ファン・デル・ポール振動子の相図 、リミットサイクル と方向場
ファン・デル・ポール振動子 とは、非線形の減衰を受けた非保存系の振動子 である。支配方程式 は、ファン・デル・ポール方程式 と呼ばれる次の式である。
d
2
x
d
t
2
−
μ
(
1
−
x
2
)
d
x
d
t
+
x
=
0
{\displaystyle {d^{2}x \over dt^{2}}-\mu (1-x^{2}){dx \over dt}+x=0}
x は座標で、時間 t の関数となっている。μは非線形の減衰の強さを表すパラメーター である。 リエナールの定理 から、リミットサイクル の存在を示すことができる。
弛緩振動
ファン・デル・ポール振動子は、オランダの電気工学者 で物理学者でもあるバルタザル・ファン・デル・ポール (英語版 ) により提案[ 1] された。彼は、真空管 を使用した電気回路 内に安定な振動を発見し、これを緩和振動と呼んだ[ 2] 。この振動は現在リミットサイクル として知られており、この回路をリミットサイクルの近傍で動作させると回路は引き込み現象 をおこす。ファン・デル・ポルと同僚のvan der Markは、1927年のネイチャー 9月号[ 3] にて、特定の動作周波数 で不規則なノイズ が聞こえると報告した。この不規則なノイズは常に引き込み周波数の近傍で聞かれた。これは決定論的カオス の最初の発見例のひとつである。[ 4]
ファン・デル・ポル方程式は、物理学 と生物学 の分野で長い間使用されている。例えば、生物学では Fitzhugh[ 5] と南雲[ 6] は方程式を拡張し、神経細胞 の活動電位 に関するフィッツフュー-南雲モデル を構成した。また、地震学 において断層 のモデル化にも使用されている。[ 7]
^ Cartwright, M.L., "Balthazar van der Pol" , J. London Math. Soc. , 35 , 367-376, (1960).
^ van der Pol, B., "On relaxation-oscillations", The London, Edinburgh and Dublin Phil. Mag. & J. of Sci. , 2 (7), 978-992 (1927).
^ van der Pol, B. and van der Mark, J., “Frequency demultiplication”, Nature , 120 , 363-364, (1927).
^ Kanamaru, T., "Van der Pol oscillator" , Scholarpedia , 2 (1), 2202, (2007).
^ FitzHugh, R., “Impulses and physiological states in theoretical models of nerve membranes”, Biophysics J , 1 , 445-466, (1961).
^ Nagumo, J., Arimoto, S. and Yoshizawa, S. "An active pulse transmission line simulating nerve axon", Proc. IRE , 50 , 2061-2070, (1962).
^ Cartwright, J., Eguiluz, V., Hernandez-Garcia, E. and Piro, O., "Dynamics of elastic excitable media", Internat. J. Bifur. Chaos Appl. Sci. Engrg. , 9 , 2197–2202, (1999).