ジャンル | アクションアドベンチャーゲーム |
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対応機種 | PlayStation 4 |
開発元 |
SIEジャパンスタジオ ジェンデザイン |
発売元 | ソニー・インタラクティブエンタテインメント |
販売元 | ソニー・インタラクティブエンタテインメント |
プロデューサー | 洞谷仁治 |
ディレクター | 上田文人 |
音楽 | 古川毅 |
人数 | 1人 |
メディア |
BD-ROM ダウンロード(PlayStation Store) |
発売日 | 2016年12月6日[1] |
対象年齢 | CERO:B(12才以上対象)[1] |
コンテンツアイコン | 暴力[1] |
その他 | PS4 Pro ENHANCED対応[2] |
『人喰いの大鷲トリコ』(ひとくいのおおわしトリコ、英題:The Last Guardian)は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントより2016年12月6日に発売されたPlayStation 4用ゲームソフト。
『ICO』や『ワンダと巨像』を手がけた上田文人が監督・ゲームデザインを担当したアクションアドベンチャーゲーム。上田の監督作としては11年ぶりの完全新作となる。プレイヤーは「少年」を操作し、「トリコ」と呼ばれる人喰いの大鷲と協力して「大鷲の巣」と呼ばれる谷からの脱出を目指す。
2009年6月3日にE3 2009のSCEプレスカンファレンスにて『The Last Guardian』というタイトルで発表[3]。このときは日本版の正式タイトルの発表は無く、『人喰いの大鷲トリコ』という邦題は後日発表された。
なお、タイトルに含まれる「トリコ」という単語は、トリコロールのトリコ(3色)の意味であるが、大鷲の名前である他に、虜になる、囚われている、鳥の子供、鳥と猫という意味を込めたとされている[4]。
また、邦題のロゴには3種のフォントが使用されているが、これにはトリコのデザイン(単独の動物ではなく、複数の動物の要素が組み合わされている)と同様に多彩な要素がゲームに含まれていることを表したとしている[5]。
キャッチコピーは、「思い出の中のその怪物はいつも優しい目をしていた。」と「少年と巨獣が紡ぐ、新たなる神話。」が併用されている。
当初はPlayStation 3用ソフトとして開発されていたが、その制作は長期に渡り難航。2010年9月に発売時期を一旦「2011年冬」と発表していたが、翌年4月に再び「発売未定」となる。
その後2015年6月15日のPlayStation E3 EXPERIENCE 2015にて4年振りとなる公の場での新情報の公開を行い、プラットフォームがPlayStation 4に変更されることと、2016年発売予定であることが発表された[6]。なお、このプラットフォ―ムの変更と開発の遅延について、SCEワールドワイド・スタジオのプレジデントである吉田は「技術的な問題で開発が難航している所にPS4への世代交代が発生した」「PS3用に制作していたものを移行するのに時間が掛かってしまった」と述べている[6]。
翌年のE3 2016にて発売日は2016年10月25日であると発表[7]。しかし9月12日、開発最終段階で予想以上のバグが発生していることから12月6日への発売延期を報告[8]。10月22日にマスターアップを迎え[9]、初報から7年が経った2016年12月6日にPS4用ソフトとして発売された。奇しくも上田の第1作『ICO』の国内発売日から満15年の記念日であった。
本作のCMでは、「7年前に予約していたユーザー」をテーマにした自虐ネタとなっている。
戦闘よりも探索や謎解きが主体となっているアクションアドベンチャーゲームであり、プレーヤーは主人公である少年を操作し、ときにはトリコを移動手段として、あるいは攻撃手段として活用することで、様々な仕掛けが施されたステージを攻略していく。
少年とトリコができることには得手不得手があり、少年は小さな隙間を通る・スイッチを引く・物を投げるといった事ができるが、基本的な身体能力は人並みであり、戦闘力は無いに等しい。逆にトリコはその大きさ故に通行できる場所に制限が出る場合があるが、その体躯を活かした高い跳躍力や戦闘力を有している。
画面上に表示されるUIがほぼ無い・レベルやHP、消費アイテムといったものが存在しない・つかむ、捕まる、登るといったアクションを多用するなど、基本的なシステムは同監督作品である『ICO』と非常に似ている。『ICO』と大きく異なる点としては、操作キャラクターや同行者の能力の違いと、同行者の操作方法が挙げられる。
『ICO』は操作キャラクターのみが戦闘能力を有し、同行者が攫われるとゲームオーバーとなっていたが、本作では同行者であるトリコの方に高い戦闘力があり、操作キャラクターである少年が攫われるとゲームオーバーとなる。
また、『ICO』では「手をつなぐ」ことで同行者を意図した場所へと導くことができたが、本作で同行者に対してできるのは大まかな指示と誘導のみであり、狙いどおりに同行者を動かすには慣れが必要とされる。
これらの「操作キャラクターの方が弱者である」「同行者を如何にして目的通りに動かすか」という特徴は、純粋にゲーム性を生むだけではなく、少年とトリコの関係、そしてトリコの生き物としてのリアリティを描く上でとても重要なものとなっている。
なお本作には「操作説明だけでは判らないアクション」や「攻略には直接関係しないが出来るアクション」も多数用意されており、そういったものの一部は開発元である「ジェンデザイン」の公式ツイッターアカウントから公開されている[22]。
この物語は、オールドマンと呼ばれる初老の賢人によって語られる、自身が少年時代において体験した不思議な出来事の一部始終である。
ある日「少年」が目を覚ますと、そこは見知らぬ洞窟だった。少年の体には身に覚えのない紋様が描かれている上に、目の前には「トリコ」と呼ばれる人喰いの大鷲が鎖に繋がれた状態で横たわっている。自身の置かれている状況に戸惑う少年だったが、ふとトリコが怪我をしていることに気づき、まずはトリコを介抱してやることにする。
傷を負ったトリコは気が立っており、介抱には手間を要した。しかしその甲斐もあり、翌朝には元気を取り戻していた。掛けられていた首輪も外され、自由になったトリコは少年の後をついて回るようになる。少年は「大鷲は人を食う」という話を思い出しながらも、自分に懐いてきたトリコのことを恐ろしいとは思えず、行動を共にすることにする。
だが、『大鷲の巣』にある荒れ果てた遺跡は、トリコの巨体に耐え切れずに崩落してしまう上に、謎の動力で動くヨロイと呼ばれる兵士によって守られていた。さらに、トリコよりも強くて獰猛な黒い大鷲が、少年とトリコたちを待ち受けており、何度も執拗に襲いかかってくる。
少年はトリコの力を借りながら、知恵を勇気を振り絞って、一人と一匹で『大鷲の巣』と呼ばれる谷からの脱出、そして村への帰還を目指すことになる。
数日かけて『大鷲の巣』にある遺跡を探索して、ようやく辿り着いたそこは『白い塔』であった。その高層部分には『コア』のような装置があり、そのコアが遺跡全体のシステムを制御し、ヨロイや大鷲たちを操っていた。
少年とトリコは、さらに塔の頂上にまで辿り着くが、そこでは人間を飲み込んできた大鷲が、意識のない人間を『回収装置』に入れて、その装置から褒美として『タル』をもらっている所を目撃する。
大鷲に発見された少年は、10匹近い『大鷲の大群』に襲われることになり、トリコは少年を守ろうとして乱戦になる。集団によって一方的にやられ、取り押さえられたトリコは尻尾は食いちぎられてしまう。だが、千切れた尻尾はまだ『鏡の力』に反応したことから、少年は鏡を利用してコアを破壊し、制御を解かれた大鷲たちは谷底へと墜落していった。
重傷を負ったトリコは、気絶した少年を飲み込んで『大鷲の巣』から飛び立ち、少年の村へと飛んでいく。トリコは村人に少年を返すが、そこでも何本もの槍で傷つけられる。意識が混濁していた少年は、トリコに「逃げろ」というのが精いっぱいで、その命令に従って致命傷を負ったトリコは逃走していく。
それ以降、トリコは姿を現すことはなく、いづこかで命を落としたものと思われた……。
やがて少年は大人になり、かつて幼い頃の自分が経験した「不思議な体験」を子供達に語り継いでいる、『オールドマン』と呼ばれる初老の賢人となっていた。その身体には、少年時代と同様に、全身にタトゥーのような文様を宿していた。
ある日、村の土に埋もれていた鏡が掘りおこされ、オールドマンがその鏡を手にすると鏡は力を発動し、その共鳴は遠く離れた『大鷲の巣』にも響いていた。かつて少年とトリコが出会った洞窟で、二匹の大鷲たちが暮らしていることが描かれたところで、物語は終わる。
週刊ファミ通 2016年12月22日号のクロスレビューにて、40点満点中38点(10/9/9/10)を獲得してプラチナ殿堂入り。IGN JAPANのレビューでも、10点満点中9.2点と高い評価を受けている[26]。また、国内だけでなく海外でも高く評価されており、複数のレビューで満点もしくは高得点を得ている[27]。
なお、総合的なゲームシステムが評価されている反面で、トリコの挙動がプレイヤーの思い通りにならずストレスになる場合が多い点と、カメラワークの悪さ、謎のヒントが少ない点などに難があると言われている。
このほか、監督の上田がPremio Drago d'Oro 2017にて特別功労賞を受賞している[31]。