マテラン登山鉄道(-とざんてつどう、英語:Matheran Hill Railway)とは、インド西海岸の都市ムンバイ郊外のインド国鉄(インド中部鉄道)広軌線ネーラル駅から保養地マテランを結ぶ観光鉄道である。名称の日本語表記には揺れがあり、マーテーラーン登山鉄道、マテラン丘陵鉄道とも表記される。
マテランは、イギリスによるインド植民地統治時代の1850年代に、ムンバイ(当時はボンベイ)在住のイギリス人らの避暑地として開発された。マテラン登山鉄道は、山麓の広軌線最寄駅ネーラルとこのマテランを結ぶ交通手段として建設され、1907年3月に開通した[1]。
路線延長19.36km[1]。起終点間に約750mの標高差があり、急峻な丘陵を登るため610mm軌間[1]を採用し、車体の規格も小さい。日本で言うところの軽便鉄道に相当する。最急勾配は50‰、最小曲線半径は14mである[1]。機関区・工場はネーラル駅構内にある[1]。
インド政府は、当線の世界遺産への登録を目指しており、暫定リストにも当線が登載されていたが削除された。
列車は全て機関車牽引である。1982年に蒸気機関車を廃止しディーゼル化された[2]。
急勾配を登るため、610mm軌間の鉄道としては大型の2基エンジン搭載凸型4動軸ディーゼル機関車を使用している。また、急曲線を通過できるよう、機関車の中央部は連接構造となっている[3]。
客貨車は、1等座席車・2等座席車と有蓋緩急車がある。いずれも全長は機関車の1/3程の小型車であるが、急曲線への対応のためボギー車となっている。貫通ブレーキを装備していないため、各列車には必ず有蓋緩急車が連結される。