ムーアズ殺人事件 | |
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サドルワース・ムーアの被害者の遺体が埋められた場所 | |
場所 |
イギリス イングランド グレーター・マンチェスター |
標的 | 未成年の少年少女 |
日付 |
1963年7月 – 1965年10月 |
概要 | 10歳から17歳の少年少女5名が殺害される。少なくとも4名は性的暴行を受けていた。 |
攻撃手段 | 拷問 |
攻撃側人数 | 二人 |
死亡者 | ポーリン・リード、ジョン・キルブライド、キース・ベネット、レスリー・アン・ダウニー、エドワード・エヴァンズ |
犯人 |
イアン・ブレイディ マイラ・ヒンドリー |
動機 | 犯人のサディズムを満たすため |
謝罪 | マイラ・ヒンドリーは謝罪したが、イアン・ブレイディは拒否 |
賠償 | なし |
イアン・ブレイディとマイラ・ヒンドリー Ian Brady and Myra Hindley | |
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個人情報 | |
生誕 |
1938年1月2日(ブレイディ) 1942年7月23日 (ヒンドリー) イギリス スコットランド・グラスゴー(ブレイディ) イギリス イングランド・クランプソール(ヒンドリー) |
死没 |
2017年5月15日 (79歳没)
(ブレイディ) イギリス (ブレイディ) イギリス(ヒンドリー) |
死因 |
肺性心によって引き起こされる慢性閉塞性肺疾患(ブレイディ) 気管支肺炎(ヒンドリー) |
殺人 | |
犠牲者数 | 5人 |
犯行期間 | 1963年7月12日–1965年10月6日 |
国 | イギリス |
逮捕日 |
1965年10月7日(ブレイディ) 1965年10月11日(ヒンドリー) |
司法上処分 | |
刑罰 | 仮釈放なしの終身刑(2人に対して) |
有罪判決 | 殺人罪・死体遺棄罪ほか |
判決 | 仮釈放なしの終身刑(2人に対して) |
ムーアズ殺人事件(ムーアズさつじんじけん)は、1963年7月から1965年10月にかけて、イギリスのサドルワース・ムーア(en)(現在のグレーター・マンチェスター)で起きた連続殺人事件。
犯人はイアン・ブレイディ(Ian Brady)とマイラ・ヒンドリー(Myra Hindley)であり被害者の遺体をサドルワース・ムーアと呼ばれる荒野に埋めていたことから、この一連の殺人事件は「ムーアズ殺人事件」と呼ばれる。
イアン・ブレイディは読書家の青年でありアドルフ・ヒトラーの『我が闘争』をドイツ語で読みこなし、マルキ・ド・サドの著書も好んでいた。1961年、職場で出会ったマイラ・ヒンドリーと交際を始め、共同で殺人を繰り返すことになる。2人は完全犯罪を目論み、犠牲者を増やしていった。
殺害されたのはポーリン・リード、ジョン・キルブライド、キース・ベネット、レスリー・アン・ダウニー、エドワード・エヴァンズの5名で、いずれも10歳から17歳の少年少女であった。また、彼らのうち少なくとも4名は性的暴行を受け、その様子を写真やテープに収められていた。
3人の遺体は1966年の2人の裁判から20年以上も経過した1987年の調査で発見されたが、キース・ベネットの遺体は未だ発見されていない。
殺害が発覚したのはヒンドリーの妹モリーンの夫デヴィッド・スミスが、ブレイディに依頼されエドワード・エヴァンズの殺害に加担したためである。スミスとモリーンは警察に通報し、ブレイディとヒンドリーは逮捕された。
警察は当初エドワード・エヴァンズ、レスリー・アン・ダウニー、ジョン・キルブライドの3名の殺害についてしか把握していなかったが、1985年に、ブレイディがポーリン・リード及びキース・ベネットの殺害について供述したことが報道されたのちに捜査を再開した。ブレイディとヒンドリーは2人別々にサドルワース・ムーアで実況見分を行い、ともにポーリン・リードとキース・ベネットの殺害を認めた。
裁判の結果、2人には仮釈放の可能性のない終身刑の判決が下された。イギリスでは最も重い刑罰であり、女性がこの刑を受けるのは史上初めてであった。
「全英最凶の女」と呼ばれたヒンドリーは、「自分は既に更生している」「社会に仇なす存在ではない」と主張して幾度となく釈放を訴えていたが、判決が覆ることはなく2002年に獄中にて60歳で死亡した(死因は心臓疾患及び気管支肺炎)。
ブレイディは1985年に精神異常との診断を受け、それ以来アシュワース高度保安病院に入院していた。ヒンドリーとは対照的に、彼は「絶対に釈放されたくはない」「獄中で死なせてくれ」と繰り返し、2017年5月に79歳で死亡した。
この殺人事件は、「『幼い頃から暴力というものにさらされ続けて屈折した女』と『サディスト嗜好のサイコパス男』によって起きた『悪い要因の連鎖』によるものだ」とカーディフ大学教授のマルコム・マクロッチは語っている。
再現ドラマの解説にて、桐生正幸が動機面について検討している[1]。