リングアナウンサー(Ring Announcer)は、ボクシングやプロレス、キックボクシングや総合格闘技など、主にプロ格闘技の分野で、リング上で選手を紹介するコール及び試合結果のアナウンス等を行う人物の総称である。日本では、略してリングアナとも呼ばれる。UFCではオクタゴンケージを使用するためオクタゴンアナウンサー(Octagon Announcer)と呼ばれる[1]。
PRIDEのレニー・ハートの様に、リングの外にブースを設置して選手紹介等のコールを行うスタイルもあり、便宜上このスタイルで行う者も同様にリングアナウンサーと呼ばれる。
リングアナウンサーを肩書きとするプロ(いわゆる公式リングアナウンサー)と、本業を別に持ち、ゲストとしてリングアナウンサーを務める者(いわゆる特別リングアナウンサー)に大別されるが、公式リングアナウンサーでも何らかの仕事を兼任している場合が多い。
リングアナウンサーを務める人物は、プロレスや格闘技以外の分野からも参加しているが、日本では青二プロダクション等に所属する声優が多数リングアナウンサーとしてプロレスや格闘技の分野に参入していることが特徴として挙げられる。また、プロレスや格闘技好きのタレントや芸能人でも比較的参加しやすい分野のため、特別リングアナウンサーとしてイベントに参加する傾向にある。
一方、プロボクシングの場合は選手・トレーナー・レフェリーなどと同様にライセンス制度がある。ただし、ライセンスのない者でも一応の参加は可能ではあるが、ライセンスを持っていれば試合全体でのアナウンスが可能となる上に公式戦承認料の中から報酬が得られる。また、ライセンスを持ったアナウンサーが1名以上いなければ試合興行を行うことができない。
試合実況を行う実況アナウンサーとは異なる業務であるが、収録番組や小規模興行では兼任する場合もまれにある。
リングアナウンサーの大まかな仕事を以下に述べる。
最初にリングアナウンサーがリングに上がりイベントの開始を告げる。続いて、選手入場をアナウンス。ただし、3150FIGHTやWHO'S NEXT DYNAMIC GLOVEのように入場アナウンスをリングアナウンサーとは別の人物が行う興行も存在する。
双方の選手がリングに上がった後、改めて試合開始の旨を告げ、それぞれの選手紹介を1人ずつ行う。ここでは体重(採用している階級分けによって単位がキログラムかパウンドかに分かれる。イベントによっては身長も)、肩書き(所属団体、王座獲得歴など)、キャッチフレーズも併せてコールされる。女子プロレスにおいては、試合によってはリングインした時点でその選手を紹介する場合もある。また、WWEのようにリング上でのアナウンスを省略する団体も存在する。選手紹介が終わった後、審判員が紹介される。ルール説明もここで行う。タイトルマッチ認定、花束贈呈、国歌斉唱なども告知する。アメリカなどの場合ボクシングのタイトルマッチの例として国歌斉唱(その前にやることがある)団体の名前、会長名、立会人の次にジャッジ、レフェリーを紹介、試合開始の旨を告げ、挑戦者と王者の順に読み上げる。
激励賞の提供者の読み上げも行われるが、一方はイベント開始前、もう一方は双方がリングに上がった後に読み上げられる。
特別リングアナウンサーは試合開始前のみの担当がほとんどである。
特異な例としてDRAGON GATEとDDTの対抗戦で選手コールをそれぞれのリングアナウンサーが分かれて担当したことがあった。
ここからはリングの下で行う。ラウンド開始はもちろん、試合停止や反則行為があった際にその旨を伝える。
特にプロレスではリングアナウンサーはタイムキーパーを兼任していることが多く、試合中は本部席で時計で時間を確認し、5分単位で経過時間をアナウンスする。日本の団体では出場選手に外国人選手が含まれている場合、日本語で時間経過をアナウンスした後に英語やスペイン語などでも経過時間がアナウンスされている。総合格闘技でもかつてのPRIDE→初期DREAMの第1Rのように時間の長いラウンドにおいては、経過時間をアナウンスする。
ボクシングでは第1ラウンド終了後のインターバル中に選手のプロフィール紹介も行う。
公開採点制度を導入している場合は当該ラウンド終了時にそれも伝える(アメリカ等の場合当該ラウンドの次のラウンドの開始早々に伝える)。
場外乱闘が起こった際には観客に対して注意を呼びかける。
なお、ダウンカウントのコールはタイムキーパーにマイクを渡して行うもので、リングアナウンサーの仕事ではない。
試合終了時に結果(ボクシング・キックボクシングのKO、プロレス・総合格闘技のフィニッシュなどと併せて)を伝える。
試合が判定に入った場合は採点結果が判明後に併せてアナウンスする。判定の場合はリングに上がることもある。
興行によっては勝利者インタビューのインタビュアーも引き受けることがある。
公式、特別を問わずリングアナウンサーを務めた日本人。
日本においてプロボクシングのリングアナウンサーになるためには、統括団体である日本ボクシングコミッション(JBC)のリングアナウンサー採用試験を受けなければならない。これを通過すると約半年間の実地研修を受ける。この研修による適正判断に合格すると、JBCよりリングアナウンサーライセンスが発行され、公式試合でアナウンスを担当することができる。[2]もっとも、ここ10数年は新規ライセンスが発行されていなかったため、その資格取得基準は極めて厳しいと考えられる。[3][4]
リングアナウンサーは試合役員として各興業に必ず置かなければならないと定められており、2023年現在は、以下の7名で日本全国全ての試合興行を担当している。[5]
現在
過去
日本のプロレスにおけるリングアナウンサーは通常、レスラー及びレフェリー同様にプロレス団体と所属契約を結び、団体の巡業に帯同することになる。一部いずれのプロレス団体にも属さないフリーランスもいるが、彼らは複数の団体・プロモーションと本数契約という形でコールを行っている。
メジャー団体には3名程度のリングアナウンサーが在籍しているが、まず団体職員として採用されて研修の一環として補助的な仕事経てリングアナウンサー業務に就くのが通常である。一興行においてコールする試合を分けており、メインイベントはベテランのリングアナウンサーがコールする。
一方でインディー団体の場合、外部から1名派遣されてコールを行うことが多い。
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