レディバグ (ゲーム)

レディバグ(Lady Bug)
ジャンル ドットイートゲーム
対応機種
開発元
  • AC
  • ユニバーサル[1]
発売元
  • PV-1000
  • 日本の旗カシオ計算機[2]
  • Colecovision,IntelliVision
  • アメリカ合衆国の旗Coleco[3]
販売元
デザイナー
人数
  • AC
  • 1〜2人(交互プレイ)
メディア
発売日
デバイス
  • AC
  • 4方向レバー[13]
CPU
サウンド
  • AC
  • SN76496 (@ 4 MHz) x2[13]
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レディバグ[注 1]』(: Lady Bug)は、1981年[注 2]ユニバーサルが発売した業務用ビデオゲーム[1]。テントウムシが回転ドアを使って敵の追跡をかわしながら、迷路上のドットを食べていくドットイートゲームである[1]

ゲーム内容

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『レディバグ』は、固定画面表示のドットイートゲームである[1]。操作には4方向レバーを使用する[17]

プレイヤーはテントウムシをレバーで操作して、迷路上の全てのドットを食べ尽くすことがゲームの目的である[1][14]。テントウムシは、同じドットイートゲームの『パックマン』などとは違い、壁にぶつからなくても自由に静止ができる仕様となっている[18]

迷路の周囲には時間経過によって刻まれていくタイマーが表示されており、タイマーが画面を1周すると迷路の中央にある敵の巣から、敵の虫が1匹ずつ飛び出してくる[19]。また、敵の虫は迷路上に最大4匹が同時出現する[19]

巣から飛び出した敵の虫はテントウムシを食べようと追跡してくるので、迷路上に設置された回転ドアをうまく利用して敵の虫を誘導することが必要となる[1][19]。なお、迷路上の回転ドアはテントウムシのみが操作することが可能で、敵の虫は回転ドアを通過することもできない[1][20]

迷路にはドットの他に、赤・黄・青と色が変化するハートマークと英文字が設置されている[1]。得点配分はドットが1個10点、英文字とハートマークが赤色のときは800点、黄色のときは300点、青色のときは100点となっている[1]

ハートマークと英文字は、それぞれ特定の色のときに獲得して集めると特別な効果が得られる[1][14][20]。ハートマークを青色のときに取得するとステージ中の得点の倍率が2倍・3倍・5倍になる[1][14][20]。また、E・X・T・R・Aの英文字を黄色のときに取得して文字を全部揃えるとテントウムシの数が1匹追加され、S・P・E・C・I・A・Lの英文字を赤色のときに取得して文字を全部揃えると1クレジットが与えられる[1][14][20]

迷路上に敵の虫が4匹全員飛び出してくると、敵の巣の中に野菜が出現する[19]。その野菜をテントウムシが食べるとボーナス得点が加算される[1][14]。また、野菜を食べると同時にジングルが流れ、野菜を取得してから音楽が止まるまでの間、敵の虫がその場で動きを止める[19][21]

迷路上にはドクロマークも設置されており、それにテントウムシが触れてしまうとミスとなる[1][14]。その一方で、敵の虫もドクロマークに触れると消滅して巣に戻る[19]

テントウムシが敵の虫に食べられたり、ドクロマークに触ったりした結果、全てのテントウムシを失ってしまうとゲーム終了となる[1][14]

ゲーム中の音楽にはチェリッシュ1973年のヒット曲「てんとう虫のサンバ」が、ゲーム開始時のジングルなどで使用されている[9][22]

開発

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『レディバグ』は、後にユニバーサルの『Mr.Do!』、テーカンの『ボンジャック』などの作品を手がけた上田和敏が初めて企画を担当したゲームである[6][9]。上田によると本作の開発には企画の上田の他に、もう一人の企画担当者の窪田俊幸[7][8][注 3]、音楽担当者、グラフィック担当者、外注のプログラマーが参加しており、ゲーム開発は総じて未経験のメンバーの手によって開発が行われたという[9]

また、上田によると『レディバグ』は新聞紙上で募集されたアイデアコンテストにおいて、1等を獲得した「回転ドア」のアイデアを採用して作られたゲームであった[6][24]。そのアイデア自体は紙1枚に図が書かれただけのもので[24]、そこにナムコの『パックマン』とピンボール[注 4]の要素を追加して、企画を仕上げたと上田は述べている[24][26]

敵の虫の動きは、迷路上にテントウムシから近い順に数字を割り当てておき、追跡フラグが立つと敵の虫が数字の少ない方に向かっていくというアルゴリズムを採用していた[9]。本作はプレイヤー自身で回転ドアを操作して迷路の形状を自在に変化させることができるため、ゲームの難易度を上げるためには敵の虫の速度を段階的に上昇させていくことが必要で、その速度上昇による副作用の対処など調整には苦労したと上田は述べている[9][24]

また、上田によると本作で使用されているチェリッシュの楽曲「てんとう虫のサンバ」は、JASRACに使用料を支払って使用しているという[9][22][注 5]。上田はJASRACから楽曲の許諾を得る際に、担当者からビデオゲームに楽曲のライセンスを与えるのは前例のないことだと伝えられ、最終的に基板の製造枚数に応じてレコード1枚あたりの使用料金[注 6]と同じ金額を支払ったと述べている[9][22]

移植版

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本作の移植は、日本では1983年秋にカシオ計算機よりPV-1000版(タイトル名は『ファイティング・バグ』)が発売されている[2][11][12]。日本国外においては、コレコからコレコビジョン版およびインテレビジョン版がそれぞれ発売されている[3]

参考文献

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脚注

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注釈

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  1. ^ アーケード版のインストラクションカードおよび『ゲームマシン』1981年11月15日号の記事では「レディーバグ」表記[1][14]。メディア芸術データベースにおいても「レディーバグ」として紹介されている[15]
  2. ^ 『ゲームマシン』1981年12月1日号の記事には1981年12月初旬に日本国内を含めて世界同時発売予定と記載され[4]、『ゲームマシン』1982年11月29日号に掲載された業務用ゲームのリストには1981年10月発売と記載されている[10]。なお、米国著作権局のデータベース上では、『レディバグ』の出版日を1981年11月20日と記録している[16]
  3. ^ 窪田俊幸は後にテクモの『ソロモンの鍵』のステージデザインを手がけた人物であり[7][8]、本作ではマップ作成を担当している[23]
  4. ^ 残機が1つ増えるEXTRAや、クレジットが1つ増えるSPECIALなどの要素[24][25]
  5. ^ 上田が開発に携わった『Mr.Do!』や『ボンジャック』で使用した楽曲についても同様にJASRACから許諾を得ている[9][22]
  6. ^ 上田の記憶によると、1枚あたり約6円[9][22]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q レディーバグドア付きの迷路 ユニバーサル、新発想の「スナップジャック」も」『ゲームマシン』第177号(アミューズメント通信社)1981年11月15日、20面。オリジナルの2019年6月1日時点におけるアーカイブ。
  2. ^ a b Lady Bug International Release - Giant Bomb”. Giant Bomb. Red Ventures. 2024年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月26日閲覧。
  3. ^ a b c d Lady Bug (1981) - MobyGames”. MobyGames. Blue Flame Labs. 2024年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月26日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g ユニバーサル、「レディバグ」で 世界同時発売に 米、英、西ドイツからの供給網発表」『ゲームマシン』第178号(アミューズメント通信社)1981年12月1日、5面。オリジナルの2020年2月1日時点におけるアーカイブ。
  5. ^ a b c “Universal ”Ladybug“ World Sales Begin”. ゲームマシン. アミューズメント通信社 (179): pp. 30. (1981年11月15日). オリジナルの2019年11月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20191120031828/https://onitama.tv/gamemachine/pdf/19811215p.pdf#page=16 
  6. ^ a b c 忍者増田 (2018年1月30日). “忍者増田のレトロゲーム忍法帖 『Mr.Do!』の生みの親、上田和敏氏に開発秘話を聞く!~『Mr.Do!』対談編 前編~”. AKIBA PC Hotline!. インプレス. 2018年1月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月26日閲覧。
  7. ^ a b c 山田鍵、上田和敏、窪田俊幸 (2018年12月28日). "『ソロモンの鍵』を作った男たち 上田和敏氏×窪田俊幸氏ダブルインタビュー 前編". ゲーム文化保存研究所(IGCC). p. 1. 2019年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月26日閲覧
  8. ^ a b c 窪田俊幸 (2019年3月22日). "マイ・ベスト・アーケードゲーム Vol.04 窪田俊幸(ゲームデザイナー)". ゲーム文化保存研究所(IGCC). 2019年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月26日閲覧
  9. ^ a b c d e f g h i j 上田和敏; おにたま (2020年2月28日). [OBSLive] Mr.Do!、スターフォースを手掛けた伝説のゲームデザイナー上田和敏さんと生放送. オニオンソフト. 該当時間: 39:57〜51:20. 2024年3月26日閲覧
  10. ^ a b Video Game (Coin-Op) Lists」『ゲームマシン』第201号(アミューズメント通信社)1982年11月29日、20-23面。オリジナルの2019年12月1日時点におけるアーカイブ。
  11. ^ a b 「カシオ、家庭用ビデオゲーム参入──第1段にパソコン型最低価格機と専用機。」『日経産業新聞』1983年9月26日、15面。
  12. ^ a b 「[カシオ計算機] ビデオゲーム 2機種 人気のパチンコ等ソフトも充実」『トイズマガジン』1983年11月号、トイズマガジン社、126頁。 
  13. ^ a b c Lady Bug, Arcade Video game by Universal Co., Ltd (1981)” (英語). Arcade History. 2024年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月26日閲覧。
  14. ^ a b c d e f g h 上田氏の処女作『Lady Bug』のチラシとインストラクションカード(忍者増田のレトロゲーム忍法帖 『Mr.Do!』の制作がきっかけで開発者の上田和敏氏はユニバーサルを退社!?)”. AKIBA PC Hotline!. インプレス (2018年2月6日). 2022年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月25日閲覧。
  15. ^ "レディーバグ(メディア芸術データベース)". メディア芸術データベース. 国立アートリサーチセンター. 2024年3月26日閲覧
  16. ^ "Registration record PA0000131915 (Ladybug. - Universal Company, Ltd.)". The Copyright Public Records System (英語). U.S. Copyright Office. 23 February 1982. 2024年10月6日閲覧
  17. ^ "Lady Bug - Videogame by Universal|Museum of the Game". Museum of the Game. WebMagic Ventures LLC. 2024年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月26日閲覧
  18. ^ 多田なみすけ (2019年9月20日). "ドットイートとスクロールとピンボール". ゲーム文化保存研究所(IGCC). 2019年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月26日閲覧
  19. ^ a b c d e f 「レディーバグ(ユニバーサル)(最新ゲームだけがビデオゲームじゃない!! 面白ゲーム掘り起こし)」『AMUSEMENT LIFE』第2号、アミューズメントライフ、1983年2月10日、12頁。 
  20. ^ a b c d ユニバーサル「回転ドアで迷路を作って、敵の戦闘虫を閉じ込めろ!!(新聞広告)」『ゲームマシン』第181号(アミューズメント通信社)1982年2月1日、32面。オリジナルの2020年1月31日時点におけるアーカイブ。
  21. ^ 「(株)ユニバーサル(完全版ビデオゲームフルリスト)」『月刊ゲーメスト ザ・ベストゲーム』1991年7月号増刊、新声社、1991年7月1日、215頁。 
  22. ^ a b c d e 忍者増田 (2018年2月13日). “忍者増田のレトロゲーム忍法帖 『Mr.Do』から『スターフォース』、『ギャラクシーウォーズ』まで……開発者の上田和敏氏が語る裏話 ~『Mr.Do!』対談編 後編~”. AKIBA PC Hotline!. インプレス. 2018年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月26日閲覧。
  23. ^ 山田鍵、上田和敏、窪田俊幸 (2018年12月28日). "『ソロモンの鍵』を作った男たち 上田和敏氏×窪田俊幸氏ダブルインタビュー 前編". ゲーム文化保存研究所(IGCC). p. 2. 2019年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月26日閲覧
  24. ^ a b c d e (上田和敏 et al. 2018, Kindle No.1552/1861)
  25. ^ 忍者増田 (2018年2月6日). “『Mr.Do!』の制作がきっかけで開発者の上田和敏氏はユニバーサルを退社!? ~『Mr.Do!』対談編 中編~”. AKIBA PC Hotline!. インプレス. 2018年1月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月26日閲覧。
  26. ^ (上田和敏 et al. 2018, Kindle No.178/1861)