ロールマスター(Rolemaster)は、アメリカのIron Crown Enterprises社(ICE)が制作したファンタジーテーブルトークRPG(TRPG)。ゲームの舞台となる世界は固定されておらず、架空のファンタジー世界だけでなく神話や英雄の世界や現実の歴史に近い世界を扱うサプリメントも存在する。
日本語版はホビージャパンより1990年に発売された。 その後、日本支社であるICE JAPANから第2版の日本語版が復刻され、ICE社のウェブサイトにてダウンロード販売されていた。また、HARP Lite(『ハープ・ライト』)は日本語版を、ICEのウェブサイトから無料ダウンロードすることができた。『ハープ・ライト』には、『ハーンワールド』とのコラボレーション作品『ハープ・ハーン』も発表されていた。いずれもICE JAPANが2010年12月に活動を停止したために現在は入手できない。
豊富なチャート(表)が準備されていることが特徴的となっているファンタジーテーブルトークRPG。
ロールマスターでは、一般的な行動について単純な成功/失敗だけでなく「どれくらい達成できたか」をパーセンテージで示す表が用意されている。行動は「走る」「泳ぐ」「物を作る」「調べ物をする」など数種類に大別され、それぞれに対応する表が存在する。
ゲーム的に重要な意味を持つ戦闘についてはもっと細かく扱われる。例えば、「敵のみぞおちにハンマーが直撃し、相手の内臓を破壊した。相手は5点のダメージを受けて失禁した」というぐらいの描写がルールによって行われることも珍しくない。これは、「ハンマーで敵を攻撃したときに起こるイベント」がチャート(表)で用意されているためである。そしてこの表の種類は驚くほど豊富で、剣で攻撃したときの表や槍でついたときの表などが別々に用意されているのである。また、魔法についても同様の処理が行われている。
多くのゲームでは、ルールが与えるのは「敵のHPにダメージを30点与えた」などという単調で数値的な結果であり、ここからプレイヤーやゲームマスターは戦闘の情景を思い浮かべることになるが、ロールマスターではプレイヤーキャラクターの様々な行動に対してルール自体が具体的なイメージを与えてくれる。
ロールマスターは何度も版を重ねている。また、派生ゲームも存在する。
日本では、まず『指輪物語ロールプレイング』日本語版がホビージャパンより1987年に発売された。
その後、Rolemaster 2nd editionを底本として翻訳されたロールマスターの日本語版が1990年にホビージャパンより販売された。しかしながら、ロールマスターについては基本ルール以外の日本語製品はほとんど出版されぬ内に絶版となった。これはホビージャパンがTRPG市場から一時撤退したためである。
ロールマスターは、キャラクターの扱いの面ではいわゆるクラス制に属する。
PCの作成では、まず「職業」(キャラクタークラスに相当)を選択する。「職業」は、非魔法使い、準魔法使い、魔法使い、複合魔法使いの4種に大別され、併せて19の職業が基本設定では利用できる。これはゲームマスターの世界設定に応じて変更が可能。他にも「種族」を選択する必要がある。
「種族」と「職業」により、生まれつきやレベルアップにより得られるポイントが決まっており、それらを消費して各技能や能力を上昇させていく。消費するポイントも、職業と技能の相性によって効率の良し悪しがある。
行為判定はいわゆる「上方判定」で、10面ダイス2個を“100面ダイス1個”として使用する。
無限ロール(open-end roll)と呼ばれる方式を採用しており、96-100の目が出た時はもう1度ダイスを振って出た目を加え、01-05の目が出た時はもう1度ダイスを振って出た目を差し引く。そして、いずれの場合も、96-100が出れば再度ダイスを振り、出た目をさらに加算または減算する。これにより、320とか-412とかいった、1-100の範囲から大きく離れた結果を出す可能性もある(理論的には、確率は低いもののどんな整数でも結果としてあり得る)。
こうやって得られたダイスの目に、キャラクターの能力値や技能と行為の難易度から算出した修正値を加える。そして、現在判定している行為に対応する表を見て、この修正した数値が当てはまる欄を参照すれば、そこに行動の結果が記述されているのである。
これ以外にも状況に応じて、10面、8面、6面、5面(10面ダイスの結果を2で割る)ダイスを利用する。
また、移動・重量・疲労・病気・怪我などに対して詳細な項目があり、その状況に応じて異なったルールを適用する。
戦闘は特に細かいルールが決められており、使用する武器、相手の大きさなどに応じてチャートを使い分けて戦闘判定を行う。なおチャートの中には、より高い効果を得たときなど「痛打表」を参照させる場合がある。これはクリティカルヒット(「痛打」はクリティカルヒットの日本語訳)の効果を記述したものだが、武器や呪文の種類などにより別々に設けられており、独特の(時には極めて剣呑な)効果がもたらされるようになっている。特に「鼻がもげる」「首がふっとぶ」などといった残虐でブラックユーモアあふれる描写が豊富で、このゲームの代表的なガジェットになっている。
呪文は大きく分けて、神霊界、精気界、念力界の3つに分ける事が出来る。これは魔法の力の源泉による分類だが、効果も異なっている。これらの呪文は職業に応じて使える界が異なる(複数の界の呪文を利用できる職業もある)。
ロールマスター第2版の翻訳。
第3版である、Rolemaster Standard System(RMSS)の主要な製品。日本語版は存在しない。
第4版にあたる、Rolemaster Fantasy Role Playing(RMFRP)の主要な製品。日本語版は存在しない。
第2版の改訂版であるRolemaster Classic(RMC)の主要な製品。日本語版は存在しない。
・ICE JAPAN(ICEの日本支社、ここから『ロールマスター』や『ハープ・ライト』の日本語版PDFが入手可能であった、現在はリンク切れ。) http://japan.ironcrown.com/