効能・効果は「家族性高コレステロール血症」および「脂質異常症 」である。10歳以上の小児の家族性高コレステロール血症にも使用できる[ 3] 。
心血管疾患 の予防に用いる。
2009年の臨床試験(LIVES試験)ではピタバスタチンが104週間投与され、LDLコレステロール を大きく減少(31.3%)させる事に加えて、特にHDLコレステロール値が40mg/dL未満の患者でHDLコレステロール を増加(24.6%)させることが見出された[ 4] 。HDLは他のスタチンから切り替えた患者で経時的に増加した。70ヶ月の観察研究(CIRCLE試験)では、ピタバスタチンのHDL上昇効果はアトルバスタチン よりも高い事が判明した[ 5] 。
スタチンは糖尿病リスクを増加させるとの報告があるが[ 6] 、ピタバスタチンは血糖値を上昇させないとされている[ 7] 。結果として、ピタバスタチンは高LDL、低HDL、糖尿病 を有するメタボリックシンドローム 患者への投与に適していると言える。
重大な副作用とされているものは、横紋筋融解症 、ミオパチー 、免疫性壊死性ミオパチー、肝機能障害、黄疸、血小板減少、間質性肺炎 である[ 8] 。
副作用の種類は他のスタチンと変わらないが、筋肉への副作用は他の脂溶性スタチンよりも少ない[ 9] 。アトルバスタチンを服用すると血中コエンザイムQ10 値が低下するが、ピタバスタチンでは低下しない[ 2] [ 10] 。これは全てのスタチンがHMG-CoA還元酵素系に一様に作用している訳ではない事を示唆している。
ピタバスタチン服用中に高尿酸血症 が発現した事が報告されている[ 11] 。
多くのスタチンは肝臓 のシトクロムP450 酵素で代謝されるので、薬物相互作用 する可能性があり、一部の食品(グレープフルーツジュース 等)も問題になる。ピタバスタチンはCYP2C9 (英語版 ) で代謝されるがCYP3A4 の基質ではない。これはピタバスタチンの相互作用が他のスタチンと異なる理由である。この結果、CYP3A4で代謝される薬物との相互作用がなく、特に高齢者で多くの薬剤を服用している様な場合に重要となる[ 2] 。
日本で開発され、2003年に承認された[ 12] :3 。2005年にインド[ 13] で、2008年に中華人民共和国[ 14] で、2012年にインドネシア[ 15] と中華民国 [ 16] で承認された。
欧州連合 では2005年に一旦開発中止されたが[ 17] 、2010年にイギリスでヨーロッパ での承認が合意[ 18] され、2011年にスペインで承認された。アメリカ合衆国では2009年に承認された[ 19] 。
2015年6月、日本で10歳以上の小児についての用法・用量が承認された[ 3] 。
2022年09月26日、日本にて初めてピタバスタチンとエゼチミブ の合剤がリバゼブ として承認された[ 20] [ 注釈 1] 。スタチン単剤でのコントロールが悪い場合に用いられる。
^ 類薬では先例があるが、ピタバスタチンとエゼチミブとの合剤は世界初である[ 21] 。
^ Kajinami, K; Takekoshi, N; Saito, Y (2003). “Pitavastatin: efficacy and safety profiles of a novel synthetic HMG-CoA reductase inhibitor”. Cardiovascular drug reviews 21 (3): 199–215. PMID 12931254 .
^ a b c Mukhtar, R. Y. A.; Reid, J.; Reckless, J. P. D. (2005). “Pitavastatin”. International Journal of Clinical Practice 59 (2): 239–252. doi :10.1111/j.1742-1241.2005.00461.x . PMID 15854203 .
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^ “スタチンによる糖尿病リスク,従来報告を上回る46%の上昇 ”. MTPro (2015年3月6日). 2015年9月10日 閲覧。
^ “スタチンによる糖尿病の増加、日本人での検討で認められず ”. 日経メディカル (2013年8月19日). 2015年9月10日 閲覧。
^ “リバロ錠1mg/リバロ錠2mg/リバロ錠4mg 添付文書 ” (2016年10月). 2016年11月5日 閲覧。
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^ “高コレステロール血症治療剤「ピタバスタチンカルシウム」 台湾における販売開始に関するお知らせ ”. 興和・田辺三菱製薬 (2012年6月6日). 2015年9月9日 閲覧。
^ “高コレステロール血症治療剤ピタバスタチンの欧州における開発が中止 ”. 日経メディカル (2005年12月16日). 2015年9月9日 閲覧。
^ “高コレステロール血症治療剤「一般名 ピタバスタチンカルシウム」のスペインでの上市について ”. 興和 (2011年5月11日). 2015年9月9日 閲覧。
^ The Seventh Statin; Pitavastatin
^ "ピタバスタチンカルシウム水和物・エゼチミブ配合剤" . 医薬品医療機器総合機構. 2024年1月19日閲覧 。
^ "(リバゼブ配合錠LD、同配合錠HD)審議結果報告書" (pdf) . 医薬・生活衛生局医薬品審査管理課. p. 別紙 p.2. 2024年1月19日閲覧 。