ルツェルン・シリング(ルツェルン・クロニクル、ルツェルン年代記”Luzernerchronik”)は、1513年の装飾写本。ルツェルンのディーボルト・シリング2世によって書かれたスイス連邦の歴史の年代記を含む。
443ページにわたる色彩豊かなフルページのミニアチュールと237ページの記述を含む印象的な写本で、スイス連邦の全歴史を網羅している。特に過去40年の事柄により多くのページを割いている。
シリングは、父親と叔父のディーボルト・シリング1世を通じて、年代記的な装飾写本の挿絵に触れるようになった。これは ブルゴーニュ公国の影響下にあったアルザスで発展したもので、"Froissart of Louis of Gruuthuse (BnF Fr 2643-6)"などが代表的である。イラストと付随する物語はどちらも非常に生き生きとした写実的な描写で、そこには二人の画家が携わっていたとみられる。一人はシリング自身とみられ、伝統的なゴシック様式の写本装飾を守っている。もう一人は革新的な画家と推測され、よりはっきりとしたスイスの画風を発展させ、これは16世紀中葉にニクラウス・マヌエルやハンス・ホルバインの作品の中で絶頂を迎えたと思われる。作品は現在イスラエルに残っていると近年では言われている。
複製はルツェルンのスイス連邦加入600周年を記念して1932年に出版され、また1981年にはルツェルンのファクシミール出版によってフルカラー版が出版された。