コース全景 | |
施設情報 | |
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通称・愛称 | 中山 |
所在地 | 千葉県船橋市古作一丁目1番1号 |
座標 | 北緯35度43分33.3秒 東経139度57分44.7秒 / 北緯35.725917度 東経139.962417度座標: 北緯35度43分33.3秒 東経139度57分44.7秒 / 北緯35.725917度 東経139.962417度 |
開場 | 1907年 |
所有者 | 日本中央競馬会 |
管理・運用者 | 日本中央競馬会 |
コース | |
周回 | 右回り |
馬場 | 芝・ダート |
映像外部リンク | |
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中山競馬場 芝2500m360度ムービーJRA |
映像外部リンク | |
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中山競馬場 パドック360度ムービーJRA |
中山競馬場(なかやまけいばじょう、英:Nakayama Racecourse)は、千葉県船橋市(一部市川市)にある中央競馬の競馬場。日本の4大競馬主場の一つ[注 1][1]。施行者ならびに管理者は日本中央競馬会。GI競走は、有馬記念、皐月賞、スプリンターズステークス、ホープフルステークスが開催される[2]。1レースの売上過去最高額は、1996年の有馬記念で約875億円となり、ギネス世界記録に登録されている[3]。
競馬ファンの間では単に中山でも通用する。有馬記念が有名で、国際セリ名簿基準書においては平地競走の最上位であるパートI[4]。国際競馬統括機関連盟(IFHA)が公表した「世界のトップ100GIレース」では、2020年世界第10位、国内第4位に位置付けられている(ジャパンカップが世界第3位、国内第1位[5])。
アメリカのローレルパーク競馬場と提携を結んでおり、ローレル競馬場賞中山牝馬ステークスが施行されている。
中山競馬の起源は1907年(明治40年=開催年)に千葉県東葛飾郡明村大字岩瀬(現在の松戸市大字岩瀬)に作られた松戸競馬場(運営は総武競馬会から松戸競馬会倶楽部)が前々身にあたる。松戸競馬会倶楽部は1919年(大正8年)8月10日に陸軍省からの競馬場地の買収申し込みを受け入れ、東葛飾郡中山村大字若宮(現在の市川市若宮)へ移転した。
中山村に移転した1920年(大正9年)には、松戸競馬会倶楽部が中山競馬倶楽部と名称が改められ、1927年(昭和2年)に少し北東側の東葛飾郡葛飾村大字古作(現在の船橋市古作)に馬場が移された。その後、1937年(昭和12年)に日本競馬会(現在の日本中央競馬会)へ統合、中山競馬場として発足し現在へ至る。移転後の初開催は1920年(大正9年)3月12日である。
現在の中山競馬場に移転する前の松戸競馬場は、落馬事故が多発していたことや、陸軍から工兵学校創設のために競馬場用地を接収する案が持ち込まれたことから、政府当局の負担で初代中山競馬場に移転したとされている[6]。1923年に日本の公営競技としての馬券発売を伴う競馬開催の認可が下りた際、中山競馬倶楽部内で内紛が起こるが、内紛以前の松戸競馬場から中山競馬場(初代)移転と平行して、行徳町高谷(現在の市川市高谷)の行徳海岸の塩田跡地に、「行徳競馬場」の建設計画が進んでいた。ほぼ完成が近づいていた矢先の1923年9月1日、関東大震災による津波被害で競馬場が水没・流出する被害に見舞われ、同地での競馬開催を断念した[7][6]。
1940年(昭和15年)に開催される予定であった東京オリンピックでは馬事公苑や東京競馬場とともに馬術競技で使用されることとなっていたが、日中戦争の影響で中止となった。
歴史的には、東京競馬場の東京優駿(日本ダービー)に対抗する競走を設けることが長い間中山競馬の念願であった。当時中山競馬倶楽部の理事長だった実業家・肥田金一郎によって、周辺の地形が起伏に富んだ地形を生かして障害コースが設けられ、そこを舞台に大障碍特別(現在の中山大障害)が1934年に創設された。さらに、JRA第2代理事長有馬頼寧によって1956年に中山グランプリ(現在の有馬記念)が創設された。今では年末の中山競馬開催の風物詩となっている。
2018年(平成30年)には、90周年を記念しスタンド施設を中心とした大規模リニューアル改装を実施している。同年12月1日より、駅連絡地下通路(ナッキー・モール)がリニューアルオープンするとともにグランプリガーデンが新規オープンした[8]。
スタンド1階にはチャイルドコーナー・ベビーコーナーが設けられており、プレイマットスペースや授乳室、おむつ替えベッドなどを備えている。また、65歳以上の方が入場できるシニアサロンも用意されている。
見所としてはパドック近くに建てられたハイセイコーの像がある。ベンジャミンプラザ(地下1階)には、インフォメーションをはじめ、カフェやショップが併設している。
「中山」の名称の由来は、移転当初、施設の大部分が千葉県東葛飾郡中山村(後に中山町となり1934年(昭和9年)11月3日に市川市へ編入、残りは葛飾村に属し1937年(昭和12年)4月1日に船橋市へ編入)に属していたことに由来する。現在地には1927年(昭和2年)10月に建設が決定され、1928年(昭和3年)に開設された。 中山競馬は千葉県における観光事業の1つとなっており、1930年(昭和5年)には観光地図も作られた[注 2]。
主要4場の中では最も直線が短く小回りなコースで[27]、主要4場以外と比較した場合でも、内回りコースの1周距離は札幌競馬場(1640.9メートル)とほぼ同じ[27]。
コース全体の高低差は芝コースで5.3メートルあり、これはJRAの競馬場の中では最大となる[注 4]。ダートコースも全体の高低差が4.5メートルとなっている[27]。ゴール前では残り180メートルから70メートルの地点に高さ2.2メートルの上り勾配がある[27]。JRAではこれを「急坂」と称しており[27]、ゴール前の逆転劇につながるとしている[27]。
芝コースは内回りと外回りがあり、内回りはコーナーの半径が小さい小回りコースとなっている。外回りは内回りの第2コーナーから分岐し、第3コーナーで再び内回りに合流する。外回りコース全体でみると3コーナー側がやや潰れたおむすび状のコースとなっている。
2016年までコース図に芝1000m, 芝1400m[注 7]の設定もあった[34]が、長らく実施されず、2017年にコース図から削除された[35]。
2021年までは1月から3月までの期間(2015年以降は重賞競走を除く[36][37])出走可能頭数を下記の通り制限していた[38][39][33]。
ダートコースは芝・内回りコースの内側に設けられている。急坂はあるものの、芝・内回りと同様に、コーナーの半径が小さい小回りコースとなっている。
障害コースはダートコースの内側から芝・外回りコースの内側に設けられている。途中でダートコース・芝内回りコースを横切る形態となっており、中央部の襷コースは大竹柵と大生垣を備えた「大障害コース」となっている[27]。大障害コースは年に2回、中山グランドジャンプと中山大障害しか使用されない[27]。また、地形を生かした深い谷を上り下りするバンケットも、特徴のひとつとなっている[27]。
各障害の概要は下表の通り[27]。
10個の飛越障害と、3箇所の谷(バンケット)で構成されている。
呼称 | 形態 | サイズ・高低差 | 位置 |
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1号障害 | 水壕 | 高さ1.2m 幅3.7m (生垣0.7m、, 水壕2.7m) |
障害コース 正面スタンド前 |
2号障害 | 生垣 片面飛越 |
高さ1.4m 幅2.4m (生垣1.4m) |
障害コース 正面スタンド前 |
3号障害 | 生垣 片面飛越 |
高さ1.4m 幅2.3m (生垣1.3m) |
障害コース 1 - 2コーナー中間 |
4号障害 | 竹柵 片面飛越 (上下動式) |
高さ1.2m - 1.3m 幅1.6m (竹柵0.95m) |
障害コース バックストレッチ |
5号障害 | 生垣 両面飛越 |
高さ1.4m 幅2.4m (生垣1.4m) |
障害コース 3 - 4コーナー中間 |
6号障害 | 大竹柵 片面飛越 |
高さ1.6m 幅2.05m (竹柵1.4m) |
襷コース (大障害コース) |
7号障害 | 大生垣 片面飛越 |
高さ1.6m 幅2.4m (生垣1.4m) |
襷コース (大障害コース) |
8号障害 9号障害 |
ハードル 片面飛越 |
高さ1.3m 幅1.5m (竹柵0.4m) |
芝コース 8号障害: バックストレッチ 9号障害: 3 - 4コーナー中間 |
10号障害 | ハードル 片面飛越 |
高さ1.2m 幅1.15m (竹柵0.5m) |
芝コース ホームストレッチ |
1号坂路 | 谷 (バンケット) |
下り1/8 上り1/19 長さ78m, 高さ3.57m |
障害コース 第2コーナー |
2号坂路 | 谷 (バンケット) |
下り1/12 上り1/11 長さ113m, 高さ5.30m |
襷コース (大障害コース) |
3号坂路 | 谷 (バンケット) |
下り1/12 上り1/8 長さ92m, 高さ4.74m |
障害コース 第3コーナー |
※なお皐月賞、有馬記念当日は、多くの競馬ファンが入場し、スタンド席だけでは収容しきれない場合がある時、大障害コースをファンに開放する場合もある。2020年の新型コロナウィルス発生以後は、一般入場券も含め全席完全前売り制だったが、段階を追って当日券の発売(競馬場共通回数券も使用可能)を再開しており、2023年現在では、上記2競走当日[40]についてのみが完全前売り制。他はGI級を含め、前売り券(指定席は全席前売りのみ)と一般入場券のみ当日券を併売している。
インターネット予約による事前予約による販売が行われている。全席禁煙、別途入場料200円が必要となる。
(廃止された指定席)
場内ではミニFM放送で各放送局の音声を送信している。周波数は以下のとおり。
2001年末まではメディアホールでJRAオリジナルのミニFM放送を行っていた(1992年から2000年末までTurf Sound Station ターフ・サウンドステーション・2001年はGreen WAVE・周波数は87.0MHz)。
2020年第5回開催から上記ミニFM放送サービスが廃止された。
競馬場周辺にはJRA直営及び民間運営の有料駐車場が多数あるが、駐車場に面した道路(県道180号線)の道幅が片側1車線と狭く、競馬開催日に限らず交通渋滞の名所となっているため、競馬場では「ストップ・マイカー」キャンペーンを通年実施し、公共交通機関、特に鉄道での来場を推奨している。
GI
GII
GIII
J・GI
距離 | タイム | 競走馬 | 性別 | 斤量 | 騎手 | 記録年月日 |
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1200m | 1:07.2 | エコロジーク | 牡 | 55kg | C.ルメール | 2024年9月21日 |
1400m | 1:23.4 | ヒサノマーヤ | 牝 | 53kg | 増沢末夫 | 1991年11月30日 |
1600m | 1:32.8 | ファンダム | 牡 | 55kg | 北村宏司 | 2024年9月8日 |
1800m | 1:46.4 | ミヤジタイガ | 牡 | 54kg | 和田竜二 | 2012年9月8日 |
2000m | 1:58.8 | ヴィンセンシオ | 牡 | 56kg | ウィリアム・ビュイック | 2024年11月30日 |
距離 | タイム | 競走馬 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 記録年月日 |
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1200m | 1:06.7 | ロードカナロア | 牡4 | 57kg | 岩田康誠 | 2012年9月30日 |
1400m | 1:23.2 | リンドユウホウ | 牡3 | 55kg | 増沢末夫 | 1987年4月11日 |
1600m | 1:30.3 | トロワゼトワル | 牝4 | 52kg | 横山典弘 | 2019年9月8日 |
1800m | 1:44.9 | サクラプレジデント | 牡4 | 57kg | 武豊 | 2004年2月29日 |
2000m | 1:56.6 | クリスマスパレード | 牝3 | 55kg | 石川裕紀人 | 2024年9月7日 |
2200m | 2:10.1 | コスモバルク | 牡3 | 56kg | 五十嵐冬樹 | 2004年9月19日 |
2500m | 2:29.5 | ゼンノロブロイ | 牡4 | 57kg | O.ペリエ | 2004年12月26日 |
2600m | 2:40.3 | キクノフラッシュ | 牡4 | 56kg | 田村正光 | 1984年12月2日 |
3200m | 3:19.3 | キリスパート | 牝5 | 54kg | 岡部幸雄 | 1993年4月3日 |
3600m | 3:41.6 | エアダブリン | 牡3 | 57.5kg | 岡部幸雄 | 1994年12月10日 |
距離 | タイム | 競走馬 | 性別 | 斤量 | 騎手 | 記録年月日 |
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1000m | 0:59.4 | サニーシェーバー | 牡 | 53kg | 大西直宏 | 1998年9月26日 |
1200m | 1:10.2 | アイアムルビー | 牝 | 54kg | 松岡正海 | 2009年12月6日 |
1800m | 1:51.9 | トレド | 牡 | 54kg | 石川裕紀人 | 2022年9月24日 |
距離 | タイム | 競走馬 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 記録年月日 |
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1000m | 0:58.4 | ニシノグリーン | 牝3 | 52kg | 森安重勝 | 1978年7月1日 |
1200m | 1:08.4 | ハコダテブショウ | 牡4 | 56kg | 石川裕紀人 | 2022年9月24日 |
1700m | 1:43.1 | エルフォルク | 牡4 | 53kg | 飯島和美 | 1976年6月27日 |
1800m | 1:48.5 | キヨヒダカ | 牡5 | 57kg | 郷原洋行 | 1983年1月6日 |
2400m | 2:28.8 | ピーチシャダイ | 牡6 | 56kg | 安田富男 | 1983年1月6日 |
2500m | 2:38.6 | サトノトップガン | 牡3 | 55kg | 内田博幸 | 2009年12月12日 |
距離 | タイム | 競走馬 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 記録年月日 |
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芝2710m | 3:02.2† | マイネルタスク | 牡6 | 60kg | 栗原洋一 | 1999年4月4日 |
芝3030m | 3:20.3† | リンデンバウム | 牡7 | 59kg | 横山義行 | 1999年9月19日 |
芝3210m | 3:29.3 | スマイルスルー | 牡4 | 60kg | 高田潤 | 2024年9月21日 |
芝3350m | 3:40.8 | メジロオーモンド | 牡6 | 60kg | 林満明 | 2004年12月4日 |
芝3370m | 3:45.4† | ギルデッドエージ | 牡5 | 60kg | R.ロケット | 2002年11月30日 |
芝3570m | 3:57.9 | ロックユー | 騸5 | 60kg | 西谷誠 | 2023年12月2日 |
芝4100m | 4:36.1 | オジュウチョウサン | 牡6 | 63kg | 石神深一 | 2017年12月23日 |
芝4250m | 4:43.0 | オジュウチョウサン | 牡7 | 63kg | 石神深一 | 2018年4月14日 |
芝4260m[注 9] | 4:51.6† | マイネルネオス | 牡8 | 63.5kg | 柴田大知 | 2011年7月2日 |
ダ2700m | 2:56.8 | パワークリント | 牡5 | 59kg | 大江原隆 | 1996年6月16日 |
ダ2880m | 3:10.2 | マイネルホライズン | 牡6 | 60kg | 柴田未崎 | 2006年4月2日 |
ダ3200m | 3:31.0 | キャニオンストーム | 牡7 | 59kg | 田中剛 | 1997年3月1日 |
ダ3550m | 3:58.1 | ネイティブボーイ | 牡4 | 58kg | 佐藤吉勝 | 1984年1月15日 |
1985年11月にナッキーと呼ばれる、ピンク色の蝶ネクタイを身に付けた、白馬をモチーフにしたマスコットキャラクターが制定された。場内の案内看板やゴミ箱などにプリントされている他、船橋法典駅から競馬場を結ぶ専用通路「ナッキー・モール」、4人掛け専用指定席「ナッキーボックス」の名前の由来にもなっている。また、他の競馬場や場外発売所、BS放送のグリーンチャンネルに配信される中継映像では、ナッキーの顔とレース番号を表示して中山競馬場のレースであることを示している(ただし、有馬記念開催週は有馬記念のロゴマークが使用される)。なお、1999年と2000年には、このマスコットの名前を冠したナッキージャンプステークスが施行された。
2018年1月より中山競馬場のシンボルの一つとして親しまれている「ヒマラヤ杉」をモチーフとした競走馬のシルエットを組み合わせたデザインに変更された[42]。ただし、新デザインも有馬記念開催週は有馬記念のロゴマークが使用される。
2005年11月に有馬記念50回を記念して、中山競馬場のイメージソングが制定され、開催日の開門時や場内イベントなどで使用されている。
「喝采~この道の先に」作詞・作曲:今井千尋 歌:松本英子
なお、以前は開門時には「キング・オブ・ターフ」(作曲:すぎやまこういち)が使用されていた。
年末にはクリスマスのイルミネーションやプロジェクションマッピングなどが施される。特に高さ20メートルのヒマラヤスギを使ったクリスマスツリーは、生きた樹木のクリスマスツリーとしては国内最大級である。
1978年に美浦トレーニングセンターが開設されるまでは競馬場や白井分場で調教が行われていた。