リューター(Leutor)とは、日本精密機械工作株式会社が製造する電動切削工具のブランド名[1]、またはその製品群のうちのハンドグラインダーに類似した精密グラインダーを指す一般名称である。ルータと呼称される場合もあるが、ルータ (工具)(Router)との区別のため本項ではリューターで統一する。
1938年に時計やカメラの精密部品のメーカーとして設立した日本精密機械工作株式会社が、1954年に開発したハンドグラインダーに「リューター2型」と名付けたのが始まりとされる[2]。リューターと言う名前は同社の創業者の名前伊藤「龍太郎」にちなんで命名された。[3]現在ではハンドグラインダーのほか、超音波研磨装置や精密卓上ボール盤も、このブランドの一製品として製造されている。
細身で握りやすいハンドグラインダーは、彫金や木彫、模型製作、ネイルアート、グラスリッツェン(ガラス工芸)などの専門業者やホビー愛好家の間で重宝され、「リューター」は一般名詞化した[4]。
日本精密機械工作株式会社は「リューター」をブランドと宣言し[1]、商標登録を1993年に出願して1996年に登録第3162001号「Leutor」(呼称、ルーター/国際分類7類・金属加工機械器具)の英語表示で登録されている[5]。類似の精密グラインダーを商品化しているメーカーとそれぞれの商品名は次の通りである。
- 1977年設立[6]のドイツPROXXON(プロクソン)は、「ロータリーツール」[7]
- 1932年設立[8]のアメリカDREMEL(ドレメル)は、1945年頃[9]より開発し商品名を「モートツール」[10]から「マルチプロ」へと変え、現在「ハイスピードロータリーツール」としている[11]。
- Mr.Meisterは、「ハンドピースグラインダー」
- 京セラインダストリアルツールズは、「ホビールータ」[12]
- ミニターは、「ミニモ ハンドピース」
- アルゴファイルジャパンは、「マイクロモーターシステム」
一般に、リューターは約5,000から約35,000回転/分(rpm)の固定回転速度または無段階変速で回転し、コレットによるチャック装置で各種先端工具を保持する。
主な先端工具によりできる加工内容は次の通りである。
- 彫刻カッター 非鉄金属、木工の溝加工、穴加工
- 軸付砥石 研磨、バリ取り、面取り加工、サビ取り
- 研磨ホイール・研磨チップ ツヤ出し、鏡面仕上げ
- 剛毛ブラシ 宝飾品、精密機械の磨き・クリーニング
- ワイヤーブラシ 錆取り、表面クリーニング
- ドリルビット 木材や革細工などの穴加工
- 切断砥石 木工、ガラス、プラスチック、針金等の切断
本来のブランドであるリューターは電動工具の製品群であるが、モーターの代わりに圧搾空気を動力源としたものを「エアリューター」と呼ぶ例もある。
- ^ a b 日本精密機械工作株式会社ホームページ
- ^ 日本精密機械工作株式会社-会社案内
- ^ https://www.youtube.com/watch?time_continue=49&v=mgg_-wLzBT4&feature=emb_title
- ^ 日刊工業新聞2010年7月記事「ジュエリー研磨」に使用工具名として「リューター」を一般名詞として記述。
- ^ IPDL特許電子図書館・商標検索 呼称に「リューター」と入力して検索[リンク切れ]
- ^ PROXXON Company Profile
- ^ PROXXON hand-held 115 Volt unitsカタログ
- ^ Dremel History
- ^ 英語版DREMEL
- ^ "Dremel's Powerful New Moto-Tool 1967Popular Science 168頁
- ^ DREMELロータリーツールカタログ
- ^ リョービDIY用ツール
- 『TOOLS NOW 道具大全』1997年8月30日発行46頁 株式会社美術出版社
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