モノクローナル抗体 | |
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種類 | Bi-specific T-cell engager |
原料 | マウス |
抗原 | CD19, CD3 |
臨床データ | |
販売名 | Blincyto |
Drugs.com | monograph |
MedlinePlus | a614061 |
ライセンス | EMA:リンク、US Daily Med:リンク |
胎児危険度分類 | |
法的規制 |
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薬物動態データ | |
生物学的利用能 | 100% (IV) |
代謝 | degradation into small peptides and amino acids |
半減期 | 2.11 hours |
排泄 | urine (negligible) |
データベースID | |
CAS番号 |
853426-35-4 ![]() |
ATCコード | L01XC19 (WHO) |
DrugBank |
DB09052 ![]() |
ChemSpider |
none ![]() |
UNII |
4FR53SIF3A ![]() |
KEGG | D09325 |
別名 | AMG103, MT103 |
化学的データ | |
化学式 | |
分子量 | 54,086.56 g·mol−1 |
ブリナツモマブ[2](Blinatumomab)は、フィラデルフィア染色体陰性の再発・難治性急性リンパ性白血病のセカンドライン治療薬として使用されているバイオ医薬品である。開発コードはMT103。ヒトの免疫系を腫瘍細胞に作用させるBiTE(Bi-specific T-cell Engager)抗体と呼ばれるクラスのモノクローナル抗体に属する。B細胞上に存在するCD19抗原を特異的に標的とする。2014年12月、米国食品医薬品局(FDA)の早期承認プログラムにより承認されたが、販売承認は承認時に進行中の臨床試験の結果によるものであった[3][4]。日本での承認は2018年09月25日であり、海外の臨床試験の他、日本国内で実施された第Ib/II相試験の結果を併せて評価された[5]。
1サイクルで28日間持続点滴静注し、2週間休薬する[3][6]。投与量は、患者の実際の体重によって定められる。体重45kg以上の患者には固定用量を、45kg未満の患者には推定体表面積に応じた用量が投与される[3][6]。
米国では当初、成人および小児におけるフィラデルフィア染色体陰性の再発または難治性のB前駆細胞型急性リンパ性白血病 (BCP-ALL) の治療薬として承認された[7]。また、これに加え0.1%以上の微小残存病変を伴う第一または第二完全寛解期のBCP-ALLに対しても承認されている[3]。
重大な副作用には[6]、
が記載されている。
また、注入反応(63.6%)やアナフィラキシーショック(0.2%)が発生する。
5%以上の患者に、免疫グロブリン減少、高ビリルビン血症、筋骨格痛、疲労が見られる。
BiTE抗体であり[3]、患者のT細胞が悪性B細胞を認識することを可能にする。ブリナツモマブ1分子には、T細胞に対するCD3部位と標的B細胞に対するCD19部位の2つの結合部位が存在する。CD3はT細胞受容体の一部である。この薬は、この2種類の細胞を結びつけ、T細胞を活性化して標的細胞に細胞傷害活性を発揮させる事で作用する[8]。CD3とCD19の発現は小児患者にも成人患者にも見られるため、ブリナツモマブは双方にとって治療の選択肢となる可能性がある[9]。
ブリナツモマブ(当初の名称はMT103)は、ドイツ系アメリカ企業のマイクロメット社がロンザ社と共同で開発したものである。2012年、マイクロメット社はアムジェン社に買収され、この薬剤の臨床試験は更に進展した。
2014年7月、FDAはブリナツモマブを急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療薬として画期的治療薬に指定した[10]。2014年10月、ブリナツモマブに関するアムジェンの生物学的製剤承認申請は、FDAから優先審査指定を受けたため、FDAの審査完了期限が2015年5月19日に設定された[11]。
2014年12月3日、米国でフィラデルフィア染色体陰性の再発・難治性急性リンパ性白血病の治療薬として、FDAの早期承認プログラムに基づいて使用が承認されたが、販売承認は承認時に進行中の臨床試験の結果に依存していた[3][12]。
日本では2018年1月9日に承認申請され[13]、2018年09月25日に承認された[5]。海外で実施された成人対象のTOWER試験、BLAST試験、Alcantara試験や小児対象のRialto試験等の臨床試験の他、日本国内で実施された第Ib/II相Horai試験の結果を併せて評価された[14]:12-30。