ローン・ジョッキー(英語: lawn jockey)は、前庭に置かれる騎手の服装をした男性の像である。もとは馬をつなぐ柱として使われたが、後にその役割は失われ、装飾的なものとして使われるようになった。像は人の背丈の半分またはそれより小さく、馬の手綱を取るように片手を持ち上げ、その先に金属の輪やランタンなどを提げている。像はコンクリート製が多いが、鉄など他の素材で作られることもある。
ローン・ジョッキーにはいくつかの型があるが、よく作られたのは短身の「ジョコー」(英: jocko)と長身の「カヴァリエ・スピリット」(英: cavalier spirit)である。
リバー・ロード・アフリカン・アメリカン博物館(en)によると、ローン・ジョッキーはアフリカ系アメリカ人の若者ジョコー・グレイヴス(英: Jocko Graves)の伝説に起源を持つという。グレイヴスはアメリカ独立戦争時のトレントンの戦いで、ジョージ・ワシントン将軍の命令を守って馬の番をし、明かりを掲げて軍の戻りを待っていたが、凍え死んでしまう。将軍はグレイヴスを追悼し、彼の像を作ったという。しかし、この話の典拠としてよく引用される『Mammy and Uncle Mose』(Indiana University Press, 1994)の著者ケネス・W・ゴーイングス(英: Kenneth W. Goings)は、この言い伝えを疑わしいものとして見ている。
テンプル大学アフロ・アメリカン・コレクションの名誉キュレーターで『Hippocrene Guide to the Underground Railroad』(Hippocrene Books, 1994)の著者チャールズ・L・ブロックソンは、黒人奴隷の逃亡を支援した組織「地下鉄道」でローン・ジョッキーが利用されたと主張する。「像の腕に緑色のリボンが結ばれた場合は安全を示し、赤色の場合は止まらずに進み続けることを意味した」という[1]。