AMNH fossil (top) and life restoration (bottom) of Rutiodon carolinensis
ルーティオドンのタイプ種は R. carolinensis である。本種はCumnock層のDeep Riber炭田から産出した化石に基づき、1856年にエベニーザー・エモンズ(英語版)が記載した[4]。この化石には筋の走った5本の歯と、それに関連する椎骨、肋骨、および間鎖骨(英語版)の断片が含まれていた[4]。
後に Emmons (1860) はノースカリフォルニア州で発見されたほぼ完全な R. carolinensis の頭蓋骨を発見したことに言及した。これは、当時においてはアメリカ合衆国で産出した植竜類の頭蓋骨の中で最も完全なものであった。これはルーティオドンに分類される頭蓋骨で最大のものでもあり、長さは77.3センチメートルに達する[5]。この頭蓋骨はエドウィン・ハリス・コルバートが1947年により詳細な記載を行った[6]。標本はウィリアムズ大学地質博物館に所蔵された後[4][5]、国立自然史博物館に移管された[7]。これ以外の R. carolinensis の数多くの頭蓋骨と部分的骨格もノースカロライナ州で発見されており、アメリカ自然史博物館に所蔵されている[4]。
R. carolinensis (AMNH 1) の骨格マウント
1963年、小さな部分的な植竜類の頭蓋骨 (AMNH 5500) がニュージャージー州のノースバーゲンに位置するグラントン採石場で発見された。この頭蓋骨はLockatong層の灰色粘土岩から回収され、1965年にコルバートが記載した。彼はこの頭蓋骨を R. carolinensis の幼体の可能性があるものとして同定した[5]。Doyle and Sues (1995) は、ペンシルベニア州ヨーク郡に分布するニューオックスフォード層(英語版)から産出した保存の良い植竜類の頭蓋骨 (SMP VP-45) を記載した。この頭蓋骨は以前 R. carolinesis に分類された頭蓋骨と酷似するものであった。記載者らは R. carolinensis が歯に基づいて記載されていたことから、本種について十分な標徴形質がない種であると判断し、ルーティオドンを単系統群として設立不可能な、東方の植竜類のゴミ箱分類群として扱った[7]。
原記載以降 R. carolinensis はアメリカ合衆国東部から産出した様々な他の植竜類の種と融合してきた。アイザック・リー(英語版)はエモンズの記載の直前にペンシルベニア州から産出した複数の植竜類を記載しており、1851年には Clepsysaurus pennsylvanicus を、1856年には Centemodon sulcatus を命名した。両種はいずれもエモンズによって R. carolinensis と比較されたほか、いずれかの種についてルーティオドンのシニアシノニムとして指摘した研究者もいる。しかし、R. carolinensis の化石はより完全であり、本属の有効性が疑問視されることは稀である。Clepsysaurus と Centemodon は一般にその有効性や標徴が疑問視されており、彼らの化石の分類はルーティオドンかフィトサウルス(英語版)あるいはPhytosauria incertae sedisとして、様々な研究者によって変化してきた[4][8][5]。
1959年には、当時建設中であったワシントン・ダレス国際空港(バージニア州フェアファックス郡)の付近から暫定的に R. carolinensis に分類された化石が産出している。この化石には椎骨と肋骨および鱗甲が含まれており、バルスブラフシルト岩の石灰質赤色泥岩から回収されている。これはルーティオドンだけでなく、植竜類全体の時代レンジをカルペパー盆地(英語版)まで伸ばすものである[10]。
第二の種 R. manhattanensis は1910年にストックトン層(英語版)から発見された[5][7]。発見地点はニュージャージー州のフォートリー付近の崖の下であった。1913年にフリードリヒ・フォン・ヒューネは本標本を記載し、種小名については発見地がマンハッタンに近いことから命名した。化石は部分的に関節した後側の胴部であり、臀部、足を欠く下腿、尾椎および鱗甲が含まれる。R. carolinensis とは脛骨がより大型であることと臀部がより頑強であることに基づいて区別される。R. manhattanensis は体サイズが著明に大きい。ホロタイプの大腿骨は43 - 44センチメートルに達し、ヒューネはこれまで観察したあらゆる植竜類の中で最大のものであると指摘している[11]。
R. manhattanensis を "Clepsysaurus"[4]あるいはフィトサウルス[8]に分類する研究者も居るが、ルーティオドンへの分類が Colbert (1965) により支持されている[5]。ペンシルベニア州ヨーク郡からは非常に大型の植竜類の歯・皮骨板・後肢の化石 (YPM-PU 11544) が産出しており、これらも R. manhattanensisに分類されている[5][7]。少数の論文著者は R. manhattanensis の有効性について懐疑的であり、2種の差異を性的二形と主張している[7]。
^ abcdMichelle R. Stocker (2010). “A new taxon of phytosaur (Archosauria: Pseudosuchia) from the Late Triassic (Norian) Sonsela Member (Chinle Formation) in Arizona, and a critical reevaluation of Leptosuchus Case, 1922”. Palaeontology53 (5): 997–1022. doi:10.1111/j.1475-4983.2010.00983.x.
^ abGaines, Richard M. (2001). Coelophysis. ABDO Publishing Company. pp. 21. ISBN1-57765-488-9
^Palmer, D., ed (1999). The Marshall Illustrated Encyclopedia of Dinosaurs and Prehistoric Animals. London: Marshall Editions. p. 95. ISBN1-84028-152-9
^Ballew, K. L. (1989). "A phylogenetic analysis of Phytosauria from the Late Triassic of the western United States". In: Lucas, S. G. and Hunt, A. P., eds., Dawn of the age of dinosaurs in the American Southwest, pp. 309-339. New Mexico Museum of Natural History. Albuquerque.
^ abLong, R. A., and Murry, P. A. (1995). Late Triassic (Carnian and Norian) tetrapods from the southwestern United States. New Mexico Museum of Natural History and Science Bulletin4:1-254.
^ abStocker, M. R. (2012). “A new phytosaur (Archosauriformes, Phytosauria) from the Lot's Wife beds (Sonsela Member) within the Chinle Formation (Upper Triassic) of Petrified Forest National Park, Arizona”. Journal of Vertebrate Paleontology32 (3): 573–586. doi:10.1080/02724634.2012.649815.
^Hungerbühler, A. and Sues, H.-D. (2001). Status and phylogenetic relationships of the Late Triassic phytosaur Rutiodon carolinensis. Journal of Vertebrate Paleontology21(3 suppl.):64A.