リーグチャンピオンシップシリーズ(英: League Championship Series, LCS)またはリーグ優勝決定シリーズ(リーグゆうしょうけっていシリーズ)は、メジャーリーグベースボールにおけるナショナルリーグ、アメリカンリーグの優勝チーム決定戦。ポストシーズンゲームの第3ラウンドである。
ナショナルリーグ(National League Championship Series , NLCS)と、アメリカンリーグ(American League Championship Series , ALCS)でそれぞれ開催される。両リーグのディビジョンシリーズ(地区シリーズ)を勝ち上がったチーム(1969年 - 1993年は両リーグの東西それぞれの地区優勝チーム)によって争われ、勝利したチームがリーグ優勝となりワールドシリーズに進出する。
1968年以前にも2球団が同率で並んだ場合は実施されていたが、ここでは1969年から行われている現行制度について説明する。
1969年にエクスパンション(en)で4球団が誕生して両リーグ共に10球団から12球団に増加し、レギュラーシーズンは主に所属球団の本拠地によって東西2地区に分け、各地区で優勝を争う方式へと変更となった。レギュラーシーズン終了後、地区優勝チーム同士でリーグ優勝を決定するために行われるのがリーグチャンピオンシップシリーズである。
当初は5回戦制(3戦先勝制)であったが、1985年から現在の7回戦制(4戦先勝制)となる。1994年から両リーグが東中西3地区制となり、各地区の優勝チームと、各地区の2位チームの中で最も勝率の高いチームがワイルドカードとしてポストシーズンに進出することになった。よって地区優勝していないチームがリーグ優勝、即ちワールドシリーズに進出することも可能になった(1994年は232日間に及ぶ長期ストライキの影響でシーズンが打ち切りとなり、ポストシーズンも中止された)。開催順はワールドシリーズと同じく2試合-3試合-2試合である(5回戦制時代は2試合-3試合で行われた)。
1998年からはレギュラーシーズンの勝率が高い方のチームが第1・2・6・7戦を本拠地で戦うホームアドバンテージを得る。ただしワイルドカードのチームが進出した場合は、勝率で上回っていても地区優勝したチームにアドバンテージが与えられる。
1997年まではホームアドバンテージを地区によって持ち回る方式であった。2地区制であった1993年までは奇数年はナショナルリーグ東地区とアメリカンリーグ西地区、偶数年はナショナルリーグ西地区とアメリカンリーグ東地区が得ていた(ただし1985年のみ逆)。ホームアドバンテージを得た地区は5回戦制(1984年まで)では第3・4・5戦を、7回戦制(1985年から)では第1・2・6・7戦を本拠地で戦う。
3地区制となった1994年からは以下の通り。そのチームがディビジョンシリーズで敗れた場合は、その破った相手がホームアドバンテージを得るが、ワイルドカードチームに敗れた場合は対戦チームにホームアドバンテージが移る。
1994年;上記の通り中止
1995年:ナショナルリーグ中地区優勝チーム、アメリカンリーグ西地区優勝チーム
1996年:ナショナルリーグ東地区優勝チーム、アメリカンリーグ中地区優勝チーム
1997年:ナショナルリーグ西地区優勝チーム、アメリカンリーグ東地区優勝チーム
ナショナルリーグでは1977年から、アメリカンリーグでも1980年からシリーズMVPが選出・表彰されるようになった。
指名打者制についてはレギュラーシーズンと同様、ナショナルリーグでは2019年までと、2021年は採用されなかったが、2020年と2022年以降では採用されている。アメリカンリーグでは全試合で採用する。
第2戦と第3戦の間および、第5戦と第6戦の間には1日移動日を設ける(ただし、中止が発生した場合は移動日を割愛することがある)。
なお2020年は新型コロナウイルス感染拡大防止対策を理由として、ワイルドカードを含む各リーグのポストシーズンへのノミネートを8チームに拡大し、集中開催とする観点から、従来の試合方式を維持しつつ中立地開催とし、アメリカン・リーグはペトコ・パーク、ナショナル・リーグはグローブライフ・フィールドのそれぞれ1会場で開催し、かつ休養日を設けずに開催される。[1]。
ワールドシリーズ優勝 | ワイルドカード | ワイルドカードから ワールドシリーズ優勝 |
年度 | ナショナルリーグ(NLCS) | アメリカンリーグ(ALCS) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
勝利チーム | 勝敗 | 敗戦チーム | 勝利チーム | 勝敗 | 敗戦チーム | ||
1969 | ニューヨーク・メッツ | 3-0 | アトランタ・ブレーブス | ボルチモア・オリオールズ | 3-0 | ミネソタ・ツインズ | |
1970 | シンシナティ・レッズ | 3-0 | ピッツバーグ・パイレーツ | ボルチモア・オリオールズ | 3-0 | ミネソタ・ツインズ | |
1971 | ピッツバーグ・パイレーツ | 3-1 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | ボルチモア・オリオールズ | 3-0 | オークランド・アスレチックス | |
1972 | シンシナティ・レッズ | 3-2 | ピッツバーグ・パイレーツ | オークランド・アスレチックス | 3-2 | デトロイト・タイガース | |
1973 | ニューヨーク・メッツ | 3-2 | シンシナティ・レッズ | オークランド・アスレチックス | 3-2 | ボルチモア・オリオールズ | |
1974 | ロサンゼルス・ドジャース | 3-1 | ピッツバーグ・パイレーツ | オークランド・アスレチックス | 3-1 | ボルチモア・オリオールズ | |
1975 | シンシナティ・レッズ | 3-0 | ピッツバーグ・パイレーツ | ボストン・レッドソックス | 3-0 | オークランド・アスレチックス | |
1976 | シンシナティ・レッズ | 3-0 | フィラデルフィア・フィリーズ | ニューヨーク・ヤンキース | 3-2 | カンザスシティ・ロイヤルズ | |
1977 | ロサンゼルス・ドジャース | 3-1 | フィラデルフィア・フィリーズ | ニューヨーク・ヤンキース | 3-2 | カンザスシティ・ロイヤルズ | |
1978 | ロサンゼルス・ドジャース | 3-1 | フィラデルフィア・フィリーズ | ニューヨーク・ヤンキース | 3-1 | カンザスシティ・ロイヤルズ | |
1979 | ピッツバーグ・パイレーツ | 3-0 | シンシナティ・レッズ | ボルチモア・オリオールズ | 3-1 | カリフォルニア・エンゼルス | |
1980 | フィラデルフィア・フィリーズ | 3-2 | ヒューストン・アストロズ | カンザスシティ・ロイヤルズ | 3-0 | ニューヨーク・ヤンキース | |
1981 | ロサンゼルス・ドジャース | 3-2 | モントリオール・エクスポズ | ニューヨーク・ヤンキース | 3-0 | オークランド・アスレチックス | |
1982 | セントルイス・カージナルス | 3-0 | アトランタ・ブレーブス | ミルウォーキー・ブルワーズ | 3-2 | カリフォルニア・エンゼルス | |
1983 | フィラデルフィア・フィリーズ | 3-1 | ロサンゼルス・ドジャース | ボルチモア・オリオールズ | 3-1 | シカゴ・ホワイトソックス | |
1984 | サンディエゴ・パドレス | 3-2 | シカゴ・カブス | デトロイト・タイガース | 3-0 | カンザスシティ・ロイヤルズ | |
1985 | セントルイス・カージナルス | 4-2 | ロサンゼルス・ドジャース | カンザスシティ・ロイヤルズ | 4-3 | トロント・ブルージェイズ | |
1986 | ニューヨーク・メッツ | 4-2 | ヒューストン・アストロズ | ボストン・レッドソックス | 4-3 | カリフォルニア・エンゼルス | |
1987 | セントルイス・カージナルス | 4-3 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | ミネソタ・ツインズ | 4-1 | デトロイト・タイガース | |
1988 | ロサンゼルス・ドジャース | 4-3 | ニューヨーク・メッツ | オークランド・アスレチックス | 4-0 | ボストン・レッドソックス | |
1989 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 4-1 | シカゴ・カブス | オークランド・アスレチックス | 4-1 | トロント・ブルージェイズ | |
1990 | シンシナティ・レッズ | 4-2 | ピッツバーグ・パイレーツ | オークランド・アスレチックス | 4-0 | ボストン・レッドソックス | |
1991 | アトランタ・ブレーブス | 4-3 | ピッツバーグ・パイレーツ | ミネソタ・ツインズ | 4-1 | トロント・ブルージェイズ | |
1992 | アトランタ・ブレーブス | 4-3 | ピッツバーグ・パイレーツ | トロント・ブルージェイズ | 4-2 | オークランド・アスレチックス | |
1993 | フィラデルフィア・フィリーズ | 4-2 | アトランタ・ブレーブス | トロント・ブルージェイズ | 4-2 | シカゴ・ホワイトソックス | |
1994 | 232日間に及ぶ長期ストライキのため中止 | ||||||
1995 | アトランタ・ブレーブス | 4-0 | シンシナティ・レッズ | クリーブランド・インディアンス | 4-2 | シアトル・マリナーズ | |
1996 | アトランタ・ブレーブス | 4-3 | セントルイス・カージナルス | ニューヨーク・ヤンキース | 4-1 | ボルチモア・オリオールズ | |
1997 | フロリダ・マーリンズ | 4-2 | アトランタ・ブレーブス | クリーブランド・インディアンス | 4-2 | ボルチモア・オリオールズ | |
1998 | サンディエゴ・パドレス | 4-2 | アトランタ・ブレーブス | ニューヨーク・ヤンキース | 4-2 | クリーブランド・インディアンス | |
1999 | アトランタ・ブレーブス | 4-2 | ニューヨーク・メッツ | ニューヨーク・ヤンキース | 4-1 | ボストン・レッドソックス | |
2000 | ニューヨーク・メッツ | 4-1 | セントルイス・カージナルス | ニューヨーク・ヤンキース | 4-2 | シアトル・マリナーズ | |
2001 | アリゾナ・ダイヤモンドバックス | 4-1 | アトランタ・ブレーブス | ニューヨーク・ヤンキース | 4-1 | シアトル・マリナーズ | |
2002 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 4-1 | セントルイス・カージナルス | アナハイム・エンゼルス | 4-1 | ミネソタ・ツインズ | |
2003 | フロリダ・マーリンズ | 4-3 | シカゴ・カブス | ニューヨーク・ヤンキース | 4-3 | ボストン・レッドソックス | |
2004 | セントルイス・カージナルス | 4-3 | ヒューストン・アストロズ | ボストン・レッドソックス | 4-3 | ニューヨーク・ヤンキース | |
2005 | ヒューストン・アストロズ | 4-2 | セントルイス・カージナルス | シカゴ・ホワイトソックス | 4-1 | ロサンゼルス・エンゼルス | |
2006 | セントルイス・カージナルス | 4-3 | ニューヨーク・メッツ | デトロイト・タイガース | 4-0 | オークランド・アスレチックス | |
2007 | コロラド・ロッキーズ | 4-0 | アリゾナ・ダイヤモンドバックス | ボストン・レッドソックス | 4-3 | クリーブランド・インディアンス | |
2008 | フィラデルフィア・フィリーズ | 4-1 | ロサンゼルス・ドジャース | タンパベイ・レイズ | 4-3 | ボストン・レッドソックス | |
2009 | フィラデルフィア・フィリーズ | 4-1 | ロサンゼルス・ドジャース | ニューヨーク・ヤンキース | 4-2 | ロサンゼルス・エンゼルス | |
2010 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 4-2 | フィラデルフィア・フィリーズ | テキサス・レンジャーズ | 4-2 | ニューヨーク・ヤンキース | |
2011 | セントルイス・カージナルス | 4-2 | ミルウォーキー・ブルワーズ | テキサス・レンジャーズ | 4-2 | デトロイト・タイガース | |
2012 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 4-3 | セントルイス・カージナルス | デトロイト・タイガース | 4-0 | ニューヨーク・ヤンキース | |
2013 | セントルイス・カージナルス | 4-2 | ロサンゼルス・ドジャース | ボストン・レッドソックス | 4-2 | デトロイト・タイガース | |
2014 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 4-1 | セントルイス・カージナルス | カンザスシティ・ロイヤルズ | 4-0 | ボルチモア・オリオールズ | |
2015 | ニューヨーク・メッツ | 4-0 | シカゴ・カブス | カンザスシティ・ロイヤルズ | 4-2 | トロント・ブルージェイズ | |
2016 | シカゴ・カブス | 4-2 | ロサンゼルス・ドジャース | クリーブランド・インディアンス | 4-1 | トロント・ブルージェイズ | |
2017 | ロサンゼルス・ドジャース | 4-1 | シカゴ・カブス | ヒューストン・アストロズ | 4-3 | ニューヨーク・ヤンキース | |
2018 | ロサンゼルス・ドジャース | 4-3 | ミルウォーキー・ブルワーズ | ボストン・レッドソックス | 4-1 | ヒューストン・アストロズ | |
2019 | ワシントン・ナショナルズ | 4-0 | セントルイス・カージナルス | ヒューストン・アストロズ | 4-2 | ニューヨーク・ヤンキース | |
2020 | ロサンゼルス・ドジャース | 4-3 | アトランタ・ブレーブス | タンパベイ・レイズ | 4-3 | ヒューストン・アストロズ | |
2021 | アトランタ・ブレーブス | 4-2 | ロサンゼルス・ドジャース | ヒューストン・アストロズ | 4-2 | ボストン・レッドソックス | |
2022 | フィラデルフィア・フィリーズ | 4-1 | サンディエゴ・パドレス | ヒューストン・アストロズ | 4-0 | ニューヨーク・ヤンキース | |
2023 | アリゾナ・ダイヤモンドバックス | 4-3 | フィラデルフィア・フィリーズ | テキサス・レンジャーズ | 4-3 | ヒューストン・アストロズ |
1968年までは2球団が同率で並んだ場合、アメリカンリーグは1回戦制、ナショナルリーグは3回戦制のプレーオフを実施していた。アメリカンリーグでは1948年に、ナショナルリーグでは1946年・1951年・1959年・1962年に実施された(厳密には1908年にも実施されたが、再試合の意味合いが強いためここでは除外)。この試合はレギュラーシーズンに加算されている。
ナショナルリーグ | |||
---|---|---|---|
年度 | 勝利チーム | 勝敗 | 敗戦チーム |
1946年 | セントルイス・カージナルス | 2-0 | ブルックリン・ドジャース |
1951年 | ニューヨーク・ジャイアンツ | 2-1 | ブルックリン・ドジャース |
1959年 | ロサンゼルス・ドジャース | 2-0 | ミルウォーキー・ブレーブス |
1962年 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 2-1 | ロサンゼルス・ドジャース |
アメリカンリーグ | |||
年度 | 勝利チーム | スコア | 敗戦チーム |
1948年 | クリーブランド・インディアンス | 8-3 | ボストン・レッドソックス |