種類 | 空対地ミサイル |
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製造国 | フランス / イギリス |
性能諸元 | |
ミサイル直径 | 40 cm |
ミサイル全長 |
4.12 m (AS.37) 3.87 m (AJ.168) |
ミサイル全幅 | 1.20 m |
ミサイル重量 |
530 kg (AS.37) 550 kg (AJ.168) |
弾頭 | 150 kg |
射程 | 30 km |
推進方式 | 固体燃料ロケット |
誘導方式 | PRH (AJ.168) / TV (AS.37) |
飛翔速度 | 亜音速 |
マーテル(英語: Missile Anti-Radar and TELevision, MARTEL)は、フランスのマトラ社とイギリスのホーカー・シドレー・ダイナミクス(HSD)が共同で開発した空対地ミサイル[1][2]。
その名の通り、パッシブ・レーダーホーミング(PRH)誘導版(対レーダーミサイル)のAJ.168と、画像(TV)誘導版のAS.37とがファミリー化して開発された。AJ.168はファイア・アンド・フォーゲットが可能だったのに対し、AS.37は、必要に応じて指令誘導を行う必要があった。目標を捕捉する公算を向上させ、母機への危険を最小化するため、事前に幅広いコースをインプットすることができた[1]。AJ.168はマトラ社で製造され、そのAD-37誘導装置はエレクトロニーク・マルセル・ダッソー社で製造された。一方、AS.37はHSD社で製造され、その画像・指令誘導装置はマルコーニ社で製造された[2]。
エンジンは固体燃料ロケット方式を採用しており、ブースターとしては2.4秒間燃焼するホチキス-ブラーント/SNPE社製のバジル、サステナーとしては22.2秒間燃焼するアエロスパシアル/SNPE社製のカサンドラが採用されていた[2]。
モックアップを用いた試験は1964年夏より開始され、1965年から1966年にかけて両バージョンの試作機が完成した。試射は成功を収め、1968年に開発完了が宣言された。1969年からの実用試験を経て、1972年より装備化された[1]。なお1960年代後半、CVA-01級航空母艦の計画中止に直面したイギリス海軍は、打撃力低下を補うため、PRH誘導版マーテルを潜水艦に搭載することを検討していたが、結局これは実現しなかった[3]。
その後、フランスでは、若干高速化するとともにPRH誘導装置の改良を図ったARMATが開発され、AJ.168の後継として配備されたが、1990年代後半の時点でも、若干数のマーテルが残存していた[4]。またマトラ社では、イタリアのオート・メラーラ社と共同で、マーテルを元にした艦対艦ミサイルとしてオトマートを開発したほか[5]、BAeダイナミクスもマーテルを元にした空対艦ミサイルとしてシーイーグルを開発した[6]。更にアエロスパシアル社のエグゾセについても、固体燃料ロケット・モーターは本機との類似性が指摘されている[7]。
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