北大西洋条約機構 (NATO) は、ソ連の戦闘機に対して「Flogger」をNATOコードネームとして使用した。以下の機体に対して使用されたが、他のコードネーム一般の例に漏れず開発側の実態とは認識にずれがあるため使用にあたっては注意が必要。なお、以下コードーネームの右に記す対応機種名は現在判明しているものであり、コードネームが付与された時点のものではない。
- 「フロッガーA」(Flogger-A) - MiG-23S
- MiG-23前線戦闘機の初期量産型MiG-23Sに対し、NATOは「フロッガーA」のコードネームをつけた。
- 「フロッガーB」(Flogger-B) - MiG-23M/MF
- MiG-23前線戦闘機のソ連空軍向け量産型MiG-23Mと、ワルシャワ条約機構加盟国向け輸出型であるMiG-23MFに対し、NATOは「フロッガーB」のコードネームを使用した。
- 「フロッガーC」(Flogger-C) - MiG-23UB/UM
- MiG-23の複座練習戦闘機型MiG-23UBとその発展型であるMiG-23UMに対し、NATOは「フロッガーC」のコードネームを使用した。
- 「フロッガーD」(Flogger-D) - MiG-23BM/27
- MiG-23Sの派生型として開発された戦闘爆撃機型に対し、NATOは「フロッガーD」のコードネームを使用した。この機体は、MiG-27と改称され量産に移された。コードネームは、引き続き「フロッガーD」が使用された。
- 「フロッガーE」(Flogger-E) - MiG-23MS/M(E)
- MiG-23M前線戦闘機のアフリカ・中東向け輸出型(モンキーモデル)であるMiG-23MSに対し、NATOは「フロッガーE」のコードネームを使用した。また、「フロッガーE」と認識された機体の中にはもうひとつの輸出型であるMiG-23M(E)も含まれていたものと考えられる。なお、MiG-23M(E)の「E」はロシア語で「輸出型(Eksportnyi)」を意味する頭文字であり、NATOコードネーム「フロッガーE」の「E」とは関係がない。
- 「フロッガーF」(Flogger-F) - MiG-23B
- MiG-23Sの派生型として開発された戦闘爆撃機型の試作機MiG-23Bに対し、NATOは「フロッガーF」のコードネームを使用した。なお、「フロッガーF」と認識されたMiG-23Bは「フロッガーD」と認識された機体より以前に設計された機体であったが、NATO側に「発見」された時期が前後したためソ連での開発順序とNATOコードネームのアルファベットの順序が前後してしまった。
- 「フロッガーG」(Flogger-G) - MiG-23ML/P/MLA/MLD
- MiG-23ML多目的戦闘機とその防空軍向け派生型MiG-23P、およびその空軍向け派生型MiG-23MLA、ならびにMiG-23MLDの輸出型に対し、NATOは「フロッガーG」のコードネームを使用した。なお、冷戦時代にはNATOはMiG-23MLAとMiG-23MLDの輸出型をMiG-23MLと区別できていなかった。
- 「フロッガーH」(Flogger-H) - MiG-23BN
- MiG-23BMの輸出型として開発されたMiG-23BNに対し、NATOは「フロッガーH」のコードネームを使用した。
- 「フロッガーJ」(Flogger-J) - MiG-27M/D
- MiG-27の発展型であるMiG-27Mに対し、NATOは「フロッガーJ」のコードネームを使用した。MiG-27をMiG-27M仕様に改修したMiG-27Dも、同じく「フロッガーJ」と呼ばれていた模様である。
- 「フロッガーJ2」(Flogger-J2) - MiG-27M/D
- MiG-27の発展型であるMiG-27Kに対し、NATOは「フロッガーJ2」のコードネームを使用した。なお、これもソ連での開発順序とNATOコードネームのアルファベットの順序が混同している。ソ連で先に開発されたのはMiG-27Kであり、その大量生産向けグレードダウン型としてあとからMiG-27Mが開発され、最後にMiG-27Dが配備に入ったものであった。
- 「フロッガーK」(Flogger-K) - MiG-23MLD
- MiG-23MLDのソ連国内向けの機体に対し、NATOは「フロッガーK」のコードネームを使用した。当初は、「フロッガーK」は輸出向けにダウングレードされた機体であるという解説もなされていたが、実際にはこの機体は配備されたMiG-23シリーズの中では最も高い性能を持つ派生型であった。輸出型のMiG-23MLDは、MiG-23MLと混同され「フロッガーG」と認識されていた。