フレデリック・ワイズマン Frederick Wiseman | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2017年 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
生年月日 | 1930年1月1日(94歳) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
出生地 | アメリカ合衆国 マサチューセッツ州ボストン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
職業 | 映画監督 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジャンル | 映画 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
活動期間 | 1963年 - | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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フレデリック・ワイズマン(Frederick Wiseman、1930年1月1日 - )はアメリカの映画監督。演出やナレーションを意図的に排したドキュメンタリー作品で知られる。ほぼ全ての作品でプロデュース・撮影・編集を数人のスタッフとともに自ら担当する制作スタイルを貫き、1960年代にキャリアを開始したのち半世紀にわたって作品を作り続けている。
ワイズマンは1930年にマサチューセッツ州ボストンでジェイコブ・レオ・ワイズマン(Jacob Leo Wiseman)とガートルード・リア(Gertrude Leah)の間に生まれる[1]。1951年にウィリアムズ・カレッジを卒業後、1954年にイェール大学ロースクール修了。ロースクール在学中から『イェール・ロー・レビュー』編集にかかわり、修了後は弁護士として活動するかたわらイェール大学やハーバード大学で講師として教壇に立つなど、優秀な若手法律家として将来を嘱望される存在だった[2]。
しかししだいに映画への関心を強め、1964年、知人で著名な実験映画作家だったシャーリー・クラークの『クール・ワールド』(The Cool World)の制作にプロデューサーとして参加。これをきっかけに、自らドキュメンタリー映画の制作を模索するようになる[3]。デビュー作となった『チチカット・フォリーズ』(1967) はマサチューセッツ州の精神病院を取材した作品で、ナレーションや字幕を使わず、現場で対象をみずから撮影した素材だけで組み立てられている[4]。
これにつづく初期の作品では、ワイズマンの関心は自由な人間性を拘束・改変しようとする組織的な力を描くことに向かっていると言われる[2]。
第2作となった『高校』(1968) では、体育や音楽の授業で、発達しはじめた生徒の身体や心を一定の範囲内に抑え込もうとする教師の姿がくりかえし描かれる[3]。『基礎訓練』(1971) ではこれがより明確になり、指導教官が新兵にむかって「ここでの目標はおまえたちを枠にはめこむことだ」と何度も叱責する[3]。
ただしワイズマンの手法の特徴は、そうした映像をTVドキュメンタリー番組のようにナレーションや字幕を使って明確に意味づけることを徹底して回避し、映像だけを観客の前に差し出すことにある[5]。観客は、さまざまな解釈の幅を含みこんだままの映像に対して、自ら働きかけて物語を読み込んでゆかねばならない[6]。
これは映像におけるリアリズムを追求する潮流の中で1950年代から始まった「ダイレクト・シネマ Direct Cinema(ないしシネマ・ヴェリテ Cinéma Vérité)」と呼ばれる手法で、監督や脚本家・演出家の手による人為的な物語があらかじめ設定される通常の劇映画などと異なり、映像がダイレクトに観客の前に差し出されるように見えることからこの呼び名がある[6]。ワイズマンは『チチカット・フォリーズ』から『基礎訓練』にいたる一連の初期作品によって、この手法をとる代表的作家とみなされるようになった[5][1]。
ワイズマンは以後半世紀にわたるキャリアのほぼ大半で、そうした映像素材だけを観客に差し出すかのように構成されたドキュメンタリー作品を作り続ける[1]。題材はアメリカ中西部の食肉加工工場、身体障害と病院・介護士たち、市庁舎や州議会など、きわめて多岐にわたっている[1]。
ワイズマン自身がフランス語に堪能なことから、パリ・オペラ座や、長くミシュラン三つ星を守る老舗フランス料理店などフランスを舞台とした作品も多く、またトルストイ夫人を主人公として俳優のモノローグで構成された『あるカップル (Un Couple)』(2022) など、いくつか劇映画も制作している。
1971年に妻の名前を冠したプロダクション「ジッポラ・フィルムズ (Zipporah Films)」を設立、以後すべての作品はここから送り出されている[1]。
公開年 | 邦題 | 原題 | 長さ(分) | 備考 |
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1967 | チチカット・フォーリーズ | Titicut Follies | 84 | |
1968 | 高校 | High School | 75 | |
1969 | 法と秩序 | Law and Order | 81 | TV放送用に製作 |
1970 | 病院 | Hospital | 84 | TV放送用に製作 |
1971 | I Miss Sonia Henie | 20 | ||
基礎訓練 | Basic Training | 80 | ||
1972 | エッセネ派 | Essene | 86 | |
1974 | 少年裁判所 | Juvenile Court | 144 | |
霊長類 | Primate | 105 | ||
1975 | 福祉 | Welfare | 167 | |
1976 | 肉 | Meat | 112 | |
1977 | パナマ運河地帯 | Canal Zone | 174 | |
1978 | シナイ半島監視団 | Sinai Field Mission | 127 | |
1979 | 軍事演習 | Manoeuvre | 115 | |
1981 | モデル | Model | 129 | |
1982 | セラフィータの日記 | Seraphita's Diary | 90 | 劇映画 |
1983 | ストア | The Store | 118 | |
1985 | 競馬場 | Racetrack | 114 | |
1986 | 適応と仕事 | Adjustment and Work | 120 | |
聴覚障害 | Deaf | 164 | ||
多重障害 | Multi-Handicapped | 126 | ||
1987 | 視覚障害 | Blind | 132 | |
1988 | ミサイル | Missile | 115 | |
1989 | セントラル・パーク | Central Park | 176 | |
臨死 | Near Death | 358 | ||
1991 | アスペン | Aspen | 144 | |
1993 | 動物園 | Zoo | 130 | |
1994 | 高校2 | High School II | 220 | |
1995 | アメリカン・バレエ・シアターの世 | Ballet | 170 | |
1996 | コメディ・フランセーズ 演じられた愛 | La Comédie-Française ou L'amour joué | 223 | |
1997 | パブリック・ハウジング | Public Housing | 200 | |
1999 | メイン州ベルファスト | Belfast, Maine | 245 | |
2001 | DV ー ドメスティック・バイオレンス | Domestic Violence | 196 | |
2002 | 最後の手紙 | La dernière lettre | 61 | 劇映画 |
DV 2 | Domestic Violence 2 | 200 | ||
2005 | The Garden | 196 | ||
The Last Letter | 90[8] | TVシリーズ用短編 | ||
Zyklon Portrait | ||||
2006 | 州議会 | State Legislature | 217 | |
2009 | パリ・オペラ座のすべて | La Danse | 159 | |
2010 | ボクシング・ジム | Boxing Gym | 91 | |
2011 | クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち | Crazy Horse | 134 | |
2013 | 大学―At Berkeley | At Berkeley | 244 | |
2014 | ナショナル・ギャラリー 英国の至宝 | National Gallery | 180 | |
2015 | ニューヨーク、ジャクソン・ハイツへようこそ | In Jackson Heights | 190 | |
2017 | ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス | Ex Libris: The New York Public Library | 197 | |
2018 | インディアナ州モンロヴィア | Monrovia, Indiana | 143 | |
2020 | ボストン市庁舎 | City Hall | 272 | |
2022 | Un couple | 63 | 劇映画 | |
2024 | 至福のレストラン/三つ星トロワグロ | Menus Plaisirs - Les Troisgros | 240 |
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