ロマンティック・オペラ(独: Romantische Oper)は、19世紀のドイツ語オペラの一ジャンルである。
ロマンティック・オペラは、18世紀ドイツのジングシュピールの伝統をもとに、フランス革命期のフランスのオペラ・コミックからの強い影響を受け発展した 。ロマンティック・オペラの登場で、オーケストラの役割はますます重要なものになり、回想のモチーフの劇的な可能性(場所・人を識別するフレーズ。作品で再びそれが出てきた時に、聴く者は問題になっている場所・人物を思い出す)が増大した。
カール・マリア・フォン・ウェーバーの『魔弾の射手』(1821年)がロマンティック・オペラのはじまりとされ、後にはドイツ特有のスタイルと結びついていった。それを例証するのが、ハインリヒ・マルシュナー(『吸血鬼』『ハンス・ハイリング』)、アルベルト・ロルツィング(『ウンディーネ』)、ルイ・シュポーアたちである。そのテーマは自然、超自然(Supernatural)、中世、それに伝承をはじめとする大衆文化に向いていた。音楽的には、ドイツ民謡がインスピレーションとなった。台詞は歌と歌の間に置かれた。
ロマンティック・オペラは、リヒャルト・ワーグナーの初期の作品、とくに『妖精』(1833年)、『さまよえるオランダ人』(1843年)、『タンホイザー』(1845年)で頂点に達したが、それらは台詞を用いていないという点でそれまでのものとは異なる。ワーグナーは後のオペラで、回想のモチーフをより変幻自在なライトモティーフに発展させ、ロマンティック・オペラの多くのテーマを捨てて、神話、伝説、自然に大きく焦点を当てていく。