国道168号(こくどう168ごう)は、和歌山県新宮市から大阪府枚方市に至る一般国道である。
起点の新宮市から、同市熊野川町の宮井交差点まで、国道169号と重複し、田辺市や奈良県の最南端に位置する吉野郡十津川村を通行しながら北上する。その後、五條市から大和高田市までは、国道24号や国道165号などと重複し、奈良県北西部にあたる香芝市や生駒市を経由し、大阪府の北河内地域に入り、終点の枚方市に至る路線である。
紀伊半島の険しい山間部を縦断するため奈良県南部では所々狭路があり、現在、道路改良工事が随所で行われている。紀伊半島を縦断する幹線道路の一つであり、将来的には全線を指定区間とした上で五條新宮道路として整備する計画がある。
一般国道の路線を指定する政令[1][注釈 1]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
道路法(昭和27年法律第180号)に基づく二級国道として初回指定された路線のひとつである。国道指定当初は新宮市から大和高田市に至る路線として指定された[4]。1982年(昭和57年)に、1954年(昭和29年)に主要地方道として第一次指定された[5]大阪府道および奈良県道枚方大和高田線を編入[6][7][8]し、新宮市から枚方市に至る路線として指定された[9]。
2004年(平成16年)8月10日、五條市大塔町宇井で大規模な地すべり(宇井地すべり)が発生[11]し現場一帯の約3.0 kmで不通となった。その直前(8月5日)から崩壊のおそれがあるとして現場付近が交通規制され、天ノ川を隔てた対岸の和歌山県道・奈良県道734号高野辻堂線が迂回路となっていた。2008年(平成20年)3月18日に復旧工事が完了し、およそ3年7か月ぶりの開通となった。なお、この様子はディスカバリーチャンネルの「怒れる大自然2 地滑り」として地すべりの瞬間を撮影した映像と関係者の発言を2009年(平成21年)秋に放送した。
2008年(平成20年)10月17日、五條市大塔町小代地内(猿谷ダムから約500 m五條市内方面寄)30 mで落石が発生し、付近で全面通行止になったため長距離の迂回を余儀なくされ、沿線地域へ多大な経済的な影響を与えた[12]。その後11月16日より夜間通行止(22時 - 翌朝6時30分)ではあるものの、その他の時間帯は片側交互通行にて通行可能となり、2009年(平成21年)2月20日より夜間通行止も解除された。
2011年(平成23年)9月3日、平成23年台風第12号の影響による路面崩落で各地で寸断され、通行止めとなる。主として、十津川村折立地区の折立橋の崩落、十津川村長殿地区の土砂崩れ、五條市大塔町辻堂地区の土砂崩れによるもので、12月頃までにはバイパス道路の部分供用開始を伴う仮復旧がなされた。
また、十津川村桑畑では2014年(平成26年)1月4日[要出典]と2021年(令和3年)1月24日[13]にそれぞれ崩土災害が発生し、2021年の災害時は、乗用車は国道425号から村道絵笠捨瀞線、国道169号を経由する経路、大型自動車は国道169号などへ、それぞれ迂回措置がとられた[13]のち、同年2月13日に仮復旧による通行止め解除を経て3月3日には全面復旧した[14]。
主に十津川村・五條市大塔町内の区間で道路崩落による「全面通行止め」がしばしば発生する。ただし「全面通行止め」も「迂回路あり」の場合があり、詳細な道路規制情報は奈良県ホームページ内の道路規制情報で案内されている[注釈 4]。
- 2023年(令和5年)11月1日、和歌山県は、新宮市相賀と高田地内を結ぶ 2号トンネル(仮称)の建設残土から、土壌汚染対策法の基準値を上回るヒ素やフッ素が検出されたとして工事の中止を発表。残土に含まれるヒ素やフッ素は自然由来のものであるが、所定の管理が必要となるため工事費の増額が避けられず、工事の再検討を余儀なくされたもの[15]。
- 和歌山県新宮市から奈良県五條市に至る地域高規格道路で、一部区間が供用中である。
- 紀伊半島の沿岸部と内陸部の交流を促進するため、近畿自動車道紀勢線および京奈和自動車道と一体となって広域ネットワークを構成し、紀伊半島の骨格を形成する地域高規格道路と位置づけされている[16]。
奈良西幹線(ならにしかんせん)は、奈良県生駒市から同県香芝市に至る都市計画道路である。1982年(昭和57年)に国道168号へ編入された府県道大和高田枚方線の区間に並行する形で1973年(昭和48年)4月18日に大和都市計画道路奈良西幹線、一連番号は3・3・2として都市計画決定[17][18]し、複数の道路拡幅やバイパス建設の事業を実施している。都市計画道路としては生駒市の国道163号交点から生駒郡平群町までと、北葛城郡王寺町から香芝市の中和幹線交点までに2分割されており[19][20]、一般的に「奈良西幹線」の事業名では王寺町王寺1丁目から香芝市北今市5丁目までの5.4 kmで進行している[18]。本節では、奈良県発行の道路改良事業資料の起終点記述に基づき、国道168号の起終点の向きと同様に都市計画道路とは逆転させて香芝市を起点側、生駒市を終点側として扱う。
2012年(平成24年)現在では香芝市から王寺町にかけては香芝王寺道路、王寺道路が、平群町から生駒市にかけては上庄バイパス、小平尾バイパス、一分バイパスがそれぞれ連続して建設中で、それぞれ一部で供用を開始している。
- 奈良西幹線 - 香芝王寺道路 - 王寺道路
- 香芝市から王寺町までの沿線では、1975年(昭和50年)の都市計画決定後の市街化区域の編入やそれに伴う住宅開発などに伴って人口が急増した[18]。市街地を通過してセンターラインを有する2車線道路が確保されているが、大型車にとって幅員が十分ではなく、また歩道未整備箇所を抱えるなどしているため、慢性的な渋滞の解消や歩行者の交通安全が課題となっていた[18][21]また、都市計画決定後の社会情勢の変化に伴い、当初は全線が代表幅員18 mの完成2車線での計画となっていたが、2007年(平成19年)3月2日に一部を除いて代表幅員25 mの4車線道路へ計画変更された[22]。4車線区間は道路規格第4種第1級、設計速度50 km/hで建設中である[23][24]。
- 奈良西幹線(ならにしかんせん)中和幹線接続道路
- 奈良県香芝市北今市5丁目から同市上中に至る延長765 mの街路事業である[26][27][28]。奈良西幹線全体の起点に位置し、中和幹線と国道168号現道とを連絡する役割を担う。2012年(平成24年)3月28日に一部最小幅員7.0 mの区間を有しながらも全線で供用を開始した[26][29]。
- 香芝王寺道路(かしばおうじどうろ)
- 香芝市北今市から北葛城郡王寺町畠田4丁目に至る延長3.2 kmの道路拡幅事業である[23]。区間中にある上中北交差点周辺の延長350 mは香芝インターチェンジアクセス道路の整備の際に改良された[28]。全体としては工区を3分割して2006年(平成18年)度に事業着手した[23]。
- 王寺道路(おうじどうろ)
- 奈良県北葛城郡王寺町畠田4丁目から同町本町1丁目に至る延長1.5 kmの道路拡幅事業である[24]。工区を2分割して2001年(平成13年)度に事業着手し[30]、2009年(平成21年)8月18日に終点側630.1 mが完成4車線として供用を開始した[28][31][32]。起点側の920 m[33]は2015年(平成27年)度に供用開始予定である[28]。
- 上庄バイパス(平群バイパス)- 小平尾バイパス - 一分バイパス
- 平群町から生駒市の沿線では、1970年代前半に生駒市南部などで宅地開発が急激に進行した[34]。東西の軸である第二阪奈道路が建設されて大阪市や奈良市への利便性は向上したが、関連する交通の流入も発生し、特に生駒山と矢田丘陵に挟まれた平群町から生駒市にかけての交通渋滞は激しくなる一方であった[35]。中でも上庄バイパスは県道大和高田枚方線時代に事業着手されている。
- 上庄バイパス(かみしょうバイパス)
- 奈良県生駒郡平群町椿井から生駒市小平尾町に至る延長4.2 kmのバイパス計画である[36]。奈良県北西部の南北交通の主要な幹線道路であり、狭小幅員や線形不良の解消、歩道の設置等による交通の円滑化や渋滞緩和が期待されて1973年(昭和48年)に事業着手したが[37]、周辺の公図混乱や買収単価の折り合い等から用地買収に時間を要していた[38]。
- 2012年(平成24年)11月現在、計画区間の北側で現道をバイパスする上庄工区(片側1車線・平等寺から平群北公園前)と秋津工区(片側2車線・平群北公園前から秋津橋)が供用済[39][40]。引き続き計画区間の南側に当たる椿井工区では椿井橋の架け替え工事と交差点改良工事などの現道再整備が実施され[36][37]、同工区465 mのうち240 m区間が2014年(平成26年)10月30日に開通[41]。
- 小平尾バイパス(こびらおバイパス)
- 奈良県生駒市小平尾町から同市小瀬町に至る延長1.5 kmのバイパス計画である。後述の一分バイパスと並んで生駒市内を南北を繋ぐ唯一の幹線道路で[42]、完成供用後は起点側の上庄バイパス(秋津工区)と終点側の一分バイパスとを両側4車線で直結する予定である[43]。2007年(平成19年)に事業着手し、一部は旧道の南生駒駅前を迂回する南生駒バイパス(みなみいこまバイパス、片側1車線が供用済)が全区間で重複する。重複区間は現道を拡幅し、残りの区間は現道をバイパスする予定[44]。
- 一分バイパス(いちぶバイパス)
- 奈良県生駒市内を南北に結ぶ国道168号バイパス[45]で、1984年度(昭和59年度)に事業着手し[38]、2007年(平成19年)に全線片側2車線が開通した。
- 奈良県生駒市小瀬町から同市山崎町を結び[46]、始点では竜田川沿いを併走する現道と南生駒バイパス(小平尾バイパス整備後は小平尾バイパス)に接続する。
- 国道168号は生駒市を南北に縦断する唯一の主要幹線道路であり[42]、一分バイパス区間は第二阪奈道路への流入路にもなっている[38]。現道、バイパス共に竜田川を沿っており、この区間で現道は竜田川の東側を、本バイパスは川沿いの西側を併走する。前述の事情や道路の線形等もあって、開通前の時点で現道は非常に混雑し、付近には生駒市消防南分署があった事から、緊急自動車等への影響が懸念されていた[38][47]。
- このような事情から、本バイパスは混雑緩和や交通安全の確保等を期待して[42]、一日も早い開通が望まれていた[38]。
天の川バイパスとは、大阪府交野市星田北一丁目地内から枚方市茄子作東町地内までを全体計画区間とするバイパス計画[48]で、2012年(平成24年)11月現在、計画区間の一部分が供用中。
終点である山之上東町では国道1号と接続する予定[49][50]。
- 磐船街道
- 清滝街道
- 当麻街道
- 下街道
- 西熊野街道
- 十津川街道
- いろは(168)街道
- 新越路トンネル(461 m、新宮市)
- 東敷屋トンネル(1,380 m、新宮市)
- 二ツ石トンネル(798 m、新宮市・田辺市)
- 九鬼トンネル(624 m、田辺市)
- 切畑トンネル(927 m、田辺市)
- 土河屋トンネル(970 m、田辺市)
- 今戸トンネル(1,858 m、十津川村)
- 大津呂トンネル(1,617 m、十津川村)
- 小井トンネル(987 m、十津川村)
- 高時トンネル(622 m、十津川村)
- 助人トンネル(555 m、十津川村)
- 丸瀬トンネル(616 m、十津川村)
- 上野地トンネル(765 m、十津川村)
- 田長瀬トンネル(610 m、十津川村)
- 小代下トンネル(680 m、五條市)
- 新天辻トンネル(1,174 m、五條市)
- 西野トンネル(612 m、五條市)
- 西吉野トンネル(940 m、五條市)
- 新磐船トンネル(203 m、交野市)
※ 交差する場所の括弧書きは地名、それ以外は交差点名で表示
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国道168号に関連するメディアがあります。
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1 - 100 (1 - 57号は旧一級国道。59 - 100号は欠番) |
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101 - 200 (旧二級国道、109 - 111号は廃止・欠番) |
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201 - 300 (201 - 271号は旧二級国道、214 - 216号は廃止・欠番) |
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