台湾料理(たいわんりょうり、繁体字: 臺灣料理; 注音: ㄊㄞˊ ㄨㄢㄌㄧㄠˋ ㄌㄧˇ<タイウァンリャオリー>)または台湾菜(たいわんさい、繁体字: 臺灣菜; 注音: ㄊㄞˊ ㄨㄢㄘㄞˋ<タイウァンツァイ>)とは、台湾原住民の料理をルーツに持ち、中華料理をベースに日本や西洋、そして台湾独自のアレンジが加わって成立された料理である。
台湾島にはもともとオーストロネシア系の原住民が住んでいたが、16世紀からオランダ人やスペイン人の移住によって料理の概念が広まった。17世紀中頃、鄭成功の台湾征服に伴い、中国大陸、とくに福建省から多くの閩南人が渡り、かれらが食べている福建料理が原住民料理と融合して現在の台湾料理の基礎が築かれていた。19世紀には清国からの中国人や大日本帝国からの日本人が統治者や開拓者として次々に台湾に入植し、多様な料理法がもたらされていた。その結果、台湾料理は400年以上の歴史をへて、独自の食文化へと進化していた。
台湾では「台湾料理」という言葉が2つの意味に分けている:
- 広義の台湾料理:つまり「台湾菜」のこと。台湾で食べられるすべての郷土料理、原住民料理、そして外国料理を台湾風にアレンジしたものの総称。
- 狭義の台湾料理:つまり「台菜」のこと。台菜とは主に「台湾に住む閩南人の料理」を指す。閩南人は中国の福建省からの移住者たちのことであり、現在の台湾人口の約7割を占めている。台湾では他にも中国大陸から来た客家人や外省人がいるが、かれらの料理はこの狭義の「台菜」には含まれない。
台湾はアメリカやカナダ、オーストラリアと同様に、移民によって構成された国であり、中華系の移民や開拓民が総人口の大部分を占めている。このため、台湾料理のルーツは原住民料理にあるものの、現代の台湾料理には、原住民文化の影響はあまりみられていない。人口の多い中国人や漢民族の移民たちが中華料理を台湾全土に広め、とくに福建料理や一部の客家料理が台湾料理の基礎となっている。一方で、人口の少ない台湾原住民の料理は全国的には広がらず、地域ごとの郷土料理として台湾島内の各地に分散されている。
台湾料理における中華料理は、中国各地の特徴を持ち、多彩な料理が楽しめることができる。とくに厦門・泉州・漳州からもたらされた福建料理は、台湾原住民の料理と融合し、台湾料理の起源を形成していた。これらの3つの地域のうち、閩南人という漢民族の支系が大半を占める。また、同時期に広東省から移住した客家人や、湖西地方出身の漢民族なども流入し、かれらの影響によってさらに多様な中華料理が台湾社会に浸透していた。そして、第二次世界大戦後には、中国国民党とともに中国各地の兵士や料理人が台湾に渡り、北京料理・上海料理・四川料理など、大陸各地の料理が台湾にもたらされていた。
そして、台湾料理には日本料理の要素も多く取り入れられている。1895年(明治28年)から1945年(昭和20年)にかけての50年間にわたる日本の統治時代をへて、日本料理が台湾民間に広く普及していた。とくに明治期や大正期の日本料理の影響は、現代にも残っており、例えば、おでんや天ぷら、刺し身、寿司[1]、みそ汁[2]、カレーライス[3]、日本酒[4]など広く親しまれている。台湾の寿司には握り寿司のほかに、稲荷寿司や太巻きが一般的で、酢飯の味付けは日本よりも薄めで、甘めになっている[1]。また、台湾の家庭では中華料理の主菜に、寿司や刺し身、天ぷら、みそ汁など日本料理の副菜やスープを組み合わせるスタイルが普及しており、「和華を問わない食文化」が広く受け入れられている[1]。
このように、歴史的背景から、中国や日本から渡ってきた料理人たちは、台湾島で採れる食材をそれぞれの調理法で活用し、台湾人はそれを全部取り入れ、独自の料理文化を創造していた。
台湾は四方を海で囲まれ、また、島の中央部に3千メートル級の山々が南北に縦走し、日本よりも山がちの地勢が多い。比較的小さな地域である台湾は土地の広さにこだわらず、多様な地形や豊かな自然環境がそろっている。日本と同様「海の幸・山の幸」という言葉があって、全体的にみれば食材に恵まれる国である。そのため、台湾の常用食材は極めて豊富で、以下の分類で簡単に紹介する:
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黑鑽石蓮霧という台湾高雄産のレンプ。
リンゴと
ナシの中間のような食感は特徴的。
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珍珠芭樂という台湾のグアバ。その果汁は台湾の代表的な飲料の一つ。
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愛文芒果という台湾のマンゴー。原産地はアメリカだが、台湾ではマンゴー味のかき氷として人気を博す。
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大甲芋頭という台湾のムラサキイモ。この写真は紫と黄色の
サツマイモで作ったデザート。
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三星葱という台湾のネギ。このネギを使用する
葱油餅・
胡椒餅・
餃子が有名。
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カラスミ。日本では
このわた、塩
雲丹とともに「三大珍味」とされるが、台湾では庶民料理として扱われている。
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桜花鉤吻鮭というタイワンマス。本来は台湾の魚の中で最も美味しいされている食材だが、いまは保育動物になり、食用禁止。
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虱目魚(サバヒー)。スープ・餃子の具・鍋料理・魚団子にされる旨味の濃い食用魚。
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タラ。肉の厚さから焼き魚・天麩羅・ハンバーガーやサンドイッチの具などに使う大型深海魚。
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花蠘仔というピンクのカニ。蒸し・醤油漬けに相性抜群である。
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藍花蟹という青いカニ。小籠包の具・
炒飯の具・
螃蟹粉絲煲などに使う。
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象牙鳳螺という
海貝。酒漬け・唐辛子炒めなどに使う。
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九孔螺という
海貝。刺身・天麩羅・野菜炒めなどに使う。
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赤嘴蛤という
海貝。
茶碗蒸し・
鍋料理の具・スープなどに使う。
- 台湾早餐:「早餐(ザオツァン)」は台湾国語で「朝食」を意味する。台湾式の朝食は和洋中台の4つの食文化が1つの朝食店に集結しており、塩味の餅、鉄板焼き麺、ハンバーガー、サンドイッチ、台湾式おにぎり、小籠包、生焼き饅頭、焼き餃子、鹹豆漿、蚵仔麺線(椎茸出汁の牡蠣入り素麺)、麻油鶏(鶏肉入り胡麻油と米酒のスープ)、果汁など、多彩な朝食を楽しむことができる。
- 台湾小吃(中国語版):小吃(ショーチー)は、軽食・B級グルメ・屋台料理の総称であり、台湾語では「小點」と呼ぶ。台湾では古くから外食文化が盛んでおり、朝食・昼食・夕食のすべてを外食で済ませることができる。とくに夜市では、様々な屋台料理を楽しむことができ、台湾の食文化において重要な役割を担っている。
- 台式熱炒:熱炒(リェーチャオ)は、主に夕食時にお酒と一緒に楽しむ料理であり、日本の居酒屋料理に似ている。料理のスタイルには、見た目にこだわった豪華な一皿もあれば、庶民的な家庭料理もある。
- 台式便當:便當(ベンダン)は、日本語の「弁当」の繁体字である。日本の冷たくカラフルな弁当とは異なり、台湾の弁当は必ず温かく、茶色を基調とし、見た目よりも衝撃的な味を重視している。
- 台式牛排:牛排(ニョーパイ)は、鉄板の上で焼かれたステーキに、台湾風のマッシュルームソースやブラックペッパーソースをかけ、うどんやパスタを添えるものである。通常はコーンスープが付いている。
- 台式麵包:麵包(ミェンバオ)は、フランスと日本のパンが融合した台湾風のパンであり、カスタードクリーム、あんこ、肉鬆(台湾の肉田麩)、ネギ油、クロワッサンなど、多様な味や種類がある。
- 台湾素食:素食(スゥーシー)は、仏教や動物福祉の観点から、肉や魚を一切使わない精進料理が発達しており、日本の明治以前の状況と似ている。中国や日本の肉料理が台湾に入っても、その伝統は変わらない。台湾では、明らかに台湾風の味付けを施した精進料理を「台湾素食」という固有名詞で呼ぶ。この台湾素食は全国に広まり、学生食堂から軍隊の戦闘食まで提供されている。しかし、「素」という言葉とは裏腹に、日本の素朴な精進料理とは異なり、台湾の素食は油揚げ・グルテン・唐辛子などを大量に使用し、とくに濃厚な味付けが特徴である。また、料理は素鶏、素魚、素肉などと呼ばれ、本物の肉料理に近い食感が最大の特徴である。
- 流水席と辦桌:「リュースイシー」と「バンズォー」は、どちらも台湾式の宴席料理を指している。台湾の宴席では、潮州料理と同様にフカヒレや燕の巣がよく使われ、ナマコやアワビが登場することもある。
- 清粥小菜:「シンズォーシャオツァイ」と呼ばれ、お粥と惣菜・漬物の組み合わせである。料理一つ一つの分量はあまり多くなく、お粥と一緒に食べる郷土色豊かな副菜として一般化している。このようなお粥と小皿料理のセットは台湾で「清粥小菜」と呼ぶ。お粥が添えられる点では、福建料理と客家料理の要素が混ざっているものの、これは昔の台湾人の食習慣を反映した料理といえる。
- 漢方薬膳:「ハンファンヤオスェン」と呼ばれる。中国から伝わった漢方や医食同源の理論が深く浸透しているため、漢方薬自体が料理の食材として用いられ、強い薬味が特徴である。
- 内臓料理:肉類の中でも豚肉が中心であることが、台湾料理の大きな特徴の1つである。元々、開拓民にとって牛は犂や荷車を引かせる大切な家畜であり、食べる習慣は無かった。このため、食材を無駄なく使うという発想から、動物の内臓や血液を用いる料理が発達していた。例えば、鴨の血の固まりや牛の胃腸の細切り、豚の腎臓の煮込み、舌の唐辛子漬けなど、もつや血液を多用した料理が多く見られる。現代台湾の牛肉麺などの牛肉料理は、基本的に日本統治時代が終わった後に中国大陸から伝わった習慣である。
- 鹽水雞:「イェンスイジー」と呼ばれ、薄塩味の漬け物。鶏肉とさまざまな野菜を胡椒粉入りの塩水に漬け込んだ、大盛りの料理である。
- 鹹酥雞:「シェンスゥージー」と呼ばれ、薄味の揚げ物。台湾バジル(九層塔)、ニンニク、胡椒、揚げ粉で包んだ鶏肉や野菜・肉団子・ゴマ団子・イカを、ピーナッツ油で揚げた大盛り料理である。
- 滷味:「ルーウェイ」と呼ばれ、薄味の甘辛醤油ベースの煮込み料理。鶏肉や豚肉・内臓・野菜・豆腐を醤油、五香粉、シナモン、オレンジの皮、八角などで煮込み、肉には強い燻製風味が付いてる。
- 燒烤串:「シャオカオツァン」と呼ばれ、 台湾風の串焼き。さまざまな食材を醤油、グレープフルーツ、オレンジ、黒糖などでコーティングし、長い竹串に刺してバーベキューする。日本の串焼きと焼き鳥に似ているが、味は薄味。
- 台湾の火鍋:クコの実、ショウガ、ごま油、唐辛子、鶏肉の酒漬け、野菜、貝類などが入る鍋料理である。台湾では、ハーゲンダッツのアイスクリームが食べ放題で楽しめる店が非常に多い。
- 鐵板燒(台湾風鉄板焼き ):熱い鉄板の上で豚肉・牛肉・山羊肉を、玉ねぎ・もやし・ニラ・胡椒粉・ショウガと一緒に炒める。とくに山羊肉やショウガを頻繁に使う点は、日本とは大きく異なる。
- 剉冰 (台湾風かき氷):マンゴー、スイカ、タロイモ、イチゴなどのフルーツ味があり、氷だけでなく自家製の練乳やフレッシュクリームもかけられる。夏の台湾で最も人気のあるデザートである。
- 麺類・塩味の餅類:台湾では多種類の麺料理が味わえ、南投の意麺・台南の担仔麺・高雄のうどん・新竹の米粉・台北の炸醤麺・中国の四川省由来の辛い担担麺など、地域によってそれぞれの麺料理がある。餅について、客家人の餅菓子、朝食四兄弟の卵餅・葱油餅・大根餅・胡椒餅、台湾土産菓子として有名な太陽餅・老婆餅など、多彩なバラエティーがある。
- スイーツ類:台湾原住民のレシピによるもち米のケーキ、果物を飾ったかき氷・ゼリー飲料・タピオカミルクティー・鳳梨酥など、夏も冬にも適用したデザートが豊富している。
- 改造和食・中華:小籠包などの中国発祥の料理も、台湾人による何十年もの改良を経て、中国本場の味から離れたものとなり、日本料理も同様である。台湾の庶民にとっては、こうした「和華折衷的な料理」が主流となっている。具体例を挙げると、以下のようなものがある:
- 黑輪、和田、關東煮(台湾語:o͘-lián)=日本のおでん
- 天婦羅、甜不辣(台湾語:thian-puh-la)=日本の天ぷら
- 沙西米、生魚片(台湾語:sā-si-mih)=日本の刺身
- 壽司(台湾語:su-sih)=日本の寿司
- 豆皮壽司=日本の稲荷寿司
- 味噌湯(台湾語:mi-so͘h-thng)=日本の味噌汁
- 咖哩飯(台湾語:ka-lí-pn̄g)=日本のカレーライス
結論からいうと、台湾料理は中華料理よりも甘く、日本料理よりも塩が少ない。
中華料理との主な差は「甘い味付け」にある。刺激的な調味料を多用する中華料理と違って、繊細で淡白な味付けが主流であり、野菜炒め以外の料理は油っぽさを意図的に抑えている。一つの円卓の周りに多人数でゆっくりと食べる中華料理とは異なり、台湾料理は気軽に食べられるB級グルメとして発展することが多い。食べ歩いたり、屋台街のテーブルで手早く食べきったり、一品料理として扱われたりするのが最大の違いである。中国の薬膳料理も強く受けていることから、油で揚げた漢方系の野菜が多用し、普通の香辛料より薬味の匂いのほうが強いと言われている。薬味の苦手な人にとっては、台湾での食事に困る可能性がある。
日本料理との主の差は「塩の少なさ」にある。台湾人は健康を意識しているため、精進料理以外の料理では塩分をできるだけ避けている。日本料理と共通する部分も多いが、それは台湾総督府時代からの影響であった。日本の明治・大正時代の頃の醤油・味噌・椎茸・鰹節・出汁・乾物・塩漬けなどの和風食品は台湾に広く浸透し、普通の場合には台湾の和風中華に親しみを感じる日本人もいるが、昔の日本の味つけが起源のため、現代の日本料理と味違いの場合が多い。台湾メディアの『三立新聞網』によれば、「台湾人は日本の食事に慣れてしまうと、台湾に帰ったら台湾料理の味をもう感じない…」と報道され、これは台湾料理がいかに薄味になっているか分かる[5]。すでに塩分の多い味噌汁やラーメンスープに慣れてる一部の日本人にとっては、台湾料理を物足りなく感じることもある。
全体的な印象においては、本場の中華料理や日本料理より茶色とベージュ色の食べ物が圧倒的に多く、これは中国の漢方、日本の出汁、またもち米の多用からだと言われている。台湾料理は中華や和食の間のようなものであり、これらの範疇に入れていないものもある。
現代の日本では、「台湾料理店」と称する店舗(主にロードサイド店舗)が増えているが、そこで出される料理は「台湾料理」よりも「日式中華」「町中華」に近い[6]。店員も台湾人ではなく中国東北部(旧満洲)出身者の場合が多い[6]。
「台湾カステラ」は台湾料理だが、「台湾ラーメン」や「台湾まぜそば」は日本で誕生した料理である。
台湾料理のうち、比較的ポピュラーなメニューの例としては、以下のようなものがある。台湾語読みが定着している料理名は、台湾語発音をカタカナと白話字で表記した。
- 台湾料理で使う麺は、基本的には華南の特徴である、うるち米を原料としたライスヌードルである。ビーフンが代表的であるが、「米苔目」(ビータイバッ;bí-thai-ba̍k)と呼ばれる太いものもある。これに加えて、華北をルーツに福建省から伝えられた各種小麦粉の麺も用いられる。多くはやや太めの麺であるが、日本のラーメンのように鹹水を使用しないため、全体に白っぽいものが多い。「麺線」(ミースヮー;mī-soaⁿ)と呼ばれる素麺に似た極細麺もある。また、メニューによっては、例えば担仔麺のように、小麦の麺かビーフンか冬粉(ダーンフン;tang-hún)を選択できるものもある。
- 牛肉麺(中国語と注音:ニョウロウミエン/ㄋㄧㄡˊ ㄖㄡˋ ㄇㄧㄢˋ、台湾語と 白話字:グーバーミー/gû-bah-mī)
- 牛骨や筋からダシをとったスープにやや太めの麺を入れ、牛肉の角切を煮込んだものや香菜などをトッピングしたもの。元来台湾では貴重な輓獣でもあった牛を食べる習慣はなく、牛肉麺も戦後外省人によってもたらされたものと言われている。現在では台湾料理の最もポピュラーなメニューの一つとして定着している。八角など中華料理特有の香辛料をふんだんに使ってあるため、日本の中華麺とは異なった独特の風味がある。牛肉に加えて牛筋をトッピングしたもの、辛口のもの(紅焼牛肉麺)、カレー風味のもの(咖哩牛肉麺)など、いろいろなバリエーションがある。
- 担仔麺 (中國語:ダンザイミェン/ㄉㄢˋ ㄗㄞˇ ㄇㄧㄢˋ、台湾語:ダーアーミー/tàⁿ-á-mī)
- エビでだしを取った味噌仕立てのスープに麺を入れ、豚そぼろ肉や刻みネギ、もやしなどがトッピングされている(牛肉麺などと比べると、分量的には一般にやや小ぶりである)。もともとは台南の名物料理であり、中でも「度小月」のものが特に有名。(麺の代わりにビーフンを使ったものもある)また、担仔麺に加えて、香腸(腸詰)や肉団子や肉そぼろなどのサイドメニューを加えることができる。日本では「タンツーめん」とルビを振る場合が多い。また、名古屋など中京圏で見られる台湾ラーメンは、この担仔麺を元にアレンジしたものである。
- 麺線
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- 大腸麺線(中国語版)(中国語:ダーチャンミェンシェン/ㄉㄚˋ ㄔㄤˊ ㄇㄧㄢˋ ㄒㄧㄢˋ、台湾語:デゥアデゥンミースヮー/ toā-tn̂g-mī-soaⁿ)
- 鰹ダシベースの梅ニンニクのような味のとろみがある汁に細麺を入れた素麺料理。名前の通り「大腸」が輪切りになって入っている。西門町にある阿宗麵線が非常に有名である。性質上取り分けが難しく、店頭で取り分けている姿は一種のパフォーマンスともなっている。小椀(35元)と大椀(50元)がある。さらにトッピングとして辣椒(唐辛子)、蒜醤(ニンニク醤油)、烏酢(ウスターソースに似た調味料。黒酢とは異なる。)の3種類がある。
- 蚵仔麺線(中国語:ケーザイミェンシェン/ㄎㄜ ㄗㄞˇ ㄇㄧㄢˋ ㄒㄧㄢˋ、台湾語:オーアーミースァ/ô-á-mī-soaⁿ)
- 上記のものの具をカキに代えたもの。台湾各地で一般的である。
- 猪脚麺線
- 煮込んだ豚足を具材とする麺線。厄祓いや誕生日に食される。
- 炒米粉(中国語版)
- 滷肉飯または魯肉飯 (中国語:ルーロウファン/ㄌㄨˇ ㄖㄡˋ ㄈㄢˋ、台湾語:ローバープン/ ló͘-bah-pn̄g)
- 飯の上に煮込んだ豚肉をトッピングして、甘辛いタレをかけたもの(店によりこれに高菜や固ゆで卵などを乗せている)[7]。値段も安く、最も庶民的な料理の一つで人気が高い。地方によっては異なる名称で呼ばれることもあり、台湾北部で滷肉飯と呼ばれる料理と台湾南部で滷肉飯とでは豚肉の形状や味付けなどが異なる。
- 鶏肉飯(中国語:ジーロウファン/ㄐㄧ ㄖㄡˋ ㄈㄢˋ、台湾語:ゲーバープン/ ke-bah-pn̄g)
- 飯の上に蒸して細く裂いた鶏肉を乗せ、甘辛いタレをかけたもの。魯肉飯同様最も庶民的な料理の一つ(嘉義市の「火鶏肉飯」のように、鶏の代わりに七面鳥を使ったバリエーションもある)。
- 排骨飯 (中国語:パイグーファン/ㄆㄞˊ ㄍㄨˇ ㄈㄢˋ、台湾語:パイグップン/ pâi-kut-pn̄g)
- 排骨(醤油などで下味を付けた後、薄く衣をつけて油で揚げた豚の骨付きあばら肉)と炒めた野菜などを飯の上に乗せた料理[7]。台鉄弁当など、台湾の駅弁の定番メニューである[8][9]。
- 肉粽 (中国語:ロウツォン/ㄖㄡˋ ㄗㄨㄥˋ、台湾語:バーヅァン/bah-chàng)
- 台湾風ちまきのことで、味を付けたもち米を、ハスの葉、竹の葉や竹の皮で包んで蒸したもの[7]。豚の角煮やシイタケなどの具を入れる場合もある。具は肉類や海鮮など、店や地方によってさまざまなバリエーションがある。伝統的に、端午節に食べる習慣がある。
- 鹹蜊仔(台湾語:キャムラーアー/kiâm-lâ-á)
- さっと茹でたタイワンシジミをニンニクと共に醤油漬けにしたもの。この種のシジミは日本で一般に食用とされるシジミ類よりは一回り大きいので、可食部の肉も比較的大きい。
- 菜脯蛋(中国語版)(台湾語:ツァイボーヌン/chhài-pó͘-nn̄g)
- 菜脯(切干大根)の入った玉子焼き。
- 魩仔魚炒土豆(台湾語:ブタヒーチャートータウ/but-á-hî tshá-thó͘-tāu)
- 揚げピーナッツ(炒土豆)としらす干し(魩仔魚)をからからに炒ったもの。
- 貢丸湯(中国語版)(中国語:ゴンワンタン/ㄍㄨㄥˋ ㄨㄢˊ ㄊㄤ、台湾語:コンワントゥン/kòng-oân-thng)
- 肉団子入りのスープ。4つに割れている形をした肉団子を出すお店が比較的多い。新竹が有名。
- 魚丸湯(中国語:ユーワンタン/ㄩˊ ㄨㄢˊ ㄊㄤ、台湾語:ヒーワントゥン/hî-oân-thng)
- (注音: ㄩˊ ㄨㄢˊ ㄊㄤ)
- つみれ入りのスープ。福州風の中に豚肉を包み込んだものが、新北市淡水区などで有名となっている。
- 蛤蜊湯(中国語:グーリータン/ㄍㄜˇ ㄌㄧˋ ㄊㄤ、台湾語:ハムマートゥン/ham-á-thng)
- ハマグリ入りのスープ。庶民的なスープである。
- 冬瓜との相性が抜群であり、冬瓜を具として供する場合も多い(冬瓜蛤蜊湯)。
- 下水湯(中国語版)(中国語:シャーシュイタン/ㄒㄧㄚˋ ㄕㄨㄟˇ ㄊㄤ、台湾語:ハースイトゥン/hē-chuí-thng)
- 豚のモツと鶏の砂肝などの内臓類をショウガを効かせ煮込んだスープ。「下水」とは台湾でモツ肉という意味である。
- 花枝羹(中国語版)、花枝焿(中国語:ホワジーゴン/ㄏㄨㄚ ㄓ ㄍㄥ、台湾語:フエーキーキー,フエーキーケー/hoe-ki-kiⁿ,hoe-ki-keⁿ)
- イカの切り身、またはすり身入りのとろみスープ。
- 蚵仔煎 (中国語:ケーザイジェン/ㄎㄜ ㄗㄞˇ ㄐㄧㄢ、台湾語:オーアージエン/ô-á-chian)
- 台湾風カキのオムレツ。小ぶりの煎ったカキに細かく刻んだキャベツなどの野菜を加え、卵とサツマイモ澱粉で綴じる。卵を使わない調理法もある。甘辛い赤色のソースをかけて食べる。
- 棺材板または官財判 (中国語:クアンツァイバン/ㄍㄨㄢ ㄘㄞˊ ㄅㄢˇ、台湾語:クァツァーパン/koaⁿ-chhâ-pang)
- 揚げた食パンの中をくり抜いてクリームシチューを入れ、さらにパンで蓋をしたもの。棺とは棺の様に置けること、材とは中身が植物的な材料から作ったものであること、板とは全体の形が四角形であること、その三つの理由でこの名前を付けた。しかし棺材板という名前からは死人や亡霊と共に狭い部屋で一緒に住むことを発想しやすく、これはあまりも縁起が悪い為、今の台湾では代わりに同じ発音の官財判(官僚に出世し、財産を持つという意味)で書かれる場合もよくある。台湾のどの地方でも作られるが、もともとは台南の名物料理。パンの中に入れる具は店によっていろいろなバリエーションがある。南部地域の洋食風の屋台料理。
- 油飯 (中国語:ヨウファン/ㄧㄡˊ ㄈㄢˋ、台湾語:イウプン/ iû-pn̄g)
- 台湾風のおこわ。水に浸したもち米を豚肉、シイタケなどと油で炒め、醤油等で味付けして蒸したもの[7]。鶏肉や筍などを用いる場合もある。
- 蘿蔔糕または菜頭粿(中国語版)(中国語:ルオポガオ/ㄌㄨㄛˊ ㄅㄛ˙ ㄍㄠ、台湾語:ツァイタウクエ/chhài-thâu-kóe)
- 日本語の通称は大根餅。千切りにして茹でた大根や、油で炒めた豚ひき肉・エビ・ネギを水でといた米粉と混ぜて蒸した後、表面を油で軽く焼いて食べる。旧正月の定番料理として作られていたが、今や一年中を通して食べられている。香港から伝わり定着したため、飲茶の中の一品としても食べられる。
- 臭豆腐 (中国語:チョウドウフ/ㄔㄡˋ ㄉㄡˋ ㄈㄨˇ、台湾語:チャウタウフー/chhàu-tāu-hū)
- 豆腐を発酵させた食品。油で揚げる臭豆腐、辛いスープで煮込んだ麻辣臭豆腐、串焼き臭豆腐、蒸し臭豆腐などさまざまな調理法がある。かなり強烈な匂いを発することでも知られており、屋台でこれを揚げているときなどは、10mくらい先からでも匂いでそれとわかる。食べる際には調理時ほど匂いは強烈ではない。
- 甜不辣 (中国語:ティエンブーラー/ㄊㄧㄢˊ ㄅㄨˊ ㄌㄚˋ、台湾語:テンプーラー/thiân-puh-la)
- 日本から伝わった九州の天ぷら、関東での薩摩揚げにあたる。魚のすり身を揚げて、一口大に切り香辛料をかけて食べる屋台料理。
- 基隆天麩羅は台湾の甘辛い赤色のソースをかけて食べる。名前の通り基隆がルーツ。胡瓜との相性が良いため、薄切りの胡瓜の甘酢漬けを乗せて出される。
- 滷味(中国語版) (中国語:ルーウェイ/ㄌㄨˇ ㄨㄟˋ、台湾語:ロービー/ló͘-bī)
- 台湾風煮込み。セルフサービスでお客が肉、野菜、練り物、インスタント麺などを好きな食材を選んでザルに取ると、店員が八角を効かせた味の濃い醤油スープ(滷水)で煮込んでくれる。学生に人気があり、師大夜市などの学生街で多くみられる。
- 豬血糕 (中国語:チューシェガオ/ㄓㄨ ㄒㄧㄝˇ ㄍㄠ、台湾語:ディーフエークェ/ti-hoeh-kóe)
- 豚の血ともち米を蒸した食品。食べ方は蒸す、煮る、串焼きなど。串焼きにした豬血糕はピーナッツ粉と香菜をまぶして食べる。
- 肉圓 (中国語:ロウユエン/ㄖㄡˋ ㄩㄢˊ、台湾語:バーワン/bah-uân)
- ぶるんとした皮があり、中は粗い肉団子のような餡が入る。
- 刈包
- 台湾風にアレンジされたハンバーガー。
- 蛋餅
- 愛玉 (中国語:アイユー/ㄞˋ ㄩˋ、台湾語:オーギョー/ò-giô)
- 愛玉子から抽出した多糖類で固めた黄色いゼリー状の食品。ボウルのような大きな器入れて冷やし固めたものを、お玉などで掬って小分けにし、これに氷を加え、シロップやレモン汁をかけて食べる。黒い仙草と並んで夜市での代表的なデザートメニューのひとつ。
- タピオカティー珍珠奶茶 (中国語:ヂェンヂューナイチャー/ㄓㄣ ㄓㄨ ㄋㄞˇ ㄔㄚˊ)
- タピオカティー。烏龍茶やミルクティーにタピオカパールを入れた飲料。「泡沫紅茶」などの名前でも知られている。タピオカの粒が大きく、これを吸うためにかなり太めのストローを使用する。特に若い女性の旅行者を中心に日本でも人気が出ており、2000年頃から東京などでもこれをメニューに加えている店が出始めている。
- 木瓜牛奶(中国語版) (中国語:ムーグワニウナイ/ㄇㄨˋ ㄍㄨㄚ ㄋㄧㄡˊ ㄋㄞˇ、台湾語:ボックエグーリン/bo̍k-koe-gû-lin)
- パパイアの果汁と牛乳を混ぜた飲料。高雄にある「高雄牛乳大王」のものがルーツといわれている。現在では台湾各地に広まっている。
- 他にもマンゴー、イチゴ、アボカドなど新鮮な果物や野菜の牛乳飲料がある。
- 刨冰 (中国語:バオビン/ㄅㄠˋ ㄅㄧㄥ、台湾語:ツアーピン/chhoah-peng、台湾語漢字:剉冰)
- かき氷。普通の氷を削った刨冰にはマンゴー、イチゴなどの果物やトウモロコシ、ピーナッツなどのトッピングを乗せる。
- 雪花冰(シュエホゥアビン)削った氷に練乳を混ぜて作ったフワフワとした食感のカキ氷である。
- 泡泡冰(中国語版)(中国語:パオパオビン/ㄆㄠˋ ㄆㄠˋ ㄅㄧㄥ)は果物などの材料と氷をかき混ぜて空気を含ませるソフトクリームのような食感のデザートである。
- 豆花 (中国語:ドウホゥア/ㄉㄡˋ ㄏㄨㄚ、台湾語:ダウフエー/tāu-hoe)
- 焼石膏で固めた柔らかい豆腐に、黒蜜などのシロップを掛け、煮豆や白玉などをトッピングして食べるデザート。量の割にはカロリーが抑え目で、タンパク質も取れるヘルシーなデザートとして、日本でも女性を中心に人気。
- 酸梅湯(中国語版)(中国語:スヮンメイタン/ㄙㄨㄢ ㄇㄟˊ ㄊㄤ)
- 青梅を燻製にして乾燥させた烏梅を水出し、または煮出した物を濾し、甘草、キンモクセイ、砂糖などを加え、冷やした飲み物である[10][11][12]。元となった飲み物は1290年以前の宋の時代の書物「武林舊事」に記述され、清の時代に酸梅湯の名が正式名称として定着した。当初は宮廷でのみ飲まれていたが、次第に民衆に広がった。中華の伝統的な夏の暑さを払う飲み物である[13][14]。
- 太陽餅 (中国語:タイヤンピン/ㄊㄞˋㄧㄤˊㄅㄧㄥˇ)
- 鳳梨酥 (中国語:フォンリースー/ㄈㄥˋㄌㄧˊㄙㄨ、台湾語:オンライソー/ông-lâi-so͘)
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