プロフィリン (英:Profilin)とはアクチン結合タンパク質 の一種であり、アクチン 細胞骨格 の動的代謝回転および再構成に関与する [ 1] 。全ての真核生物のほぼあらゆる細胞で見出される。プロフィリンは、細胞の移動および細胞形状の変化に不可欠なアクチン マイクロフィラメントの成長に重要である。アクチン細胞骨格の再構成は臓器発達 、創傷治癒、および免疫系 の細胞による感染性侵入者の迎撃などのプロセスにとって必須である。
プロフィリンは、最初に発見されたアクチン単量体結合タンパク質であり、1970年代初めにUno Lindbergらによって初めて記述された[ 2] 。
プロフィリンは、多様なタンパク質のプロリン リッチな配列に結合する。細胞内のほとんどのプロフィリンはアクチンに結合しているが、プロフィリンには50種類以上の結合相手が存在する。結合相手の多くはアクチン調節に関連している。プロフィリン自体もmRNA スプライシング のような細胞核内の生化学反応に関与しているようである。[ 3]
プロフィリンは膜リン脂質(ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸 やイノシトール三リン酸 )のいくつかの変異体に結合する。これは、ホスホリパーゼC の作用によって放出される不活性形態のプロフィリンの隔離である。
プロフィリンはカバノキ属 やイネ科 などの植物の花粉 における主要なアレルゲン であり、Toxoplasma gondii の宿主細胞への侵入に必須な成分である[ 4] 。
プロフィリンは以下の二つの方法でアクチン成長を促す。
プロフィリンはアクチン単量体と結合してアクチンーアクチン接触部位を占有し、これによりアクチン単量体のプールからアクチンを隔離する。しかし、プロフィリンは、アクチンに結合したADP をATP へ触媒的に変換し、それによって、不完全に重合するADP-アクチン単量体を、容易に重合するATP-アクチン単量体に変換する。その上、ADP-アクチン単量体よりもATP-アクチン単量体に対する親和性が高い。したがって、アクチン、プロフィリン、およびヌクレオチド(ADPおよびATP)の混在で、アクチンの重合は進行し、質量作用の法則 で重合度を推定することができる。
プロリン-アクチン複合体はフォルミン 、WASP 、およびVASP(プロリンに富むFH1ドメインを含むタンパク質)などのタンパク質によって成長するアクチン重合体に供給される。プロフィリンは、プロリン豊富タンパク質にアクチン単量体を動員するため、この重合方式には不可欠である。
プロフィリンは最も豊富なアクチン単量体結合性分子の1つだが、アデニル酸シクラーゼ結合タンパク質 (CAP)や(哺乳動物では)チモシンβ4 などのタンパク質はプロフィリンと同じ機能を持つ。一方で、ADF /コフィリン はプロフィリンに拮抗する。
Profilinはまた、ホスファチジルイノシトール3,4-ビスリン酸 を下方制御して、細胞の先端への葉状仮足 の誘導を制限する。
プロフィリンは分子量 14–19 kDaのタンパク質である。酵母や虫に単一の遺伝子が、植物を含む多くの生物において複数の遺伝子が存在する。哺乳動物細胞では、4つのプロフィリンアイソフォーム が発見されている。
PFN1 にコードされたプロフィリン1はほとんどの組織で発現されるが、PFN2 にコードされたプロフィリン2は脳と腎臓 において優勢である。[ 5]
^ Gunning PW, Ghoshdastider U, Whitaker S, Popp D, Robinson RC (2015). “The evolution of compositionally and functionally distinct actin filaments”. Journal of Cell Science 128 (11): 2009–19. doi :10.1242/jcs.165563 . PMID 25788699 .
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^ “Alternative splicing of the mouse profilin II gene generates functionally different profilin isoforms” . Journal of Cell Science 113 (Pt 21): 3795–803. (November 2000). PMID 11034907 . http://jcs.biologists.org/cgi/reprint/113/21/3795.pdf .
^ “Toxoplasma gondii- derived profilin triggers human toll-like receptor 5-dependent cytokine production.” . Journal of Innate Immunity 6 (5): 685–694. (August 2014). doi :10.1159/000362367 . PMC 4141014 . PMID 24861338 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4141014/ .
^ “In mouse brain profilin I and profilin II associate with regulators of the endocytic pathway and actin assembly” . EMBO Journal 17 (4): 967–76. (February 1998). doi :10.1093/emboj/17.4.967 . PMC 1170446 . PMID 9463375 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1170446/ .