フォード・コスワース・ZETEC-Rエンジン(Ford cosworth ZETEC-R engine)はフォードの資金提供を受けたコスワースによって製作されたフォーミュラ1 (F1) 用エンジン。
1991年から1992年にかけては、フォードは他のメーカーに負けないようセラミックス素材を多用した軽量なV12エンジンの開発を行っており、ベネトン・B192への搭載も噂されていたが、開発を断念。その開発内容をフィードバックさせたエンジンとして登場したのが、ZETEC-R V8エンジンである。
1994年にZETEC-R V8をベネトンに供給、ミハエル・シューマッハによる初のドライバーズチャンピオン獲得をサポートした。
1995年は、前年ミハエル・シューマッハをドライバーズチャンピオンにしたベネトンが使用エンジンをルノー V10へ変更したため、ザウバーへZETEC-R V8エンジンを供給。但し、同年からF1エンジンは排気量の規定が3,500cc以下から3,000cc以下へと変更されたため、同じZETEC-R V8の名称ではあるが仕様は前年型とは異なる。このV8仕様は、実質カスタマー仕様として1996年にフォルティが使用し、さらに1997年にマスターカード・ローラが使用し、3年、3チームに渡って使用された。
1996年にはF1エンジンのトレンドとなっていたV型10気筒エンジン、ZETEC-R V10エンジンをザウバーへワークス供給。1997年からは、フォードとの強力なコネクションを持つジャッキー・スチュワートと、その息子であるポール・スチュワートが率いるスチュワート・グランプリへZETEC-R SC V10エンジンをワークス供給。
1998年からは、ティレルやミナルディにカスタマー供給が開始された。ミナルディはその後、2001年までVJエンジン、フォンドメタルV10などといったように名前を変えながら使用し続けることとなった。
1999年、スチュワートに新型ワークスエンジンである、CR1エンジンが供給されたため、ZETEC-Rはカスタマー供給のみとなった。