八戸線 | |||
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基本情報 | |||
通称 | うみねこレール八戸市内線(八戸駅 - 鮫駅間) | ||
国 | 日本 | ||
所在地 | 青森県、岩手県 | ||
起点 | 八戸駅 | ||
終点 | 久慈駅 | ||
駅数 | 24駅(八戸貨物駅を除く) | ||
電報略号 | ハヘセ[1] | ||
開業 | 1894年1月4日 | ||
所有者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) | ||
運営者 |
東日本旅客鉄道(全線) 日本貨物鉄道(八戸駅 - 本八戸駅間) | ||
車両基地 | 八戸運輸区 | ||
使用車両 | 車両を参照 | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 64.9 km | ||
軌間 | 1,067 mm | ||
線路数 | 単線 | ||
電化方式 | 全線非電化 | ||
閉塞方式 |
自動閉塞式(八戸駅 - 八戸貨物駅間) 自動閉塞式(特殊)(八戸貨物駅 - 本八戸駅間) 特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)(本八戸駅 - 久慈駅間) | ||
保安装置 | ATS-SN[2] | ||
最高速度 | 85 km/h | ||
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八戸線(はちのへせん)は、青森県八戸市の八戸駅から岩手県久慈市の久慈駅を結ぶ、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)である。八戸駅 - 鮫駅間には「うみねこレール八戸市内線」という愛称が付けられている。
久慈駅で接続する三陸鉄道リアス線とともに、三陸海岸沿岸を走行する。沿線の眺望は丘陵・海岸・工場・都市・高架・田園と様々に変遷する。近年は安全だけでなく景観についても配慮されている[新聞 1]。
当線は大半の区間で海沿いを走るが、陸中中野駅(標高約41 m) - 陸中夏井駅(標高約9 m)間の約13 kmは内陸部を走行し[3][注釈 1]、この区間は侍浜駅付近(標高約155 m)を頂点とする勾配区間で55 km/h程度で走行する。なお、侍浜駅付近では30km/hの速度制限を受ける。長苗代駅 - 本八戸駅間の馬淵川橋梁においては機関車牽引列車は30 km/h、気動車列車は40 km/hの速度制限を受ける。八戸都市計画都市高速鉄道八戸線として連続立体交差化が行われ高架線が続く、八戸市内を含め全体的に60 - 70 km/h程度で運転されている。キハ40形・キハ48形で運行されていた当時は、冷房搭載やエンジン換装による性能向上を受けていない原型車がほとんどだったため、列車の運転速度は全体的に低かったが、2017年に新性能気動車のキハE130系が導入されたことにより、ジョイフルトレイン「リゾートうみねこ」を除く一般車全車がキハE130系に統一された2018年からは多少の時間短縮が図られた。また、キハE130系の全車導入完了により当線の全車冷房化が達成された。
2010年の東北新幹線の八戸駅 - 新青森駅間開業に伴い、東北本線の八戸駅 - 青森駅間が青い森鉄道に移管され、大湊線とともに、他のJR在来線と接続のない路線となった(なお、大湊線は新幹線とも接続しないため、八戸線とは若干状況が異なる)[注釈 2]。2007年11月、JR東日本が新幹線延伸後も八戸線を運営していく方針であることを正式に発表している[4]。なお、青春18きっぷは青森または野辺地から八戸まで青い森鉄道線の駅で途中下車しないことを条件に使用が認められる特例が新たに設けられた。
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で全線が不通となっていたが、2012年3月17日までに全面復旧した。
停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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全線がJR東日本盛岡支社の管轄である。在来線の八戸駅は青い森鉄道の管轄であるが、共同使用駅のため、盛岡支社管内のJR駅としても扱われる[注釈 3]。
日本鉄道により1891年に開業した本線(後の東北本線)の駅が海沿いの八戸市街から離れた尻内に設置されたことから、1894年に尻内駅(現・八戸駅)から分岐して八ノ戸(現・本八戸駅)を結ぶ支線を敷設したのが始まりである[8]。同年中に八ノ戸から湊へ延伸され、この状態で日本鉄道は1906年に公布された鉄道国有法により1907年11月1日に買収され官設鉄道に編入後、1909年に八ノ戸線と命名され、1924年に八戸線と改称された[8]。
1924年より八戸(現・本八戸)から分岐する種市への路線延伸工事が行なわれ、翌年には陸中八木、1930年に久慈まで延長されて八戸線が全通した[8]。八戸駅 - 久慈駅間の経路設定にあたっては、当時の陸軍より岩手県大野付近が鉄鋼の原材料供給地であること、有事の際の鉄道破壊を懸念し、海岸線より内陸の大野付近を通過することが望ましいと主張していたが、結局海岸線を通過するルートとなった[9]。
鮫駅 - 久慈駅間は1968年の赤字83線の議論に上がっている。1975年に当線の実質的延長線である久慈線が普代まで開業したが、こちらは国鉄再建法の施行により特定地方交通線に指定され、1984年に第三セクターの三陸鉄道へ転換されている。
陸中八木駅にはJR線における最後の腕木式信号機があったが、2005年6月28日に色灯化され廃止された。タブレット閉塞式を用いて運転していたが、本八戸駅 - 久慈駅間で軌道回路検知式化の工事が進められ、2005年10月には同区間の特殊自動閉塞化が完成し、2005年12月のダイヤ改正時にCTC化された。
2011年3月11日の東日本大震災により宿戸駅 - 陸中中野駅の間で大津波による浸水や線路の流出・水没事故が発生。これにより全線で不通となったが、段階を追って復旧工事を行い、2012年3月17日のダイヤ改正で全線での運行が再開された。JR東日本の東北地方被災地域では7つの路線が地震や津波による路線・駅舎崩壊や浸水などの被害を受けて部分的に運休する区間がある中、全線復旧の第1号となった。復旧工事を行うに当たり、津波や浸水が予想される駅では駅舎に避難経路を作り、また、線路から高台に避難ができるルートも設定された[新聞 2][新聞 3]。
なお、列車運行中に津波警報が発表された場合の対策として、車両の乗降口デッキ[注釈 4]に避難の仕方や避難口の案内などが書かれた「津波警報が発表された場合のお願い」の案内が掲示されているほか、各車両に緊急避難用はしごが配置された[10][出典無効]。
八戸線は現在臨時列車を除き普通列車のみが運行され、地域輸送に特化された運行形態となっている。2018年3月17日改正をもって、普通列車の車両はすべてキハE130系に統一された。また、2022年現在、すべての定期列車が2両編成で運転されている。
2018年3月17日改正時点で、八戸駅 - 久慈駅間全線通し列車1日9往復に加え、八戸駅 - 鮫駅間には1日10往復の区間列車が設定されており、この区間については昼間の閑散時間帯でも1時間に1本程度の運転間隔となっている[20]。キハE130系にはワンマン運転に対応した設備が搭載されており、2018年10月20日から一部列車がワンマン運転となった[報道 5]。2021年3月13日改正でほぼすべての列車がワンマン運転となり[注釈 5]、車掌が乗務する定期列車は夕方の八戸駅 - 鮫駅間1往復のみとなっている。この改正では、朝の久慈始発の1本が階上始発に変更された。
2013年10月19日からは、団体臨時列車としてレストラン列車「TOHOKU EMOTION(東北エモーション)」の運転が開始された。
2018年3月16日までは、青い森鉄道線三戸始発の直通列車が2本設定されていたが[21]、2018年のダイヤ改正で同線との直通運転は廃止され[報道 4]、すべての列車が線内完結での運転となった[20]。この列車は、2017年3月3日まではいわて銀河鉄道線小鳥谷始発としていたが、翌4日のダイヤ改正で三戸始発に短縮された。
かつては、上記の2本の他に、当線と東北本線(現在のいわて銀河鉄道線・青い森鉄道線)を直通する列車が多数設定されており、国鉄時代の1970 - 1980年代前半には、優等列車として、青森駅直通の急行「なつどまり」、青森駅経由で五能線と直通し青森県の縁を回る急行「深浦」[注釈 6]が運行されていた。民営化後の1990年代前後には東北本線一戸・二戸・三戸・三沢・野辺地方面直通の普通列車が多数設定されていたが[23][24][25]、1996年の東北本線盛岡以北区間への701系電車投入に伴い当線のディーゼル気動車列車の東北本線乗り入れは限定的となり[26]、東北本線(当時)盛岡方面から当線に直通する前述の朝の下り列車2本を除き解消されている[3]。2016年までは津軽線(蟹田駅 - 三厩駅間の非電化区間)と八戸運輸区の車両を共用していたため、八戸駅 - 青森駅間のキハ40系による気動車列車自体は残存した。
また、1984年に久慈駅から南方に延びる国鉄久慈線が三陸鉄道へ転換され北リアス線となる以前は1日3本程度が久慈線直通で普代駅まで運転されていた[24]。1999年以降は、毎年夏に三陸鉄道北リアス線・南リアス線などからなる三陸縦貫鉄道を経由して八戸駅から仙台駅まで直通する臨時快速列車「リアス・シーライナー」が運転されていたが、東日本大震災で三陸縦貫鉄道の各線が不通となった2011年以降は運転されていない[27][28]。
また、八戸駅 - 久慈駅間の定期普通列車のうち1日1往復は、土曜・休日などには「リゾートうみねこ」を使用して運転されていた。「リゾートうみねこ」は2011年4月29日から八戸駅 - 階上駅間で運転を開始した(「リゾートうみねこ」運転開始前にはキハ48形改造のジョイフルトレイン「うみねこ」を使用した定期普通列車「うみねこ」が1往復設定されていた[29])。当初、同年4月23日より、八戸駅 - 久慈駅 - (三陸鉄道北リアス線経由) - 宮古駅間で運転される予定だったが、3月11日に発生した東日本大震災による大津波によって甚大な被害(沿線駅舎の冠水・浸水や線路流出など)を出したことによって運転できなくなったため、計画が変更されたことによるものである[報道 10]。2012年3月17日に八戸線が全線復旧し、運行区間が八戸駅 - 久慈駅間に延長された。2020年3月29日をもって「リゾートうみねこ」の定期運行を終了した[30]。
以下において車種は特記なければ気動車である。
愛称 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 線路 | 所在地 | ||
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駅間 | 累計 | ||||||
うみねこレール八戸市内線 | 八戸駅 | - | 0.0 | 東日本旅客鉄道: 東北新幹線 青い森鉄道:■青い森鉄道線 |
∨ | 青森県 | 八戸市 |
(八戸貨物駅) | - | 1.7 | ◇ | ||||
長苗代駅 | 3.4 | 3.4 | | | ||||
本八戸駅◇ | 2.1 | 5.5 | ◇ | ||||
小中野駅 | 1.8 | 7.3 | | | ||||
陸奥湊駅 | 1.7 | 9.0 | ◇ | ||||
白銀駅 | 1.3 | 10.3 | | | ||||
鮫駅 | 1.5 | 11.8 | ◇ | ||||
陸奥白浜駅 | 5.7 | 17.5 | | | ||||
種差海岸駅 | 2.1 | 19.6 | | | ||||
大久喜駅 | 2.2 | 21.8 | | | ||||
金浜駅 | 2.5 | 24.3 | | | ||||
大蛇駅 | 1.5 | 25.8 | | | 三戸郡 階上町 | |||
階上駅 | 1.7 | 27.5 | ◇ | ||||
角の浜駅 | 2.0 | 29.5 | | | 岩手県 | 九戸郡 洋野町 | ||
平内駅 | 2.6 | 32.1 | | | ||||
種市駅 | 2.1 | 34.2 | | | ||||
玉川駅 | 3.9 | 38.1 | | | ||||
宿戸駅 | 1.9 | 40.0 | | | ||||
陸中八木駅 | 3.1 | 43.1 | ◇ | ||||
有家駅 | 2.7 | 45.8 | | | ||||
陸中中野駅 | 2.6 | 48.4 | | | ||||
侍浜駅 | 6.0 | 54.4 | | | 久慈市 | |||
陸中夏井駅 | 7.3 | 61.7 | | | ||||
久慈駅 | 3.2 | 64.9 | 三陸鉄道:■リアス線 | ∧ |
2023年度の時点で、JR東日本自社による乗車人員集計[35]の対象駅は、八戸駅・本八戸駅・鮫駅・久慈駅である。それ以外の駅は完全な無人駅のため集計対象から外されている。
( ) 内は営業キロ
各年度の平均通過人員(人/日)は以下のとおりである。
年度 | 平均通過人員(人/日) | 出典 | ||
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全区間 | 八戸 - 鮫 | 鮫 - 久慈 | ||
1987年度(昭和62年度) | 2,513 | 6,079 | 1,650 | [36] |
2011年度(平成23年度) | 854[注釈 7] | 2,864[注釈 7] | 407[注釈 7] | |
2012年度(平成24年度) | 998 | 2,962 | 561 | |
2013年度(平成25年度) | 1,043 | 2,970 | 615 | |
2014年度(平成26年度) | 1,079 | 3,025 | 646 | |
2015年度(平成27年度) | 1,041 | 2,951 | 617 | |
2016年度(平成28年度) | 971 | 2,809 | 563 | [37] |
2017年度(平成29年度) | 907 | 2,707 | 507 | |
2018年度(平成30年度) | 883 | 2,636 | 493 | |
2019年度(令和元年度) | 851 | 2,640 | 454 | [38] |
2020年度(令和 | 2年度)638 | 2,015 | 333 | |
2021年度(令和 | 3年度)639 | 2,083 | 318 | |
2022年度(令和 | 4年度)647 | 2,167 | 309 | |
2023年度(令和 | 5年度)702 | 2,374 | 331 | [39] |
2019年度(令和元年度)の平均通過人員が2,000人/日未満の線区(鮫駅 - 久慈駅間)における各年度の収支(運輸収入、営業費用)、営業係数、収支率は以下のとおりである。▲はマイナスを意味する。
年度 | 収支(百万円) | 営業 係数 (円) |
収支率 | 出典 | ||
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運輸 収入 |
営業 費用 |
計 | ||||
2019年度(令和元年度) | 92 | 1,552 | ▲1,460 | 1,682 | 5.9% | [報道 13] |
2020年度(令和 | 2年度)58 | 1,441 | ▲1,382 | 2,445 | 4.1% | |
2021年度(令和 | 3年度)56 | 1,376 | ▲1,319 | 2,422 | 4.1% | [報道 14] |
2022年度(令和 | 4年度)59 | 1,280 | ▲1,221 | 2,152 | 4.6% | [報道 15] |