名古屋飛行場ターミナルビル内にある本社 | |
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 非上場 |
略称 | MITAC |
本社所在地 |
日本 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号(丸の内二重橋ビル) |
設立 | 2008年(平成20年)3月3日 (エムジェット株式会社として) |
業種 | 輸送用機器 |
法人番号 | 7180001064730 |
事業内容 | 航空機(Mitsubishi SpaceJet)の設計・製造・販売、カスタマーサポート等 |
資本金 | 5億円(2021年時点) |
発行済株式総数 | 2万7,000株 |
売上高 | 68億4700万円(2020年03月31日時点)[1] |
営業利益 | ▲640億3000万円(2020年03月31日時点)[1] |
経常利益 | ▲807億5900万円(2020年03月31日時点)[1] |
純利益 | ▲5269億3000万円(2020年03月31日時点)[1] |
純資産 | ▲4646億5800万円(2020年03月31日時点)[1] |
総資産 | 179億3100万円(2020年03月31日時点)[1] |
従業員数 | 200人以下 |
会計監査人 | 有限責任あずさ監査法人 (2021年時点) |
主要株主 | #出資企業を参照 |
関係する人物 | 水谷久和(元代表取締役社長・会長) |
外部リンク | https://www.mhi.com/jp/group/mitac/ |
特記事項:2024年3月31日解散[2]。 |
三菱航空機株式会社(みつびしこうくうき、英: Mitsubishi Aircraft Corporation)は、Mitsubishi SpaceJet(三菱スペースジェット、旧称:MRJ〈三菱リージョナルジェット〉)を開発・販売する目的で設立された、三菱重工業の子会社である。
Mitsubishi SpaceJetの開発中止に伴い、2023年4月25日に商号をMSJ資産管理株式会社(エムエスジェイしさんかんり)に変更[3][4]。2024年3月31日付で解散し[2]、清算会社に移行した。同年7月4日には特別清算の開始を申し立てたことが発表された[5]。
三菱航空機は、Mitsubishi SpaceJetの設計・型式証明(T/C)取得・販売・カスタマーサポートなどを担当する企業で、試作・製造・飛行試験は三菱重工業の名古屋航空宇宙システム製作所が行う[6]。調達については当初三菱航空機が担当していたが、2014年4月に三菱重工に移管した。初代社長は三菱重工業取締役執行役員の戸田信雄[6]。設立時の従業員は約200人[6]で、2020年の開発凍結前の時点では約2,000人であった[7]。
本事業は2002年に経済産業省が主導する「経済活性化のための研究開発プロジェクト(フォーカス21)」の一環として発表され、翌2003年5月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が採択・スタートした「環境適応型高性能小型航空機研究開発事業」を起点とし[8][9]、これに対して三菱重工がメーカーとして計画案を提出し主契約、NEDOの助成のもと研究開発を進め[10][11]、2009年に法人化したものである。
同社のSpaceJet(当時MRJ)は「最先端の幹線機技術を適用し、リージョナルジェット機の 次世代スタンダードを創造する。環境、乗客エアラインへ従来にない新しい価値を提供する」をビジョンとし[12]、全世界で今後20年間に見込まれた約5,000機のリージョナルジェット機需要のうち、70 - 90座席級の3,500機のうちまず1,000機以上の受注を目標とし、その後40%以上のシェアを狙うとしていた[13]。
しかし複数回の計画遅延による事業長期化に伴って赤字が拡大したこと、また遅延により他機種と比較しての優位性が失われ[注 1]発注数が伸び悩んだことなどにより事業の採算見通しが悪化[注 2]。2020年6月の開発体制縮小(開発凍結)からの開発再開に足る事業性を見出せないとして、2023年2月7日に開発中止を発表した[17]。
会社設立間もない2009年時点では、2011年に初飛行、2013年初号機納入を目指していたが[18]、初飛行は2015年11月となり、最終的に量産機は納入しなかった。
帝国データバンクの分析では、2008年の設立以降の累積赤字額は8000億円以上としている[19]。
2008年4月1日設立当初の資本金及び資本準備金は各15億円で、三菱重工業が全額出資した。同年5月31日付けで670億円の第三者割当増資を行い、資本金350億円・資本準備金350億円とする。MRJ事業の進展に伴い、2009年4月1日に再び第三者割当増資を行い、資本金500億円・資本準備金500億円(うち3分の2を重工が出資)となっていた。
2020年3月に大幅に減資。資本金を5億円、資本準備金をゼロとした[24][83]。
受注年月日 | 航空会社 | 引渡し(予定) | 種類 | 備考 | ||
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SpaceJet M100 | SpaceJet M90 | オプション | ||||
2008年3月27日[93] | 全日本空輸(ANA) | 2015年 | 15→0 | 10→0 | ※同社のグループ会社であるANAウイングスが運航[94]。
→2023年4月24日キャンセル[86]。 | |
2009年10月2日[95] | トランス・ステイツ航空(AX) | 2015年 | 50→0 | 50→0 | 2009年10月2日覚書を締結→2010年12月27日正式契約[96]→M90がスコープ・クローズ条項に準拠しないため、2019年10月キャンセル[97][98]。 | |
2011年6月17日[99] | ANIグループホールディングス | 2016年 | (5)→(0) | ※航空機リース会社。
Memorandum of Understandingのみ締結→2013年5月8日にキャンセル[100]。 | ||
2012年7月11日[101] | スカイウェスト航空 | 2017年 | 100 | 100 | 2012年7月11日基本合意→2012年12月23日正式契約[102][103]。 | |
2014年7月14日 [104] | イースタン航空[注 5] | 2019年 | 20→0 | 20→0 | Memorandum of Understandingのみ締結→2014年9月26日正式契約[105]→イースタン航空の運行停止・事業譲渡に伴いキャンセル[106]。 | |
2014年7月14日[107] | マンダレー航空 | 2018年 | 6→0 | 4→0 | 2018年に運行停止[108]。 | |
2014年8月28日[109][110]。 | 日本航空(JAL) | 2021年 | 32 | ※同社のグループ会社であるジェイエアが運航。
2015年1月28日正式契約。 ただし2022年6月時点で既に、同社の次期導入リージョナルジェット機種はエアバスA220かエンブラエルE-Jet E2としていた[111]。 | ||
2016年2月 16日[112] | エアロリース | 不明 | 10→0 | 10→0 | ※航空機リース会社。 | |
2016年7月11日[115] | ロックトン | 2020年 | 10 | 10 | ※航空機リース会社。 | |
2019年9月5日[116] | メサ航空 | 2024年 | (50) | (50) | 覚書を締結。 | |
合計 | 142(+50) | 110(+50) |
2019年3月1日時点[117]
2018年10月19日、カナダのボンバルディアが三菱航空機に対して、ボンバルディアから企業秘密を入手するために同社社員を雇用したとして三菱航空機を提訴した[120][121]。これに対し三菱航空機は、MRJの開発と型式証明取得を阻害する意図で違法な反競争的行為を行ったとして反訴した[122]。
その後、ボンバルディアの業績悪化に伴う各種事業の売却時、三菱重工が同社のリージョナルジェット機種の1つであるボンバルディア CRJ事業を買収することで合意[123]。三菱重工はこの買収が完了した時点でボンバルディアからの訴訟が取り下げられるとし[124]、手打ちとなった。この買収はMRJ開発と三菱航空機の事業がうまく行っていた場合、将来的にボンバルディアの国際的なサポート網や、北米の製造拠点などをMRJのサービス・製造にも役立てる狙いがあったと言われている。
2019年6月25日に三菱重工がCRJ事業を5億5,000万ドルで取得し、加えて約2億ドルの債務を引き受けた[125]。CRJ事業はサービス拠点及び大半の人員ごと引き継がれ[126]、三菱重工傘下で三菱航空機とは別企業のMHI RJ Aviationとなった[127]。その後同社はMRO事業を拡大し[128]、2023年4月にはボンバルディア CRJだけでなくエンブラエル ERJ 145のMRO事業も開始すると発表した[129]。
同社事業に対しては、2020年までに経済産業省から約500億円の補助金などが投じられた[130]。また愛知県も開発支援として、名古屋空港に隣接する土地を工場用地に確保するなど、県費で27億4,000万円を負担した。大村秀章愛知県知事は、研究開発の補助といった航空機産業全体への支援額は約100億円と述べている[131]。