ローライダー(英: lowrider)は、車高の低い形状などに改造したカスタム自動車、およびその運転者。またそれらに付随する、チカーノ(メキシコ系アメリカ人)から発祥した文化を指す。車高を低くすることで、車を大きく見せる効果を意図している。
車高の低い車を使うドライバー、の意味から「ローライダー」と呼ばれている。アメリカのローライダーのモットーは、速く走ることではなく、ゆっくり走ることで「ロウ・アンド・スロウ」を合言葉にしている[1]。場合によってはフレームが地面に接触する程落とすが、多くが油圧式の車高調整システムを搭載し、これにより最低地上高=ロードクリアランスが確保できるため、走行に支障が無い様にされている。更に標準のタイヤ、ホイールより径の小さい物を装着することで、車体をより大きく、車高をより低く見せることを演出する。一時、チカーノ文化を標的にしたローライダー制限条例が制定されたことがあるが、のちに廃止されている。
ローライダーと認識される車の一般的装備は、以下の通りである。
ローライダーは、裕福な白人による、速さを追求したホットロッド[3]に対抗するロウ・アンド・スロウな改造車文化として、共に西海岸のカスタム車文化の潮流となった。 1940年代のアメリカ西海岸・イーストロサンゼルス[4]においてメキシコ系移民(いわゆる「チカーノ」と呼ばれる人々)が行っていたカスタムが源流とされている。当時のチカーノは、非合法でアメリカに移住し、不法就労を行っていた者が多く存在した。それゆえに低所得者が多く、自動車を購入しようとしても新車を買うことができなかった。そこで安価で購入した中古車(1930年代 - 1940年代の車) に対して、新車に負けない美しさと「豪華さ」を持たせようと、カスタムカーに改造したのがローライダーの始まりとされている。チカーノだけでなく、一部の黒人も改造をおこなった。最初にハイドロリクスを作ったとされる人物は、当時L.A.のコンプトン[5]に住む者だったと見られている。エアクラフトのパーツを流用しフロントサスを上下に動かすだけのシステムが最初のハイドロであった。1950年代末に、シボレーのローライダーが登場している。
ウォー[6]が1975年に発表した「ロー・ライダー」は、この文化の存在を知らしめた[7]。 他にチーチ&チョン、エル・チカーノ、ティアラ、ロッキー・パディーヤらが、チカーノの間で人気がある音楽家である。また、チカーノ・ラッパーでは、Ms.Krazie、Mr.Knightowl、Mr.Capone-E、Mr.クリミナルらが知られている。黒人ラッパーのドクター・ドレー、イージー・E、アイス・キューブ、アバーブ・ザ・ロウ、SCC、ウォーレン・Gらも、ミュージック・ビデオにローライダーのカスタムカーを登場させている。
1980年代年代初頭にかけてローライダーがブームとなると、様々なカスタマイザーが流れてきておりカスタム(日本国内専用車をベース)が散見されるようになる。その後、再びアメリカ車がカスタムの中心となっている。