モンドセレクション(Monde Selection[注釈 1])は、食品、飲料、化粧品、ダイエット、健康食品、水道水まで幅広い商品の技術的水準を審査するベルギーにある民間企業である。また、与えられるラベルの事。参加費用を支払い、評論家の審査を受け、モンドセレクションよりラベルが与えられる。1961年にベルギー経済省やECの支援を受け[1]、ブリュッセル郊外に設立された。
出品者からモンドセレクションに送付された商品に対し、評論家などが審査を行う。審査基準は「味覚」「衛生」「パッケージに記載されている成分などが正しいか」「原材料」「消費者への情報提供」等の各項目の点数を加算し総合得点によって各カテゴリごとに優秀品質最高金賞、優秀品質金賞、優秀品質銀賞、優秀品質銅賞が授与される。
モンドセレクションによる以下のトロフィーの授与:
本認証はコンクールスタイルを用いているものではない。相対評価ではなく絶対評価を用いているため、定められた技術水準を満たした商品には全て認証が与えられる。モンドセレクションは国際的な知名度はないが、日本国内での知名度は高い。2008年の日経MJによると、審査対象品の5割が日本からの出品であり、うち8割が入賞している[2]。
2017年は、2965製品中420製品が最高金賞、1368製品が金賞と過半数が金賞以上に認証されており、90%以上の2691製品が銅賞以上に認証されているため[3]、90%以上が何らかの賞を受け取れるのは多すぎるのではないかと2017年にテレビ東京のワールドビジネスサテライトが報道した[4]。翌年2018年の授賞式の場で、ワールドビジネスサテライトがモンドセレクションの審査委員長に直接質問したところ、審査委員長は「例えば酒なら日本から質の高い上位2 - 3%の大吟醸が応募されてくる。」として問題ないとの見解を示した[5]。
2017年まで製品の評価のスコアが非公開で、受賞の理由が不明確だったことも、審査の正しさに疑問を持たれた一因だが、ワールドビジネスサテライトの報道もきっかけに、2018年から審査の透明性を高めるため、初めて“評価シート”が導入され、味や香りなど項目ごとに獲得したスコアが明示され、企業に配布されるようになった[6]。
2024年、鮮度が必要な生菓子などを審査するために審査団が来日し、ベルギー大使館において審査が行われた。これを日本テレビで放送されたバラエティ番組『ブラックボックス』(2024年2月18日、14:00放送)が取材し、モンドセレクション審査会場に初めてカメラが入った。モンドセレクションの責任者によると、金賞の受賞が目立つように見えるのは、銅賞や銀賞を受賞した企業はそれをパッケージに表示しないことが多いのと、また「日本の製品は高品質で素晴らしい」からとのこと。「お金を払えばだれでも金賞を受賞できる」「適当な審査をしている」などの誤解が世間に広まっているが、実際には、初出店で金賞を受賞できるのは20%-30%で、特に最高金賞を受賞できるのは数%程度とのこと。出品や受賞のハードルは高く、そのため出品の代行や受賞のためのコンサルティングなどを行う「公認エージェント」が存在することも紹介された[7][8]。
認証を得た商品のパッケージには認証メダルを受賞マークとして表示することができる。これにより一定の技術水準に達していることを消費者にアピールし、売り上げを大幅に伸ばした例もある[9]。また日本では審査用書類作成やサンプル商品の輸送など、出品をサポートする提供業者も存在する。
2008年現在、認証を受けた日本の商品のうち地方の中小企業によるものが増えてきており、自社商品のPRとして活用している面もある。受賞マークの使用期限は3年間であるが、インターナショナル・ハイクオリティー・トロフィーは授賞年度が記載されている事が条件のうえ、使用期限はない[10]。主な審査基準内容はパンフレットに発表されておりその内容は毎年多少の見直しが行われている。認証発行数(受賞者数)は公式発表されており、認証された企業は正確な評価ポイントを書面で知らされ、授賞式に参加すると審査員に直接アドバイスももらえる。
2008年現在、日本で開催されている食品の展示会「フーデックス」[注釈 2]にモンドセレクションも参加をしている[11]。
2018年現在、中国や台湾など日本以外のアジア圏からの応募が増えている。
日本では1966年に日清製菓の「バターココナツ」が第5回モンドセレクションでゴールドメダルを獲得し、パッケージにメダルのデザインを表示して宣伝したことから一躍有名になった。日本のメーカーが世界のコンテストで金賞を受賞したことはとてつもない大殊勲とみなされ[12]、これ以後、日本のメーカーがこぞってモンドセレクションに挑み、競合メーカーに先んじて金賞を受賞し、自社の技術が国際的に優れているという宣伝に利用した。外資が寡占する1982年当時の日本のインスタントコーヒー市場に「モンドセレクション」を武器に参入したUCC上島珈琲が典型だが、1980年代までは日本メーカーと外国メーカーに品質の大きな隔たりがあり、また現在は品質に疑いようもない大手メーカーの定番製品でも発売当時は弱小メーカーの無名の新製品であり、「モンドセレクション」を宣伝に使って大手に成り上がったメーカーは多い。大手メーカーの技術向上が進んだ1980年代以降になるとローカルメーカーからの出展・受賞も目立つようになる。
審査料は食品部門であれば1製品につき1,150ユーロ、3製品以上ならば3製品目からは1製品につき1,050ユーロの割引価格が適用される[16]。
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授賞式は例年6月ヨーロッパ各地を巡回して行われている[17]。
開催回数 | 開催年 | 開催国 | 開催都市 |
---|---|---|---|
1 | 1962年 | ベルギー | ― |
2 | 1963年 | フランス | ― |
3 | 1964年 | フランス | ― |
4 | 1965年 | ルクセンブルク | ― |
5 | 1966年 | ベルギー | ― |
6 | 1967年 | フランス | ― |
7 | 1968年 | フランス | ― |
8 | 1969年 | イギリス | ― |
9 | 1970年 | オランダ | ― |
10 | 1971年 | ベルギー | ― |
11 | 1972年 | スイス | ― |
12 | 1973年 | フランス | ― |
13 | 1974年 | ベルギー | ― |
14 | 1975年 | オランダ | ― |
15 | 1976年 | イギリス | ― |
16 | 1977年 | ルクセンブルク | ― |
17 | 1978年 | スイス | ― |
18 | 1979年 | フランス | ― |
19 | 1980年 | オーストリア | ― |
20 | 1981年 | オランダ | ― |
21 | 1982年 | イギリス | ― |
22 | 1983年 | イタリア | ― |
23 | 1984年 | スペイン | ― |
24 | 1985年 | ポルトガル | ― |
25 | 1986年 | スイス | ― |
26 | 1987年 | ベルギー | ― |
27 | 1988年 | ギリシャ | ― |
28 | 1989年 | イギリス | ― |
29 | 1990年 | ルクセンブルク | ルクセンブルク |
30 | 1991年 | スペイン | バルセロナ |
31 | 1992年 | オランダ | アムステルダム |
32 | 1993年 | ベルギー | ブリュッセル |
33 | 1994年 | フランス | パリ |
34 | 1995年 | イタリア | ローマ |
35 | 1996年 | ポルトガル | リスボン |
36 | 1997年 | ベルギー | ブリュッセル |
37 | 1998年 | ハンガリー | ブダペスト |
38 | 1999年 | ベルギー | ブリュッセル |
39 | 2000年 | ルクセンブルク | ルクセンブルク |
40 | 2001年 | ポルトガル | リスボン |
41 | 2002年 | フランス | パリ |
42 | 2003年 | ベルギー | ブリュッセル |
43 | 2004年 | オランダ | アムステルダム |
44 | 2005年 | ベルギー | ブリュッセル |
45 | 2006年 | チェコ | プラハ |
46 | 2007年 | スペイン | バルセロナ |
47 | 2008年 | オーストリア | ウィーン |
48 | 2009年 | イタリア | ヴェネツィア |
49 | 2010年 | ドイツ | ヴィースバーデン |
50 | 2011年 | ベルギー | ブリュッセル |
51 | 2012年 | ギリシャ | アテネ |
52 | 2013年 | スウェーデン | ストックホルム |
53 | 2014年 | フランス | ボルドー |
54 | 2015年 | ポルトガル | リスボン |
55 | 2016年 | ハンガリー | ブダペスト |
56 | 2017年 | マルタ | バレッタ |
57 | 2018年 | スペイン | バレンシア |
58 | 2019年 | イタリア | ローマ |
59(中止) | 2020年 | ドイツ | ミュンヘン[18] |
60(中止) | 2021年 | ベルギー | ブリュッセル[19] |
61(中止) | 2022年 | ベルギー | ブリュッセル |
62 | 2023年 | ベルギー | ブリュッセル |
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