 |
この項目では、怪獣のメガロについて説明しています。その他のメガロについては「メガロ (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
メガロ (Megalon) は、『ゴジラ対メガロ』『ゴジラアイランド』に登場する架空の怪獣。別名「昆虫怪獣」[1]。
ドリルのような腕と、カブトムシのような角を持つ昆虫型怪獣である[2]。デザインにはカブトムシだけでなく、セミなど複数の昆虫の特徴が取り入れられている[出典 1]。当時は子供たちの間で昆虫ブームが起きていたため、昆虫をモチーフとした怪獣となった[出典 2][注釈 1]。
『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』では、検討用台本『ゴジラ対宇宙怪獣 地球防衛命令』および『ゴジラ対ガイガン キングギドラの大逆襲』に新怪獣としてメガロの名が使われているが[出典 3]、その描写は「体からスモッグのようなガスを放射して敏捷に動く[14]」「触角の先端に目がある」など、本作品とはまったく異なるものであった[11][注釈 2]。なお、メガロの原案は元々『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』に登場させる予定であったケラ怪獣「ゲバラ」の転用である。
デザイナーは不明[17][8]。井口昭彦が担当したと紹介されることもあったが[4]、彼はこれを否定している[17]。NGデザインでは角の形状と配色が異なっていた[17]。特技監督の中野昭慶は、ガイガンやチタノザウルスと同様に、恐竜が原色であったとする説に基づいて赤くすることを検討していたと述べている[18]。
書籍『ゴジラ大百科 [新モスラ編]』では、名称は『空の大怪獣 ラドン』に登場するメガヌロンを継承したものと記述している[19]。また、同書では昆虫型怪獣の守護神という設定は「戦闘神としてのモスラ」をイメージさせると解釈しており、後のバトラにも通じるコンセプトであったと評している[19]。
なお、中野によれば、日本よりアメリカで好評であり、熱狂的なファンが大勢いるという[20]。
上記のほか、白組のCGクリエイターの上西琢也による短編作品『ゴジラVSメガロ』(2023年)にも登場する。
シートピア海底王国の守護神[出典 13](守護獣[48][28])。人間の何百倍もの視力がある複眼とダイヤモンド以上の硬度を持つ頑強な甲羅のような外殻で覆われた全身を持つ[出典 14]。目は、瞼のようなひさしを昆虫のような半球に被せたものとなっている[28]。飛行時には両腕を合わせ、前胸背板の黒と黄色のまだら模様の外翅[注釈 8]を開いて中央の2枚の羽が垂直尾翼のように立ち上がることでジェット機のような形となる[28]。膝と2本指の足には強力なバネを持つが[38]、その秘密は解明されていない[36]。出現地点は北山湖→東京→北山湖周辺[23]。
両手の先はそれぞれ縦半分に割ったドリルのような形状となっており、両手を合わせることで万能削岩ドリル[出典 15][注釈 9]として使用できる。ドリルはそのまま武器になるほか、地中を高速で移動して奇襲するなどの方法にも使われる。左右に開いた口からは高熱を帯びた地熱ナパーム弾[出典 17](地熱ナパーム[22][43])[注釈 10]、角の先端からは黄色い稲妻状のレーザー殺獣光線[出典 18][注釈 11]を放つ(どちらも、発射前には角が黄色く発光する)。羽根を用いて風速1千メートルの風を起こす[出典 20]。低空飛行で角から突撃する戦法も得意とする[23]。
人類の第2回地下水爆実験によってシートピア海底王国の北地区が全滅するなどの被害を受けたため、シートピア人はメガロを鉄槌として地上へ送り込むと[27][37][38]、伊吹吾郎から強奪したジェットジャガーに案内させながら破壊活動を行うが、彼らの活躍によってジェットジャガーが奪還されたため、メガロは一時的に暴走する[8]。
その後、自我を持って巨大化したジェットジャガーと戦い始めたメガロは、やや形勢不利となったところへ応援に来たガイガンとの2頭がかりでジェットジャガーを追い詰める。しかし、ゴジラの出現によってタッグマッチ戦となった激闘の末に敗れ、シートピア海底王国へ退散する[34]。
- 造形
- 造形は安丸信行[24][7][8]と小林知己[7][8]。スーツはウレタン製[49]。背中の羽根は風呂マットに使うハードスポンジ(硬質ウレタン)製で[4][24][8]、内側の血管状のディテールは毛糸を貼って表現している[24]。目はアクリル[24]、角・歯・両手のドリルはFRPで作られた[4][8]。ドリルの原型は、当時新人であった小林が手掛けた[出典 21]。チャックは腹についている。背中の羽根を広げて羽ばたかせることも可能だが、操演の手間がかかることから、動かすことはほとんどなかった[52]。触角の形状は、同年に放送された東宝制作の特撮テレビドラマ『流星人間ゾーン』に登場するガロガバラン星人と共通している[4]。
- 1尺サイズの飛び人形も制作された[53][7]。
- 撮影・演出
- スーツアクターは伊達秀人[出典 22][注釈 12]。
- 飛び跳ねるシーンは操演で表現している[49][7]。特技監督の中野昭慶は、昆虫だから飛ぶという発想で、子供には好評であったが大人の目には奇妙に写ったかもしれないといい、巨大感が薄れたことなども反省点であったと述べている[49]。
X星人の操る昆虫怪獣。
ややコミカルな演出がなされており[注釈 13]、デストロイアの子分のような立ち回りを演じている。武器は角からの殺獣レーザー光線と口からの地熱ナパーム。
最初はバトラと共に飛来し、モスラ、ラドン、モゲラ、メカゴジラと空中戦を展開する。続いてゴジラジュニアをマタンゴ島に誘拐し、モゲラによって倒される。その後はGガードの科学技術班によって再生され、「怪獣刑務所」に収監されるが、脱獄した後はデストロイアとタッグを組むことが多くなる。物語終盤では、酸素がなくても活動できるように遺伝子操作される。「G島の秘密編」でデストロイアとともに宇宙へ逃走した後は登場しておらず、消息は明らかになっていない。
- ^ 特技監督の中野昭慶によれば、カブトムシをモチーフとするのは『ゴジラ対メガロ』原作の関沢新一であったと証言している[5]。
- ^ 書籍『ゴジラ大百科 [メカゴジラ編]』では、『ゴジラ対ガイガン』の公開前に「新怪獣として宇宙怪獣メガロが登場する」という噂が子供たちの間で広まっていたと紹介している[15]。
- ^ 資料によっては、MEGARONと記述している[出典 5]。
- ^ 資料によっては、「1万トン」と記述している[35]。
- ^ 資料によっては「600ノット」と記述している[3][25]。
- ^ 資料によっては「マッハ2」と記述している[23][26]。
- ^ 資料によっては、「出生地」として記述している[34][22]。
- ^ 翅脈があるため、甲虫ではなくバッタなどに酷似している[28]。
- ^ 資料によっては、名称を万能掘削ドリル[出典 16]、万能ドリル[3][36]、削岩ドリル[43]と記述している。
- ^ 資料によっては、名称を火炎弾[29]、地熱火焔ナパーム弾[1](地熱火炎ナパーム弾[31])と記述している。
- ^ 資料によっては、名称をレーザー光線[出典 19]、殺獣レーザー光線[1]、レーザー殺人光線[31]と記述している。
- ^ ただし、薩摩剣八郎の著書『ゴジラが見た北朝鮮』では、自身がメガロを演じたと記述している[要ページ番号]。薩摩がメガロの着ぐるみに入っている写真も存在するが[6][7]、書籍『ゴジラ 東宝チャンピオンまつり パーフェクション』では顔が似ているが伊達だと薩摩が証言している[56]。
- ^ 「ラドンと取っ組み合って墜落し、運悪くデストロイアに激突」「ミサトのタルトクープの動きに翻弄されて目を回して倒れる」など。
- ^ a b c d 怪獣大全集 1991, p. 77, 「東宝モンスター名鑑」
- ^ a b c d e f ゴジラ大全集 1994, p. 123, 「東宝怪獣総進撃 メガロ」
- ^ a b c d e f g h 東宝怪獣グラフィティー 1991, p. 19, 「MONSTER GRAPHIC SPECIAL スクリーンを荒らした怪獣たち」
- ^ a b c d e f 大ゴジラ図鑑2 1995, pp. 135–137, 「メガロ」
- ^ a b c ゴジラ・デイズ 1998, pp. 320–325, 中野昭慶「1962-84 GODZILLA ゴジラはドラマ作りの原点 昆虫ブームが起こってメガロが生まれた」
- ^ a b c 東宝特撮映画大全集 2012, p. 159, 「『ゴジラ対メガロ』撮影秘話」
- ^ a b c d e f g h i j キャラクター大全ゴジラ 2014, pp. 78–79, 「ゴジラ共演怪獣 1954-1967」
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r GTOM vol.38 2024, p. 24, 「昆虫怪獣 メガロ」
- ^ 大辞典 2014, pp. 338–339, 「作品紹介 ゴジラ対メガロ」
- ^ ゴジラ大百科 1993, pp. 134–135, 「幻のゴジラ映画大公開!」
- ^ a b 東宝特撮映画大全集 2012, p. 154, 「『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』資料館」
- ^ 大辞典 2014, p. 189, 「COLUMN10 幻のゴジラ映画2 『ゴジラ対宇宙怪獣 地球防衛命令』」
- ^ 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, p. 145, 「東宝チャンピオンまつり未使用シナリオ全文掲載」
- ^ ゴジラ大百科 1993, p. 169, 構成・執筆 早川優「ゴジラ映画を100倍楽しくする 東宝怪獣映画カルト・コラム 44 『ゴジラ対ガイガン』時期から知られていた怪獣メガロ」
- ^ a b c 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, pp. 102–103, 「東宝チャンピオンまつりデザインワークス」
- ^ 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, p. 99, 「東宝チャンピオンまつりスペシャルインタビュー 中野昭慶」
- ^ a b ゴジラ大百科 1992, p. 115, 文 元山掌「ゴジラ映画怪獣オールスター図鑑」
- ^ “【俺とゴジラ】第三回 特技監督 中野昭慶氏(前編)”. ゴジラ・ストア. 東宝ステラ (2015年5月1日). 2021年3月20日閲覧。
- ^ a b c d 超最新ゴジラ大図鑑 1992, p. 129, 「[ゴジラ対メガロ]メガロ」
- ^ a b c ゴジラ画報 1999, p. 37, 「東宝怪獣紳士録」
- ^ a b c d e f g h ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 152, 「ゴジラ対メガロ キャラクター図鑑」
- ^ a b c d e f g オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 176, 「『ゴジラ対メガロ』メガロ」
- ^ a b 大辞典 2014, p. 279, 「め メガロ」
- ^ a b GODZILLA60 2014, p. 91, 「怪獣図鑑」
- ^ a b c d e 全怪獣大図鑑 2021, p. 107, 「ゴジラ バトル大怪獣」
- ^ a b c d e f 大解剖図鑑 2023, pp. 66–67, 「メガロ」
- ^ a b c
- ^ a b c d
- ^ a b c d ゴジラ大百科 1994, p. 116, イラスト 破李拳竜、文 早川優「ゴジラシリーズ イラスト怪獣図鑑」
- ^ a b c
- 怪獣大全集 1991, p. 77, 「東宝モンスター名鑑」
- ゴジラ大百科 1993, p. 107, 文 秋廣泰生・天野秀明「東宝怪獣大図鑑」
- ゴジラ大全集 1994, p. 123, 「東宝怪獣総進撃 メガロ」
- ゴジラ来襲 1998, p. 209, 「第7章 特選!東宝怪獣名鑑'98」
- ゴジラ画報 1999, p. 37, 「東宝怪獣紳士録」
- 東宝特撮映画大全集 2012, p. 158, 「『ゴジラ対メガロ』怪獣図鑑」
- 完全解読 2014, p. 89, 「第2章 狂える神々 マンダ メガロ キングシーサー」
- 解体全書 2016, p. 89, 「第2章 狂える神々 マンダ メガロ キングシーサー」
- 超解体全書 2023, p. 89, 「第2章 狂える神々 マンダ メガロ キングシーサー」
- 超常識 2016, pp. 94–96, 「ジェット・ジャガーと共に戦う ゴジラ対メガロ」
- ゴジラ検定 2018, p. 73, 「ゴジラ対メガロ 今回の怪獣対決」
- 全怪獣大図鑑 2021, p. 107, 「ゴジラ バトル大怪獣」
- ^ a b 決定版ゴジラ入門 1992, p. 99, 「第2章 ゴジラと怪獣たちの死闘」
- ^ a b c d e f ゴジラ大百科 1992, p. 114, 文 元山掌「ゴジラ映画怪獣オールスター図鑑」
- ^ a b c d e f g h i j 激闘超図鑑 1992, p. 55, 「全怪獣名鑑」
- ^ a b c d e f g h 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, pp. 66–67, 「ゴジラ対メガロ」
- ^ a b c d e GTOM vol.0 2022, p. 10, 「ゴジラ対メガロ」
- ^ a b c d e f g h i j k ゴジラ大鑑 2024, p. 104, 「ゴジラ対メガロ」
- ^ a b c d e f
- ^ a b c
- 東宝怪獣グラフィティー 1991, p. 19, 「MONSTER GRAPHIC SPECIAL スクリーンを荒らした怪獣たち」
- 決定版ゴジラ入門 1992, p. 99, 「第2章 ゴジラと怪獣たちの死闘」
- 動画王特別編集ゴジラ大図鑑 2000, p. 130, 「1970年代 ゴジラ対メガロ」
- オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 176, 「『ゴジラ対メガロ』メガロ」
- 大辞典 2014, p. 279, 「め メガロ」
- ^ a b
- 東宝特撮映画全史 1983, pp. 368–369, 「東宝特撮映画作品史 ゴジラ対メガロ」
- ゴジラ大百科 1990, p. 55, 「ゴジラ映画怪獣図鑑」
- 最新ゴジラ大百科 1991, p. 54, 「ゴジラ映画怪獣図鑑」
- 超最新ゴジラ大図鑑 1992, p. 129, 「[ゴジラ対メガロ]メガロ」
- Walker 2016, p. 65, 「シリーズ全28作+3作ガイド」
- ^ ゴジラ来襲 1998, p. 209, 「第7章 特選!東宝怪獣名鑑'98」
- ^ a b c d 動画王特別編集ゴジラ大図鑑 2000, p. 130, 「1970年代 ゴジラ対メガロ」
- ^ a b 東宝特撮映画大全集 2012, p. 158, 「『ゴジラ対メガロ』怪獣図鑑」
- ^ a b c d
- ^ 超常識 2016, pp. 94–96, 「ジェット・ジャガーと共に戦う ゴジラ対メガロ」
- ^ a b c ゴジラ検定 2018, p. 73, 「ゴジラ対メガロ 今回の怪獣対決」
- ^ a b c ゴジラ大百科 1993, p. 107, 文 秋廣泰生・天野秀明「東宝怪獣大図鑑」
- ^ a b c d e 東宝特撮映画全史 1983, pp. 368–369, 「東宝特撮映画作品史 ゴジラ対メガロ」
- ^ 大ゴジラ図鑑 1995, p. 174, 「INTERVIEW Gを作った男たち 小林知己に聞く」
- ^ 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, p. 109, 「東宝チャンピオンまつり造形メイキング チャンピオンまつり怪獣蔵出し造形テクニック」
- ^ 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, pp. 88–89, 「ゴジラ対メガロメイキング」
- ^ ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 156, 「メイキング オブ ゴジラ対メガロ」
- ^ 中野昭慶、染谷勝樹『特技監督 中野昭慶』ワイズ出版〈ワイズ出版映画文庫〉、2014年7月25日、453頁。ISBN 978-4-89830-280-4。
- ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 157, 「『ゴジラ対メガロ』作品解説」
- ^ a b 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, p. 111, 「東宝チャンピオンまつりスーツアクター列伝」
- ^ “特撮ばんざい! 第14回:ゴジラ♪ ゴジラ♪『ゴジラアイランド』鵜川薫インタビュー!!”. モノ・マガジンweb (ワールドフォトプレス). (2023年3月2日). https://www.monomagazine.com/61921/ 2024年1月10日閲覧。
- ^ 「特生自衛隊 前史」『ゴジラ×3式機龍〈メカゴジラ〉コンプリーション』ホビージャパン、2016年12月21日、105頁。ISBN 978-4-7986-1353-6。
- ^ 怪獣黙示録 2017, pp. 19–111, 第1章『出現』
- ^ プロジェクト・メカゴジラ 2018, pp. 53–85, 第6章『長征』
- ^ “自らゴジラを熱演『ゴジラVSメガロ』上西監督が込めたアツすぎるVSシリーズ愛”. シネマトゥデイ (シネマトゥデイ). (2024年6月27日). https://www.cinematoday.jp/news/N0143685 2024年10月17日閲覧。