『夏の夜の夢』(なつのよのゆめ、ドイツ語: Ein Sommernachtstraum)は、フェリックス・メンデルスゾーンが作曲した演奏会用序曲(作品21, MWV P 3)および劇付随音楽(作品61, MWV M 13)である。いずれもシェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』が元になっている。中でも『結婚行進曲』 (Hochzeitsmarsch) は有名である[1]。
音楽・音声外部リンク | |
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序曲(作品21)のみ試聴する | |
Mendelssohn - A_Midsummer_Night's_Dream_Overture, Op.21 - クルト・マズア指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団による演奏。EuroArts公式YouTube。 | |
Mendelssohn Overture A Midsummernights Dream - コンラート・ファン・アルフェン指揮、シンフォニア・ロッテルダムによる演奏。シンフォニア・ロッテルダム公式YouTube。 |
序曲『夏の夜の夢』ホ長調 作品21, MWV P 3 は、1826年に作曲された[1]。
もとはメンデルスゾーンが姉のファニーと楽しむためのピアノ連弾曲として書いたものであったが、すぐにこれをオーケストラ用に編曲した。この作品を完成させた時、メンデルスゾーンはわずか17歳であったが、作品は驚異的な完成度と豊かな創意を誇っている。
フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、オフィクレイド1(現在ではテューバで演奏する)、ティンパニ1人、弦五部
アレグロ・ディ・モルト、ホ長調、2分の2拍子(アラ・ブレーヴェ)。演奏時間は約12分。
ロマンティックで表情豊かな作品ながらも古典的なソナタ形式を踏まえた序曲として構成されている。神秘的な序奏に続いて、第1主題の跳ね回る妖精たちや第2主題群に聞こえるクラリネットによるロバのいななきの描写は有名である。さまざまな特徴的な音型やあらゆる楽器の音色効果を用いて、妖精たちや動物(獣人)の住む幻想的な世界を描写している。
音楽・音声外部リンク | |
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劇付随音楽(作品61)も含めて試聴する | |
Mendelssohn:Ein_Sommernachtstraum - パーヴォ・ヤルヴィ指揮、hr交響楽団による演奏(作品21、および作品61の奇数番曲全部とフィナーレ)。hr交響楽団公式YouTube。 | |
Mendelssohn:A_Midsummer_Night's_Dream, Op.21_&_61 - András Vass指揮、パノン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏。当該指揮者自身の公式YouTube。 | |
Op.21Op.61-07Op.61-09 - ミハイル・ユロフスキ指揮、モスクワ市交響楽団による演奏。モスクワ市交響楽団公式YouTube。 |
序曲に感銘を受けたプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の勅命により、メンデルスゾーンは1843年に序曲の主題も再利用して『夏の夜の夢』上演のための劇付随音楽(作品61, MWV M 13)を作曲することとなった。その際、作品21はそのまま序曲として流用された。作品21と作品61は従って別々の時期の作品であるが、作品61の全曲または抜粋が演奏される際には作品21も共に演奏されることが多い。
作品61の劇付随音楽は、以下の12曲で構成されている。
オーケストラの楽器編成は前記の序曲とほぼ同じだが、「結婚行進曲」ではトランペット1、トロンボーン3、トライアングル、シンバルが加わる。
また、「スケルツォ」「間奏曲」「夜想曲」「結婚行進曲」を抜粋し、序曲と組み合わせて組曲の形で演奏することがしばしば行われる。
シェイクスピアの戯曲の原題 "A Midsummer Night's Dream" の訳語は古くから『真夏の夜の夢』(まなつのよのゆめ)が用いられており、メンデルスゾーンの序曲・劇音楽も同様であったが、近年、戯曲に関しては『夏の夜の夢』に変わりつつある(夏の夜の夢#midsummer nightの時期と日本語訳題を参照)。ただし、こうした変更はクラシック音楽の分野では文学や演劇の分野に比べて遅れがちなのが常であり、『夏の夜の夢』も例外ではない。なお、メンデルスゾーンによるドイツ語の原題は、上記のとおり "Ein Sommernachtstraum" であり、直訳すると単に『夏の夜の夢』である。