『大カトー・老年について』(だいカトー ろうねんについて/古典ラテン語:Cato Maior de Senectute)は、古代ローマの弁論家・哲学者・政治家であるマルクス・トゥッリウス・キケロの紀元前44年の著作。人生における老いと死について論じた古典作品である。
本書は大カトーが老年について語る対談形式となっており、正題は『大カトー』(Cato Maior)で副題が「老年について」(De Senectute)と思われる。その内容からしばしば『老年について』(ラテン語“De Senectute”、英題“On Old Age”と呼ばれ、日本では伝統的に『老年論』として知られてきた。
紀元前44年、キケロ61歳の頃の著書である。カエサルとポンペイウスのローマ内戦ではすでにカエサルが勝利しており、ポンペイウスに味方していたキケロは政界から追い出され、カエサルからの刺客に脅える日々を送っていた。また、二度の離婚や娘の病死など、私生活でも苦境にあった。
この苦境の中で、キケロはギリシア哲学の執筆に従事した。その中の一作が本書である。本書はキケロ独自の思想を述べたものではなく、ギリシア哲学のストア派の道徳的処世論などの多くの著作を参考にしながら折衷した内容になっている。キケロの友人であるティトゥス・ポンポニウス・アッティクスに捧げられている。
本書は大カトーが将来有望な2人の若者を自邸に招いて、老年論を語る対談の形をとっている。