マントヴァーニ(Mantovani, 1905年11月15日 - 1980年3月29日)は、イギリスの編曲者、指揮者。本名は、アンヌンツィオ・パオロ・マントヴァーニ(Annunzio Paolo Mantovani)。多くのミリオンセラーヒットを持つ。
1905年、イタリア・ヴェネツィア生まれ。父親はヴァイオリニスト。4歳の時に家族揃ってロンドンへ移住する。マントヴァーニのプロ・ミュージシャンとしてのスタートは、ロンドンのメトロ・ポール・ホテルの小編成のサロン・オーケストラを率いてである。1940年にイギリスのレコード会社デッカと契約し、亡くなるまでの40年間に述べ767曲も録音し、『シャルメーヌ』『グリーンスリーヴス』『ムーランルージュのテーマ』『80日間世界一周』等の大ヒット曲を飛ばし、ストリングスを上手く駆使したイージーリスニングの第一人者の一人として君臨した。アメリカのビルボード誌にNo.1ヒットはなかったものの、チャートインした曲は12曲ほどある。また、1953年11月4日には、イギリス・デッカ初のステレオ実験録音も、マントヴァーニの楽団の演奏により行われた。1980年、死去。74歳没。
マントヴァーニ・オーケストラの大きな特徴は、カスケーディング・ストリングスと呼ばれる、滝が流れるような (=cascading) きらびやかな効果を得る編曲法で演奏されていることである。ヴァイオリン・セクションを4パート程度に分け[注 1]、メロディの一部分をそれぞれのヴァイオリン・パートが代わる代わる演奏する。つまり、この編曲法では完全な主旋律を演奏しているヴァイオリン・パートは1つもない[注 2]。こうして、電気的エフェクトを一切使わず生演奏だけでヴァイオリン・セクションにリバーブがかかったような効果を得る[1]。エフェクターを使っていないので、生演奏でも同様に聞こえる。専属編曲家でオルガン奏者のロナルド・ビンジが、教会のオルガンを演奏するときの残響から着想を得た。